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『AKB48選抜総選挙』が生んだ波乱と課題 香月孝史が結果から読み解く

6/22(木) 17:00配信

リアルサウンド

 AKB48グループによる『AKB48 49thシングル 選抜総選挙』が6月17日に開催され、一連の経緯とその波紋が連日ニュースとして報じられている。

 各グループごとのトピックを挙げだすとキリがないが、指原莉乃(HKT48/STU48)が1位となり3連覇を果たしたこと、2位の渡辺麻友(AKB48)が卒業を発表したこと、速報1位の荻野由佳(NGT48)が最終発表でも5位に付けたこと、スピーチでは須藤凛々花の発表を巡って各メンバーがスピーチで自身のアイドル論を展開するなど、グループ内外のファンにもその内容が波及している。

 今回の結果について、『「アイドル」の読み方: 混乱する「語り」を問う』の著者であり、AKB48グループに詳しいライターの香月孝史氏は、「総選挙を代表的な価値観で総括するのは難しくなった」と分析する。

「グループが次々と誕生し、投票の対象になるメンバーの幅が広がったことで、総選挙をなにか一つの代表的な価値観で総括するのは難しくなったと感じます。渡辺さんや指原さんなどをはじめ、いち芸能人としてのキャラクターや立ち位置をそれぞれに確立していくメンバーも多くなり、“AKB48グループ内の順位”のような単一の文脈を作ってそのなかで競うことがなじみにくくなってきたと言ってもいいかもしれません。その大きな節目になったのは、総選挙が立候補制になり、2015年の『AKB48 41stシングル選抜総選挙』から不出馬を選ぶ人気メンバーが続々と登場したこと。『どう戦うか』ではなく『そもそも総選挙に対してどういうスタンスを取るか』自体にメンバーごとの主張が込められるようになってきました」

 また、同氏は今回の『総選挙』について「総選挙の持つ意味合いが大きく変化した一年になった」という。

「今年は特に『総選挙』がメンバーたちの価値観をぶつけ合うフィールドとして機能しているように感じられました。これまでも『総選挙』は『メンバーそれぞれが無数のドラマを生むための装置』として機能してきました。その『総選挙』は今回、単に順位をめぐってドラマが生まれるというよりも、個々が48グループ内でのそれぞれのスタンスを見せる場所になっていたと感じました。それを最も色濃く打ち出していたのがNMB48だったと思います。NMB48については、グループのエースである山本彩さんが不出馬を選び、同じく独自のスタンスを築いている木下百花さんと一緒に実況動画を配信して、グループ内にいながらも俯瞰的な立場で見守っていました。そしてグループ内外に向けて爽快な主張を見せたのは選抜入りを果たした吉田朱里さんでした。YouTuberとして動画の配信を続け、これまでにはなかった層からの支持の拡大・ファン開拓に成功し、スピーチでは『現在のAKBグループは外への発信力が足りない』と問題提起したのも、今年の彼女だからこその説得力がありました。ハプニング的に議論を呼んでいる須藤凛々花さんも含めて、選挙に対する関わり方の多様さを最も見せていたグループだと思います」

 また、荻野を筆頭に大番狂わせを起こしたNGT48の活躍についてはこう振り返る。

「NMB48が個々人のスタンスの発信に長けているとすれば、グループ単位で勢いを見せることに成功したのがNGT48ですね。荻野さんや本間日陽さんといった期待のメンバーやキャプテンの北原里英さんが選抜入り、中井りかさんと高倉萌香さんといったシングル収録曲でセンター経験のあるメンバーもアンダーガールズにランクインするなど、バランスの良い結果となりました」

 最後に、渡辺の卒業発表のほか、須藤のスピーチに釘を刺した高橋朱里や岡田奈々の発言も目立ったAKB48について、同氏はこう語る。

「AKB48のメンバーに関しては、トリッキーなやり方を目指すのではなく、王道を大事にしたいという方向性の発言が目立ちました。選抜上位のメンバーがそれぞれに守ろうとする価値観は、ともすれば他グループの上位メンバーのスタンスと対立するものですし、その中で何を正統とするのかを一面的に定められるものでもありません。そうした構図が表に現れたことも含めて、このイベントが価値観の衝突の場になっていたと思います。各メンバーの価値観や48グループ内でどう立ち回っていくか等のスタンスが以前よりも強く発露するようになった現在、『総選挙』はいろんなベクトルの人たちを強引に一つの競技に押し込めて提示するようないびつさもはらんでいます。だからこそ発生する面白さと不協和音とが、今年は同時に顕在化したのだと思います」

 各グループのスタンスが顕在化し、多様化が進んだからこその波乱や問題も目立ち始めた『AKB48 49thシングル 選抜総選挙』。今回の反響を受け、それぞれがどんなスタンスを選び取るのか、引き続き注目したい。

中村拓海

最終更新:6/22(木) 19:17
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