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若者をどうサポートすべきか?アメリカ西海岸で見た教育と企業活動のあるべき姿

6/21(水) 6:30配信

@DIME

広い意味での「働き方改革」が日本の課題といっても過言はないと思う。企業や団体で現在働く人々について話が集中しているが、これから働こうという若者達の労働観や、彼らのスキルアップやモチベーションについては、もう少し考えてみてもいいのではないか? 6月1日の就職活動の解禁で、疲れ果て、また病んでいる学生たちを目の当たりにして、なおさらそう思った。

【写真】若者をどうサポートすべきか?アメリカ西海岸で見た教育と企業活動のあるべき姿

2017年5月にカリフォルニア州サンノゼで開催されたGTC2017は、世界で最も注目されているテクノロジー関連のカンファレンスのひとつだ。サンタクララに本社を構える半導体メーカーのNVIDIA(エヌビディア)社が主催で、企業の研究開発、企画などのビジネスや、アカデミックな研究者が参加している。同社社長のキーノートスピーチでは、AIを使った産業の未来や自社の貢献や新製品、トヨタとのコラボレーションの発表まで盛りだくさんの2時間であった。その中で一番印象に残ったのが、冒頭に紹介された動画だ。

このメッセージを若者にどのように伝えて、何か活動しているのか?という視点を持ってその後のカンファレンスや展示会場を回った。自社で取り組むワークショップ、学生コンテストへの協賛や教育機関とのコラボレーションを行うエヌビディアの教育関係の活動がビジネスのビジョンと一致してわかりやすく、素直にいいなと思ったので、紹介したい。

事例1:全米学生ロボットコンテストの参加者に、AIが作る未来についてワークショップ開催

AIをどのようにロボットに取り入れるかのヒントにもなるワークショップを、FIRST Roboticsというイベントに参加した高校生を対象として、エヌビディアがカンファレンス会場で開催した。FIRST Roboticsは、米国では人気の「ロボットコンテスト」で、科学とテクノロジーをスポーツのように楽しんで競う全米イベントだ。与えられた課題をこなすロボットをチームで作り、その過程ではエンジニアはじめとした大人のメンター達がサポートも行う。すでに6年前に、このようなプロモーションビデオ(モーガン・フリーマンのナビゲート)で「科学・技術は大切で、カッコイイ!」と説いている。

毎年開催されるこのイベントをエヌビディアもサポートしており、今回のワークショップはそのロボコンに参加した子供達88人が参加した。ワークショップでは、エヌビディアの社員がコンピューティングの歴史やAIとディープラーニングの可能性について丁寧に説明し、その後、同社が開発した、小型ながら低電力で動く高性能な開発者向けのAIのプラットフォーム、JETSONについてのワークショップが続いた。

このJETSONは様々な産業界でも既に使われており、ロボットに短時間で学習させて開発を効率的に行うことにも貢献する。ロボコンで活躍する若きギークたちが熱心にプログラミングに取り組んだ。私たちが世界の未来を作る!とも言いたげだ。ここに参加した子供達は、今回のカンファレンス内にある展示会場にも入る事ができ、特設VR体験コーナーはじめ、好奇心あふれる子供に積極的に最先端のテクノロジーに触れる機会を提供していた。

事例2:注目の自動運転に着目して、教育そしてキャリアアップや就職へ

カンファレンス会場で、UDACITYのロゴが入った展示車を見かけた。なんだろう?

UDACITY(ユダシティ)は、日本でも知る人ぞ知る、コンピュータサイエンス分野に特化したオンライン学習サイトのベンチャー企業だ。ロボット開発者、そしてコンピュータ科学者であるセバスチアン・スラン氏が創業し、テクノロジー企業の現役エンジニアを講師に招いた講座もあり、また企業とのコラボレーションを行い、教育からキャリアサポートまで行っている。スラン氏は、グーグルの自動運転車部門を率いていた経験もあるが、2013年10月には自動運転車の技術者養成を行う講座を展開した。

自動運転についての基礎から、コンピューター・ビジョン、ディープラーニング、車のハードウェアまで学べる(カリキュラムはこちら)。全4社、メルセデス・ベンツ、自動運転トラック、配車アプリ、そしてエヌビディアもその一つとして運営に協力している。同社によると、当初予測の数千人をはるかに上回る1万2千人が応募したのは「企業が競い合って自動運転車両の実用化を目指す、急速に変わりつつある自律走行車業界への関心が、加速度的に高まっていることを浮き彫りにしている。」とのことだ。こうした人材育成に積極的に関わり、自社の専門分野である半導体をアピールしつつも、それ深く関わる自動運転車の業界を支える活動は、誰にとってもメリットがある。

カンファレンスでの展示車は実際に公道で実験をしている自動運転車で、ユダシティの自動運転車コースで、受講者が作ったプログラムがこの車で試されるという。車にはそれほど関心がない筆者も、思わず自動運転車はどうなってる?と思わずのぞいた。自動運転のプログラミングの技術は、個人で習得するのは非常に難しい。最新のテクノロジーというのはもちろんだが、実際に走行する車やその場所も必要であり、、、そこを座学と実践で学び、またその先の就職先までも見据えて勉強するのは、確かに効率が良さそう。

日本では、例えば大学生が「働く」となると、「就職」そして「インターンシップ」という就職活動直前の活動がパターン化されているこの時代には、若者の関心を具現化するサポートをして、未来の社会づくりに関わることや自社の属する業界に興味を持ってもらえるような活動をする意味もあるのではないか。これからの社会とどうかかわるか、自分が関心を持つことにどう取り組むか、についてヒントを与えて、具体的な教育やトライアルの場を設ける。もちろん企業だから自社への就職含めてのキャリアにまで結びつける活動を行う。未来づくりを真剣に考えて取り組む企業だから、経験豊かな大人達だからできることだと思う。

取材・文・撮影/望月奈津子

@DIME編集部

最終更新:6/21(水) 6:30
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