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小池知事に翻弄され続けた市場の人々、悲鳴ルポ 「どこが都民ファーストなのか」 

6/19(月) 16:15配信

デイリー新潮

 今月17日、小池百合子知事は、豊洲市場の「無害化」が達成できていないことについて市場業者に陳謝。週内にも「豊洲移転」を表明すると報じられている。だが、小池知事の耳に、度重なる方針転換に翻弄され続けた、市場に生きる人々の悲鳴は届いているのか。ノンフィクションライター・上條昌史氏が「市場の声」を徹底取材した。(以下、「新潮45」7月号掲載「ルポ『豊洲移転』延期」より抜粋)

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「業務用の冷蔵庫は簡単に冷えないものなんです。マイナス60℃の超低温に保つため、建物全体に配管を巡らせてコンプレッサーで冷たい空気を送り込む。豊洲に整備した2つの巨大な冷蔵庫は、昨年11月7日の開場に合わせて何カ月も前から“冷やし込み”を始め、東京都がOKすれば、事前に品物を運び込める段階まで来ていました。

 そのタイミングで移転延期という小池知事の判断が出て、現場の作業にもストップがかかったんです。でも、いったん電源を入れて冷やした冷蔵庫は建物の構造上止めることができない。なので、現在も冷蔵庫は電源が入ったまま、マイナス60℃でガンガンに冷やし続けている。もちろん、中身は空っぽのままです」

 そう語るのは、東京都水産物卸売業者協会会長の伊藤裕康氏だ。

 豊洲市場建設のために東京都は約5880億円を投じた。そのことはメディアに散々取り上げられてきたが、一方、民間支出が300億円に上ることは知られていない。

 前出の冷蔵庫に70億円、無線LANの設備に30億円、ゴミ処理の設備が5億円――。活きた魚の競りを行なうための「濾過海水」の設備を22億円かけて作ったが、これも冷蔵庫同様、稼働を始めると止めることができず、現在も1日に100トンの水を回しているという。

「こうした費用は全て民間でお金を借りて、約18年かけて返済していくことになっています。当然、我々に大きな負担としてのし掛かってくる。“今回の移転は間違いない”と思ったからこそ、多額の借金をして整備をしたんですが……」

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最終更新:6/19(月) 16:34
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