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巨人低迷は「世代交代の失敗」にあらず? サイクルの終わりは始まりへの準備期間【死亡遊戯コラム】

6/23(金) 11:30配信

ベースボールチャンネル

 5月25日から13連敗し、交流戦は10位、セ・リーグでは4位(6月22日時点)に位置している読売ジャイアンツは、高橋由伸率いる巨人になってもまだ、阿部慎之助内野手や山口鉄也投手らに頼り、原巨人から脱却できずにいる。よく「世代交代の失敗」という言葉を耳にするが、今年は「新たなサイクルを始める準備期間」という考え方に変えていくべきなのかもしれない。

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■5年前に巨人を支えていた4人が現在は2軍に…

 これは巨人にとってピンチであり、チャンスでもある。

 阿部慎之助が18日の千葉ロッテマリーンズ戦で2打席連続ホームランを放った直後の第3打席、顔面付近の投球をよける際に右膝をひねり、翌19日に登録抹消された。

 阿部自身は原辰徳氏を超えるチーム歴代3位の通算383号で2000安打まであと31本と迫っており、チームも球団ワーストの13連敗と苦しんだ交流戦だったが、後半6試合は5勝1敗と復調の気配が見えていただけに痛い離脱である。

 これで5月22日の山口鉄也、6月16日の内海哲也に続き、また一人長年巨人を支えた主力選手の2軍行きとなった。

 思えば、5年前。原辰徳氏が指揮を執り、阿部や内海や山口鉄らが投打の中心となりチームを牽引していた頃の巨人は交流戦優勝に始まり、ペナントレース、 クライマックスシリーズ、日本シリーズ、アジアシリーズまですべて制覇。史上初の五冠達成とまさに強さのピークにあった。

 ちなみにこの年、「4年20億円」「背番号18」の破格の条件で福岡ソフトバンクホークスから巨人にFA移籍して来た杉内俊哉は、内海とともに左腕ダブルエースを結成し5月30日楽天戦でノーヒットノーランを達成。シーズン終盤は左肩の違和感で戦列を離れるも12勝を挙げ、172奪三振で最多奪三振のタイトルにも輝いた。

 ここで彼らの2012年と今季の成績を比較してみよう。

阿部慎之助
12年(33歳)138試合 打率.340 27本塁打 104打点 OPS.994
17年(38歳)60試合 打率.250 10本塁打 38打点 OPS.730
※12年はMVP、首位打者、打点王、最高出塁率、ベストナイン、正力松太郎賞、そして内海とともに最優秀バッテリー賞を獲得。

内海哲也
12年(30歳)28試 15勝6敗 率1.98
17年(35歳)7試 1勝5敗 率6.06
※12年は前年に続き2年連続の最多勝とベストナイン、セ・パ交流戦と北海道日本ハムファイターズと対戦した日本シリーズで立て続けにMVP受賞。

杉内俊哉
12年(31歳)24試 12勝4敗 率2.04
17年(36歳)登板なし(3軍でリハビリ中)
※移籍1年目の12年は最多奪三振獲得。

山口鉄也
12年(29歳)72試 3勝2敗 47HP 率0.84
17年(34歳)13試 1勝1敗 3HP 率1.80
※12年は144試合のちょうど半数の72試合に登板。47HPで最優秀中継ぎ投手賞を獲得。日本シリーズでも胴上げ投手に。

 こうして振り返ると、5年という時間の長さを実感する。あの時は4人それぞれ年齢的に野球選手としてピークを迎えていたが、今の阿部は捕手から一塁手となり、内海はエースの座を12年秋にドラフト指名された7学年下の菅野智之へと譲った。


■次のサイクルを始める準備期間

 股関節手術からの復帰を目指す杉内はここ2シーズン1軍登板は0で、昨季まで9年連続60試合登板を続けていた山口は勤続疲労もあり2軍降格後はイースタンでの登板もない。

 誰だって歳は取る。強い巨人をど真ん中で支えていた男たちは、もう1軍にはいない。
 大型連敗をしている最中、その原因としてよく「世代交代の失敗」という言葉を聞いた。
 確かにそれは一理あると思う。

 でも、別の角度から見たら阿部や内海や山口鉄といった面々と、世代交代できるような若手選手がそうそう出てくるわけもない。

 言ってしまえば、一流のタイトルホルダーたちとスムーズな世代交代などできるわけがないのだ。
 リーグV3を達成した頃の巨人の強さは、いわば彼らに依存していた。
 その彼らが年齢とともに同時期に衰えた。で、チーム力も必然的に低下した。

 真実はシンプルだ。一言で言えば、「巨人はチームとしてひとつのサイクルが終わった」のである。

 つまり2017年の由伸巨人は、次のサイクルを始めようとしている準備期間というわけだ。
 もちろんプロなんだから、やるからには優勝を目指す。
 首位と離れたら、なんとかAクラス入りを狙おうとするのは当然だ。

 現在29勝36敗のリーグ4位。3位DeNAとは2.5ゲーム差。
 オフにはスカウト体制を刷新し、先日はGMも代わった。誰もが薄々このままじゃいけないと気づいている。

 今季残り78試合。由伸監督は「2012年の五冠メンバー」に頼らなくても戦えるチームの土台作りをどこまで推し進めることができるだろうか?


中溝康隆

ベースボールチャンネル編集部