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「シカゴ・ファイアーでW杯?」4大スポーツの国に殴り込み。“シュバイニー効果”で快進撃

6/22(木) 18:50配信

footballista

名優たちの“セカンドライフ” #023

欧州のトップリーグで輝かしい実績を残した名優たちが、新たな挑戦の場として欧州以外の地域へと旅立つケースが増えている。しかし、そのチャレンジの様子はなかなか伝わってこない。そんな彼らの、新天地での近況にスポットライトを当てる。


from USA
Bastian Schweinsteiger
バスティアン・シュバインシュタイガー


文 寺沢 薫


 3月末、シカゴの地に降り立った元ドイツ代表キャプテンは、空港で多くのファンに歓迎された。続く入団会見では「シカゴ・ファイアーはW杯を目指せますか?」と的外れな質問を受けて困惑したりもしたが、サッカーに明るくない現地記者も出て来るほど、デビュー前から注目度は高かった。ただ、一方では「本当に彼はシカゴに必要か?」「まだ一流なのか?」という声も少なからずあった。すでに2人のボランチを獲得済みだったシカゴが、リーグ7位の約6億円という年俸を払ってまで特別指定選手を加える必要があるのか――と。


 無理もない。彼はマンチェスター・ユナイテッドでのここ2年でキャリア最大の不遇を味わい、ピッチで輝く姿は懐かしいものになっていたからだ。恩師ファン・ハールの下で1年目はケガに泣き、2年目はモウリーニョ新監督から早々に戦力外通告を受け、トップチームの練習参加すら許されない理不尽な日々を3カ月も過ごした。それでも腐らず、ひたむきな姿勢でボスを翻意させてトップチームに復帰したのはさすがだったが、今季の出場機会はカップ戦の4試合のみ。正直、アメリカでどのくらいのプレーができるかは未知数だった。


 そんな中、デビュー戦となった4月1日のモントリオール・インパクト戦でいきなり豪快なヘディングで初ゴールを挙げ、マン・オブ・ザ・マッチに輝く大活躍。ただし、スコアは2-2だった。


 「ちょっと悲しいし、あまりハッピーじゃない。勝てなかったからね」


 デビューゴール、正確無比なパスとボールタッチ、そして生粋の“勝者の哲学”を見て、同僚も、記者も、そしてファンも、W杯、CL、ブンデスリーガで頂点に立ってきた男の矜持を感じたはずだ。


 「バスティはチームのリズムを設定し、試合のテンポを変えられる。隙間さえ空けばどんなパスだって通せるんだ」


 中盤の相棒であるアメリカ代表MFマッカーティの言葉が、たった数カ月で彼がチームの中心になったことの証明だ。デビュー戦から10試合連続で先発して2ゴール2アシスト。“シュバイニー効果”もあってか、過去2年連続でMLSの東地区最下位に沈んだ弱小シカゴは、5月下旬の時点で東地区の2位につける快進撃を見せている。


■マウンドに上がれば“ノーバン投球”


 一人ぼっちで練習したマンチェスターでの鬱憤を晴らすかのように新天地でのプレーを楽しむシュバイニーは、すでにNHLやNBAを観戦し、MLBのカブス戦では始球式にも参加して“ノーバン投球”を披露するなど、私生活も充実の様子。


 「シカゴはスポーツの街。ブラックホークス、カブス、ブルズなどのクラブがあって、どれもビッグチームだ。ファイアーも同じレベルに成長することのが、僕の願いさ」


 同時に、彼はヨーロッパ発の世界的スター選手として、MLS全体の成長を助ける「責任がある」ことも自覚している。


 「アメリカの4大スポーツは最高だが、サッカーはまだトップレベルじゃない。だが、リーグとアメリカには大きなポテンシャルを感じている。MLSがいい方向へ進むよう、手助けをしたいんだ」


 32歳。キャリアの晩年と言うにはまだ早い。バイエルン時代からお馴染みの“背番号31”を背負ったMFの挑戦は、ここアメリカでしばらく続きそうである。


Bastian Schweinsteiger
バスティアン・シュバインシュタイガー
(シカゴ・ファイアー/元ドイツ代表)
1984.8.1(32歳) 183cm / 79kg MF GERMANY

2002-15 バイエルン
2015-17 マンチェスター・ユナイテッド(ENG)
2017-  シカゴ・ファイアー(USA)

最終更新:6/22(木) 18:50
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