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「住宅すごろく」時代の終わり 2030年、空き家率は3割へ

6/22(木) 18:11配信

日経BizGate

空き家率30%超で快適性は著しく低下

 近年、いわゆる「空き家問題」が社会を賑わせています。2013年時点で日本の空き家は820万戸あり、空き家率は13.5%です。2017年時点の空き家数は1000万戸を突破していると思われ、2030年の空き家率は30%台に上るという予測もあります。

 さて、研究者の間では空き家率が30%を超えれば、都市環境は悪化し、居住快適性が著しく低下することが知られています。空き家への侵入が増え、放火などの犯罪の温床になります。何より街が荒れてくると、暮らしている人々の心が荒みます。

 かつてベルリンの壁が崩壊したとき、旧東ドイツの人々が旧西ドイツに大挙して押し寄せ、東ドイツでは空き家率30%、40%といった都市が続出、地域の荒廃が大きな社会問題となりました。

 こうした事態を受け、2015年5月、日本では「空き家対策法」(空き家対策特別措置法)が全面施行されました。防犯、景観、衛生などの観点から危険や害があると判断されると、その家屋は「特定空き家」に認定されます。

 「特定空き家」になると、行政は固定資産課税台帳を参照するなどして、所有者名義を特定できます。また、空き家への立ち入り調査も行えるほか、修繕や撤去を命令、さらに行政代執行で建物を解体、その費用を所有者に請求することができます。

 同様に税制改正ではこうした空き家について固定資産税の軽減措置を見直す、つまり固定資産税を6倍に増税する見込みです。

 しかし、こうした一見ドラスティックにみえる方策も、効果のほどは限定的というのが大方の見解です。というのは、この法律は、さまざまな意味で危険とみなされた「特定空き家」にしか適用されないからです。

 さらに、行政代執行によって空き家を壊したとしても、解体費を所有者から回収できるのかという問題があります。秋田県大仙市では、国の法施行に先駆けて独自に条例を定め、これまでに空き家を約600万円分取り壊しましたが、回収できたのは3万円に過ぎませんでした。

 こうなると、「特定空き家」は事実上「税金を使って壊す」ということになり、自治体の財政を圧迫しかねません。

 さらに今後、都市部で顕在化しそうなのが、「空き家マンション」の問題です。立地の良い一部マンションを除き、売買・賃貸などのニーズがないマンションは建物とともに所有者も高齢化、徐々に人がいなくなり、修繕積立金も貯まらず、スラム化する可能性があります。

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最終更新:6/22(木) 18:11
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