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砂漠の旅にふさわしい服は、都会の砂漠にもふさわしい──イッセイ ミヤケ メン 2018年春夏コレクション

6/23(金) 19:27配信

GQ JAPAN

柔らかくリラックスした風合い、自然から着想した模様。しかも、画期的な利便性を持つオリジナル素材に注目。

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一瞬、作務衣(さむえ)を思わせるサンドブラウンのブルゾンシャツでスタートした。日本の働く男の服。そう思ったが、着想を得たのは、「砂漠の旅」だという。灼熱の砂漠でも快適な服。ふさわしい素材はイッセイ ミヤケ メンが、70年代前半から使い続けている、ダブルフェイス コットンだった。その柔らかな風合いは、己の力のみを頼りに生きる、過酷な環境下の肉体に優しい。アースカラーは目からも脳に「リラックス」の信号を伝える。同じ素材に塩縮加工を施したものには、独特の「しぼ」が出た。あたかも女性用の着物生地であるちりめんを、ワイルドにしたような外観を持つジャケットは、不思議に男らしく、そしてイッセイのもう一つのアイコンである「プリーツ」のパンツの質感にもマッチする。

しかし旅は、過酷であるばかりではない。砂漠の夜と昼をイメージしたような、キモノフロント(交差した前合わせ)のプリントシャツ。襟を立て、風から首筋をエレガントに守ることのできる純白の麻混ジャケット。いずれもカジュアルながら、豪奢なリゾート地にもふさわしい。たとえば、かつてのペルシャあたりの王族に招かれたらこれを着たい。いや、同じ気分を大手町にある高級ホテルのカフェでも味わいたい。服による脳内トリップ。

そしてランウェイには、柄を織り上げた、立体感豊かなコートやジャケット、パンツまでが現れる。きりんのような動物の毛皮にも似た独特の抽象柄は、風を受けておりおりに形を変える砂漠の大地をイメージしたもの。どの素材も軽量で、アイロン不要の機能性まで持ち合わせる。こうしたオリジナルの素材開発は、同ブランドのまさにお家芸だ。同様に、風をはらんだような豊かな量感も、イッセイ ミヤケ メンならでは。カーキ色のトレンチコートや、墨黒のコンビネゾンが見せる、ふんわりとしたシルエットは、着る人の人間性までをも豊かに見せる。2014SSコレクションから、デザインを担当する高橋悠介は、ブランドの遺伝子を忠実に引き継ぎながら、現代的にアップデートするのが巧みだ。

それにしても、縫製後に製品プレスを施し、ランダムな縦シワをいれたジャケットやパンツは、やはりアイロンがけが不要なだけでなく、水洗いも可能で、乾きも早いという。なんと利便性に富むことか。シルエットも体を締め付けないから、徹底して実用本位でもある。

となると、旅もよいが、そういう服こそ、毎日の通勤にふさわしいのでは、と思えてくる。世界中が熱波に苦しむ今、仕事着のマナーも変わっていったほうが合理的だ。堅苦しくない素材のジャケット、自由なシルエットや丈のパンツ。美意識を満足させつつ快適至極でもあるイッセイの服は、未来を予感させる。

Words: Chiyumi Hioki

最終更新:6/23(金) 19:27
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