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プロレス用リングはこのように作られていた! その構造とマメ知識

6/19(月) 16:00配信

HARBOR BUSINESS Online

 プロレスはリングを舞台に勝敗を競うスポーツだ。「路上プロレス」などリングを使わない形式もあるが、プロレスはやはりリングで見るのが最も面白い。

⇒【画像】リング設営の様子

 今回はリングの構造や特徴について、名古屋のローカルプロレス団体「今池プロレス」での設営を例に説明しよう。ただリングは基本的に一品物のため、他のリングも同じ仕様ではないことをあらかじめ了承いただきたい。

◆リングの大半を占めるのは鉄製パーツ

 最初に設置されるのは、リングを支える役目を果たすコーナーポストとも呼ばれる4本の鉄柱だ。鉄柱同士の中間に支柱を立てて、鉄骨を渡し、さらに格子状に鉄骨を繋げていく。

 枠組みが完成したら、木製の底板を渡して床を作り、ゴムやウレタン製のシートを敷く。このシートは選手を守る意味もあるが、それ以上に底板を守る役目も果たしている。

 プロレスは他の格闘技にくらべ、リングに叩き付けられる頻度が高い。さらにチーム戦のタッグマッチでは4vs4、5vs5といった数多くのレスラーが同時に闘い、バトルロイヤルではさらに多くの選手が一同にリングに上がることもある。

 そのため、保護をしなくては板が割れてしまい試合ができなくなってしまうのだ。それでも底板が破損することは珍しくなく、しばしば試合の間に交換される。

 あるリングレンタル業者いわく、最近は底板用の木材が手に入らなくなり、昔と異なる種類の木で作っているが、昔の板のほうが頑丈かつしなやかで壊れにくいという。

◆実はゴム製ではなかったロープ

 続いてシートの上にキャンバスを敷き、鉄柱同士をワイヤーで繋いでズレを防ぐ。ロープと鉄柱を「ターンバックル」と呼ばれる金具で繋いで張りを調整し、リングを囲む垂れ幕と、ターンバックルを覆うコーナーマットを取り付けて完成だ。

 ロープは全てゴム製だと思われがちだが、中身は鋼線をより合わせたワイヤーロープで、ゴムは表面を覆っているにすぎない(麻など植物繊維製のロープを用いるリングもある)。

 ロープは素人が走ってぶつかると肋骨を折りかねないほどの硬度を持っている。レスラーがワイヤーに負けない強靱な肉体と、衝撃をコントロールできる技術を持っているから、柔らかそうに見えるだけなのだ。

◆非常に地味だが、重要な調整がある

 これもまた気付かれにくいのだが、リングを設営する場所によっては細かな調整が施されている場合がある。それは水平調整だ。

 ローカルプロレス団体が地域イベントなどで大会を開催する際は、駐車場や広場が特設会場となる場合が少なくない。しかし、駐車場は水ハケを良くするため、わずかな勾配がつけられていることがある。

 リングをそのまま置いてしまうと、傾いたりゆがんだりする可能性があり、何より選手に危険が及ぶ。そのため勾配がある場所に設置する際は、鉄柱や支柱の下に板を敷くなどしてリングが水平にされている。

◆ゴツくて重いのが海外仕様

 国によってもリングの仕様は異なる。

 日本で使用されるものと基本は同じだが、鉄骨部は分割できず一辺で一本だ。また鉄骨そのものも太めだったり、筋交いと呼ばれる斜め補強が施されたりしている。

 部品数が少ない分、組み立てにかかる手間は少ないが、運搬には4トン以上の大型トラックが必要となる。日本では小さく分割でき、本体のみならば2トントラックに積めるリングが多い。

◆コンパクトタイプのリングも存在する

 大きく重いリングもあれば、小型リングもある。名古屋のローカルプロレス団体・スポルティーバエンターテイメントは常設会場「スポルティーバアリーナ」に1辺が5メートルほどの小さいリングを所有し、興行を開催している。

 あまりスペースの広くない会場にはこの小型リングが活用される。スポルティーバは名古屋中小企業家同友会主催の、子どもの職業観・勤労観を育むイベント「子どもおしごと体験」に興行運営ワークショップとして出展、この小型リングを持ち込んで試合をおこなった。

 またコンパクトなだけでなく、天井が低い会場でも設置できるよう鉄柱・支柱を短くした低層リングも存在する。

◆そして正方形とは限らない

 リングは必ずしも正方形とは限らない。アメリカやメキシコの一部団体では六角形のリングが使用されている。正方形リングとは異なった連繋や空中殺法を見ることができるのが特徴だ。

 日本でもウルティモ・ドラゴンが創設したプロレス学校「闘龍門」が開催した「闘龍門2000プロジェクト」で用いられたが、近年目にする機会はまれになっている。

 文字通り試合を支えている「闘いの舞台」について解説してきたが、プロレスを楽しむ際の手助けになれれば嬉しい限りだ。近場で大会が開催される際はぜひ足を運び、鋼の肉体を持ったプロレスラーの闘いをライブで堪能してほしい。

【たこ焼きマシン】

名古屋在住のローカルプロレス探求家。ローカルプロレスファンサイトたこ焼きマシン.com、スーパーたこ焼きマシン.comを運営。北海道から沖縄、台湾まで未知のプロレスを求め観戦に遠征する。ご当地プロレスラーガイドブック『ローカルプロレスラー図鑑』をクラウドファンディングで発行。オンラインストア。元・小中学校教員、障害者職業能力開発校講師。夢は世界中すべてのご当地プロレスを観戦しての『ワールドローカルプロレスラー図鑑』制作。

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最終更新:6/19(月) 16:49
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