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書店で即売り切れ続出! 寂しいと言えなくなったすべての大人たちへ――Twitterフォロワー数13万人超・Fの処女作『いつか別れる。でもそれは今日ではない』

6/22(木) 11:00配信

ダ・ヴィンチニュース

 発売日の翌日、Amazonで購入しようとしたら既に「入荷待ち」になっていた。都内の書店を数軒回っても、「在庫切れ」と言われる。結果、手元に届いたのは2週間後。Twitterフォロワー数が13万人超のF氏のデビュー作『いつか別れる。でもそれは今日ではない』(F/KADOKAWA)の話である。

 著者のF氏について、多くは明らかになっていない。本書を読んで分かったことは、

・黒髪の男性(ただ、作中に女性を思わせる表記も多々あるので混乱するが)
・既婚者
・新宿に住んでいる
・11月生まれ

 ということのみ。謎に包まれている。Twitterでのフォロワー数が13万人とはいえ、芸能人でも政治家でもない人物のデビュー作が発売早々売り切れというのは、めったにあることではない。タイトルからしてどこか達観した雰囲気で、読む前から興味を惹かれた。

 本書の内容は、エロ要素あり、風刺要素ありの大人のためのエッセイだ。第1章「恋愛講座、もしくは反恋愛講座」は、女と男・愛・セックスがメインテーマ。恋愛至上主義の女子をぶったぎるような内容が続く。第2章「優等生の皆様、不良の皆様」は、よりよい人間関係とは何かをメインテーマにしていて、世間体や孤独などと戦う方法が語られる。早い段階で知っておけば役に立つことばかりだが、社会人になってからも即効性のある人間関係の捉え方が満載だ。

 本の中身をいくつか紹介しよう。

サラダは取り分けなくてよし。無理に笑わなくてよし。季節感なくてよし。ピンクの服を着なくてよし。スマホの画面も割れててよし。野蛮でよし。生きていればよし。ただ好きなように好きなことをする自分のことが好きな人しかもう愛さなくてよし。013女子力を死語にしましょう
好きなものを好きだと言い続けないと、好きな人は寄ってこない。そして嫌いなものを嫌いだと言わないと、嫌いな人は離れていかない。いつでも、どこでもそうだ。……嫌われる勇気より、嫌う勇気。集中すべきなのは、自分の感情に対してだけであるべきだ。024嫌われる勇気なんて必要ない
ずっと好きでいるには、どうすればいいかと悩む人もいる。これが、最も普遍的な悩みかもしれない。なにかをしなければならないだなんて義務は、そもそも私たちに一つもないのに。いつかは別れる。でもそれは今日ではない。それだけでいいじゃないか。……ずっと、なんてない。だから今が楽しく、切なく、永遠なのだ。056いつか別れる、でもそれは今日ではない
 また、F氏が本書の中でたびたび挙げる言葉がある。「ご機嫌に生きる」というものだ。私たちにはそれ以外の義務はなく、負のエネルギーのために時間を使うのはバカバカしいというのがF氏の信条。つい色々なことに捉われてご機嫌に生きられない現代人の胸に、静かに響く。

 おそらく20代と思われるF氏が紡ぐ言葉は、あるものは温かく、あるものは胸に突き刺さり、そしてあるものはポエム的すぎてちょっぴり理解不能。極論も多く、全ての言葉に現段階で共感できる人は少ないかもしれない。でもきっと、折々に読み返したくなると断言できる一冊だ。自分の価値観に向き合うために。特に、失恋したり、世の中に絶望したりした、一人きりの寂しい真夜中に。

文=佐藤結衣