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10万円の女性専用墓 誕生契機は所持金2700円の人の遺骨

6/21(水) 16:00配信

NEWS ポストセブン

 お墓の問題は、「どこに入るか」ともう1つ、「誰と入るか」ということも根深い悩みだ。 なかには、夫や、夫の両親とは、死んだ後まで一緒は嫌という人もいるだろう。あるいは一緒に入る伴侶がいないケースもある。今回は、女性たちだけで墓に入ることを選択したケースを紹介する。ノンフィクションライターの井上理津子氏がNPO法人「スノードロップ」の女性共同墓「なでしこ」を取材した。

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 最寄りは、東京から約70kmの関越道・東松山インターチェンジ。先日、八王子の東京里山墓苑に行ったとき「本当に東京?」と思える景色だったが、ここもすごい。埼玉県鳩山町の真言宗・妙光寺内にある女性専用の共同墓「なでしこ」がある。

 妙光寺は「日本昔話」に出てくるような農村風景の中にあった。高台の墓地から、雑木林が広がる里山がパノラマの眺めだ。関東では数少ないモミの木も群生し、「熊井の森」と呼ばれているという。

 「この景色、私も毎日見ても飽きないです」と、スノードロップ代表の布川智恵子さん(61才)が言う。

「なでしこ」には、黄色い芯に白い花びらを付けたカモミールが咲き誇り、優しい香りが漂っていた。面積は、約4m×3.5m。中央に立つ墓標は、薄ピンクと白のタイルで囲んだガラスに、なでしこの花びらなどが描かれたモニュメントだ。

「それね、太陽の光が当たると、ガラスの部分がきらきらと輝くんですよ。リッツカールトンにも作品を提供されている、大好きなグラスアーティスト野口真里さんに作ってもらったんです。無謀にも『予算これだけしかないんですが、どうしても野口さんにお願いしたいんです』って、頼み込んで」

 納骨スペースは、カモミールの間に「白」「星」「虹」などの文字が入った石蓋の下。遺骨は、スタッフやボランティアお手製のさらしの袋に入れて、埋葬するそうだ。参拝場所に、約40人の名前が刻まれた石のプレートがある。すでに埋葬されているのは約半数で、生きている契約者たちも名を連ねているのだ。

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