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景気拡大と株高、実は今が"正念場"? 

6/23(金) 19:26配信

会社四季報オンライン

 昨年6月のBREXITで世界経済の低迷が長期化するかと思われたが、意外にも経済は昨年後半から予想外の盛り上がりをみせた。そうしたなかで国内景気も輸出・製造業主導で上向き、業績の好調さが日本株の上昇をもたらした。こうした景気拡大と株高の基調は続くのか。

 昨年11月のトランプ政権誕生で大型減税などの景気刺激策への期待が世界的な株高をもたらしたのは事実だが、これはあくまでも「期待」だ。昨年半ば以降の想定外の世界経済拡大を実需面から牽引していたのは、中国経済の盛り上がりだったと言える。

 中国当局は中長期的な構造改革を重視するだろうから、中国景気は減速傾向を辿るとみられていたが、中国の成長率は、昨年7~9月の6.7%から10~12月6.8%、今年1~3月は6.9%と逆に加速した。

 インフラ投資(公共投資)の拡充などによる積極財政政策と、スマホの買い替え需要などによるIT関連の需要増加が、各国の中国向け輸出を増加させ、景気回復は世界全体に波及したというわけだ。

■ 中国景気拡大に陰りも

 ただ、ここへきてそうした景気拡大の勢いにも陰りがでてきているようにも思われる。確かに、習近平総書記にとっては、秋の共産党大会まで景気を安定させることが最重要課題であることに違いない。しかし、今年の成長率目標は「6.5%前後」であり、7%近い成長は明らかにスピード違反だ。「やり過ぎ」が認識されたためか、積極財政で景気を刺激し続けるという当局の方針も幾分変わってきているようにも思われる。

 実際、固定資産投資(民間設備投資と公共投資の合計)のうち、インフラ投資の前年比増加率は1~2月の27.3%増をピークに、直近の1~5月は20.9%に鈍化した。また、住宅価格の値上がりに対して当局は規制を強化している。

 一方、IT関連の需要は水物だ。ブームがちょっとしたことで急変するのは2000年頃のITバブル崩壊の経験が役に立つ。中国の小売売上高統計のなかで、通信機器の販売は1~3月が前年比11.6%増と高かったが、4月6.1%増、5月1.9%増と急速に鈍化している。IT関連の実需の増加は一服している可能性がある。ここへきての米国のIT関連株の反落も需要一服を暗示しているとも言えなくない。

 中国景気は幾分減速しているとみられるが、景気減速に連動して中国の輸入の伸び(ドル金額ベース)も、1~2月の前年比26.5%増から、1~5月は19.5%増に鈍化した。中国の輸入が鈍化しているというのは、世界各国の対中輸出が鈍化していることを意味する。

 実際、通関統計からみた日本の中国向け輸出も頭打ちになっているようにみえる(図1参照)。5月の日本の通関輸出はEU向け船舶輸出の増加が下支えになったが、おそらくは一時的な増加であり、やはり牽引役である中国向けがどうなるかが気になる。

■ 今後の景気の見極め材料は

 先行きについての不安要因が広がるなかで、輸出・製造業主導で拡大してきた日本の景気がこのまま拡大基調を辿り続けるかどうかを見極める必要がある。大きな材料として、とくに今月30日(金)に発表される鉱工業生産と来月3日(月)に発表される日銀短観に注目したい。

 サービス化の進展によって製造業が経済全体に占める比率は2割程度に低下しているが、それでも景気の動きに敏感な製造業の動向は端的に日本の景気全体の動きを示す。

 そして、製造業の生産動向を示す鉱工業生産は、輸出の動きに連動して、昨年後半以降、上向きで推移してきた(図2参照)。

 ただ、直近の動きをみると輸出が伸び悩んでいるようにみえるのに対し、月の生産は前月比4.0%増と大幅に増加した。一方、生産者在庫は11月以降5カ月連続で増加し、メーカー側は強気で、輸出などの販売を上回る生産を行っていることを示す。こうしたなかで、もし輸出などの販売が頭打ちになれば、後ろ向きの在庫が増加するおそれがあり、その際、生産調整が必要になる。

 4月時点で、主要産業の生産計画を集計して作られた製造工業生産予測指数によれば、生産は5月2.5%減、6月1.8%増と4月に比べると減少するが、なお高水準で推移する見込みだ。しかし、もしこれが輸出の動きに合わせて下方修正されるようなら、要注意だろう。

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