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「日本人は監督に従順過ぎる」乾貴士を変えたエイバル監督の教え

6/21(水) 19:05配信

footballista

シュートを外してもいい。だが、勝利への渇望が足りないのは許さない

INTERVIEW with
JOSE LUIS MENDILIBAR
ホセ・ルイス・メンディリバル(エイバル監督)



昨季、奇跡のプレミア制覇を遂げたレスターが今季は苦しんだように、サプライズを起こしたクラブが2年連続で好成績を残すのは簡単なことではない。しかし、リーガ屈指の小クラブであるエイバルは、チーム得点王だったFWボルハ・バストンを引き抜かれながら前年を上回る10位フィニッシュを果たしてみせた。その立役者は間違いなく、チームを率いるメンディリバル監督だ。彼の下でプレーする日本代表MF乾貴士がインタビューの中で「自分がもし監督やったらこういうサッカーを、この人みたいなサッカーをやりたい」と心酔する指揮官は、いかにしてチームを導いているのか。J SPORTSのサッカー番組『Foot!』で4月7日に放送されたインタビューの全文を、番組の厚意でここに掲載する。



インタビュー・文 木村浩嗣
取材協力 J SPORTS『Foot!』



「残留確実」後の目標設定
10位以内で終えたい。残り4、5試合の時点で手が届くようなら『目標は欧州カップ戦だ』と言おう


──まずは誕生日おめでとうございます。56歳になられたんですよね。

「歳は言っちゃ駄目だよ(笑)。ありがとう」


──それと、残留ほぼ確定の方もおめでとうございます。

「今季は下にいるチームとの差が大きい。勝ち点40で残り11節(取材日時点)。数字的には絶対ではないが確実だろう。私たちはもう1年1部にいられることになった。だが残留だけを成果にしたくない。10位以内でシーズンを終えたい」


──内面の喜びを選手に隠して厳しく行くということですね。

「見せないよ。安堵して“目標は達成した”なんて油断せず、勝てるだけ勝ってできるだけ上位を目指す。7位とか8位とか9位で終えるのが全員のため、監督としての私、選手としての彼ら、エイバルという2万7000人の小都市のクラブがリーガエスパニョーラで残したものとしても重要だ」


──でも、周りはお祭りムードかもしれませんよ。
「ファンや人々が喜んでくれるのはうれしいし、お祭りムードであっても良いよ。努力と練習を楽しむことで良い結果が出ているが、緩むことは決してしない」


──欧州カップ戦出場という目標も頭をよぎるのではないですか?

「欧州カップ戦を目標とするのは大袈裟だと思う。私たちの最大の目標は残留で、その次が選手たちを10位以内に導くこと。もし残り4、5試合の時点で欧州カップ戦出場権に手が届くようなら、『目標は欧州カップ戦だ』と言おう」


──つまり1試合、1試合やって行くということですね。

「そうだ」


──去年2月にお会いした時は、チームは下り坂にあり負けが込み始めていました。ですが今季は違うようですね。

「その通りだ。昨季のようなことは起こってほしくない。昨年の今頃は何試合か負けても10位以内にいたが、チームが良い状態ではなかった。シーズンが終わった時には14位だったが、10位以内にいた私たちからするとこれは最悪の順位だった。今季のチームは昨季より良い。控え組が出た時でも昨季よりも貢献してくれているからね。昨季の二の舞はないと思っているが、私たちは限界までプレーするという意識を徹底させるつもりだ」


──選手のクオリティが昨季とは違うということですね。

「そうだ。今季の選手の方がコンペティティブだ。リーグ戦とカップ戦で水曜、日曜のペースで試合があり、多くの選手を代わるがわる起用する必要があったが、私たちの戦いのスタイルを変える必要はなかった。(コパ・デルレイでは)準々決勝まで進んだしね。今怖いのは目標を達成したことで油断してしまうこと。『やるべきことはやった』とね。だが、選手は個々の目標を持っているしチームは安住することなく最後まで戦ってくれると思う」


──「油断したら代えるぞ」とローテーションするのも一つの手段でしょうか?

「ただ、ここ3試合ほどはほとんど同じメンバーで戦っている。チームが良い状態の時に大きく変更するのは好きではない。結果が出て、戦えている。例えばタカ(乾)は試合に出ないよりは出る方が多いけど、ベンチを温めることもある。こういうふうに11人のレギュラーのうち2、3人を代えていくというのはやるけどね。しばらくすると日曜、水曜ペースで試合が続くようになるが、その時は疲労回復のためにローテーションが必要になるだろう」

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最終更新:6/21(水) 19:05
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