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震災後、IKEAが子どもたちのためにつくったのは「学校」だった

6/22(木) 12:17配信

WIRED.jp

イタリアの小さな町・クロニャレートに、たった45日間で建設された学校。総費用50万ユーロうち15万ユーロは、約7,000人のIKEAの従業員からの寄付だった。2016年8月にイタリア中部を襲い、300人近い死者を出した大地震のあとの、ある出来事。

震災後、IKEAが子どもたちのためにつくったのは「学校」だった

その日、その広場には何十人もの人々が集い、祝った。その様子は、まるで守護聖人のお祭りのようだが、祝典が行われているその大広場は、ほんの45日前には存在していなかった。

存在していなかったという話をするなら、それはアブルッツォ州クロニャレート(イタリアにおける自治体の最小単位「コムーネ」のひとつ。人口は約1,600人)の新しい学校「アルフレード・クワランタ」も同じだ。これは、2016年の地震で被災した地域の子どもたちに対する、IKEAの贈り物だ。美しい外見はカラフルで、居心地もよさそうだ。

「アルフレード・クワランタ」は、恐らく公的施設の建築において、あらゆる記録を打ち破るスピードで建てられたプロジェクトだといえる。

この“贈り物”には、「IKEAはクロニャレートを抱きしめる」という言葉が添えられていた。公開されたプレートに書かれたこのメッセージは、この日開催された祝典の間も繰り返し述べられた。列席している人々のなかには、首相府政務次官マリア・エレナ・ボスキ、IKEAイタリア代表取締役ベレン・フラウ、クロニャレート市長ジュゼッペ・ダロンツォの姿があった。

この贈り物を実現するために、7,000人以上のIKEAイタリアの従業員たちは、プロジェクト実現のために費やした約50万ユーロ(約6,200万円)のうち15万ユーロ分の貢献をした。

あたりを漂う空気は爽やかだ。太陽は容赦なく照りつけるが、参加している人々は誰も疲れた顔をみせていない。これは「集団の再生の儀式」なのだ。というのも、被災地の再生について語るとき、震災で被害を受けた建物のなかでも「学校」は重要な意味をもつ場所だからだ。

なにしろ学校は、「これからの町のコミュニティを形成する男女を教育し、成長させる場所」だ。自然災害のあとで学校の活動が再開されることは、強力かつ重要な復興の印と感じられるものだ。この地では、まずは幼稚園・小中学校が生まれた。そして、今後は地域の60人以上の生徒たちが入学することになっている。

子どもたちには、重要なメッセージが伝えられることになる。それは「いまは、前に進む時だ」ということだ。さらに市長のダロンツォの言葉を引用すれば、「まだ勝負に勝つことができる」。

学校は、色と大きさの異なる2つの建物に分かれている。一方は木造で、2つの大きなガラス戸が特徴だ。もう一方は小さく、全て漆喰が塗られていて、カラフルな装飾で彩られている。

総面積は合わせて325平方m。環境共生素材を利用したサステイナブルな建築基準を満たしている。さらに「クラスIV」の耐震性能を誇っており、再び地震が起きたときには市民が集まる場所になっている。

式典は、始まったときと同じように、テープカットと司教の祝福、子どたちによる色とりどりの風船飛ばしで幕を閉じた。

わたしは、写真を撮るために子どもたちに近づく。彼らは疲れているが幸せそうだ。そして、とても興奮している。その目を見ていると、微笑みたくなる。なぜなら、彼らがもう怖がっていないことがわかるからだ。

この1年間は、とても厳しい試練だった。しかし、彼らは、再び信じ始めた。

ALESSIO JACONA

最終更新:6/22(木) 12:17
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