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「闇の国家」がトランプ政権打倒目論む?

6/20(火) 11:00配信

Japan In-depth

【まとめ】

・FOXニュース「元FBI長官らが大統領に対するクーデター企む」と報じる。

・米国の国内分裂は深刻なレベルに達している。

・ワシントンではトランプ政権に対する諦観も感じられる。



6月18日(日)午後に米国から帰国した。トランプ政権発足からもう4回目のワシントン出張だ。キヤノングローバル戦略研究所とスティムソン・センター共催のシンポジウムでも喋ってきた。日米研究者が「日米関係以外の問題」を議論するこのシリーズは今回が3回目。これには筆者のちょっとした思い入れがある。

なぜ「日米関係以外」に拘るのかって?昔から「日米関係者の、日米関係者による、日米関係者のための会合」にはあまり関心がなかった。ワシントンのシンクタンクと議論する以上、ジェネラリスト米国人研究者の関心事と話が噛み合わなければ、議論する意味はないと思うからだ。

それでも、今の米国の国内分裂は悲劇的だ。こんな中で米新政権は対欧州・中東・アジアで戦略的、地政学的な外交政策をしっかり立案・実施できるのか。米滞在中、保守系FOXニュースが「Deep Stateが報復、トランプ政権崩壊を望む」といった煽情的ニュースを終日流していたのには正直耳を疑った。

ディープ・ステートとは「闇の国家」、政府内機関・組織が政治指導者の文民統制に従わず、勝手な行動をとる状況だ。「元FBI長官も司法省副長官や特別検察官も全て闇の国家の一員で、大統領に対するクーデターを企んでいる」のだという。ばかな!詳細は今週の産経新聞コラムを読んでほしい。

米国滞在中、日本時間の17日未明、米海軍イージス艦とコンテナ船が衝突した。いつも思うことは、この種の事故では日本人に犠牲者が出れば大騒ぎとなるが、米国人が犠牲になっても日本の新聞は何も言わない。今回犠牲になった水兵7人を含め、彼らは日本防衛のために働いているのに、である。何かがおかしい。



〇欧州・ロシア

19日から英国のEU離脱交渉が始まる。第二期メイ政権がどうなるのかも決まらないまま、EU側との話が再開される。これではEUも譲歩などできるはずがないだろう。そんな中、ロンドンでは高層アパートで大火があり、英仏で再びテロ事件が起きた。メイ首相にとっては大きな試練、果たして彼女はこれを乗り越えられるだろうか。



〇東アジア・大洋州

米国では安倍首相への評価が非常に高かった。第二期政権発足当時はあれほど安倍政権を批判していた一部米国アジア専門家たちも、今では何も言わない。その一方、日本では安倍政権の支持率は急落している。どうも米国での日本関連情報には相当のタイムラグがあるようだ。



〇中東・アフリカ 

カタル対サウジ・エジプト等他のアラブ諸国の対立は当分続きそうだが、米国の専門家が「最大の理由はカタルが過激派を極度に恐れているからだ」と断言していた。中東の経験が長い米国の友人の話だが、言われてみればその通り。下手に金があるので、何でもできることが、逆にカタル外交を出口のないものにしている。

実際には、カタルはテロ組織を支援している意識はない。カタルの動機は単純、ただ単に「テロ組織に嫌われない」ため、怖い相手に財政支援しているだけだ。日本ではこれを「みかじめ料」と呼ぶが、アラビア語にその同意語があるだろうか。随分忘れてしまったが、恐らくないだろう。



〇南北アメリカ

今回の日米共催シンポジウムで最も興味深かったのは、我々パネリストも聴衆も、トランプ氏やトランプ政権に対するコメントや質問がほぼゼロだったことだ。前回(本年1月)にはあれだけ批判が飛び交ったのに。恐らくワシントンの住人はトランプ政権の本質を、諦めとともに理解しているのだろうか。どこか異様な雰囲気が感じられた。



〇インド亜大陸

特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)

最終更新:6/20(火) 11:00
Japan In-depth