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イッセー尾形は60歳で人生ひと回り 「いま、死んじゃ困る」

6/24(土) 7:00配信

NEWS ポストセブン

「今日は、最高! 上手くいった!」──公演を終え、屋外の喫煙所に出てきたイッセー尾形(65)は、晴れやかな顔でそう言った。身体と頭をフルに使い切ったあとの清々しさが全身に満ちている。

 この日、イッセーは、北海道・釧路市民文化会館で、前日に引き続き「一人芝居~妄ソーセキ劇場 in 釧路」の舞台に立っていた。夏目漱石の小説を題材に、自身の解釈を加え、一人芝居に落とし込んだものだ。1時間30分を目安に作られたプログラムは、この日、1時間50分にまで延びていた。

「昔からそうですけど、演じる時間が延びることがバロメーター。それはお客さんと一緒に時間を楽しみ、舞台の上でいろんなものを発見しているということですから」

 1980年代前半に一人芝居を始めたイッセーは、映画やドラマなどの仕事をしながら、その後も切らすことなくこのオリジナル芸を磨き続けてきた。

 もちろん、40代に比べれば、1時間半を超える舞台を一人でやりきるには、それなりに心身への負担が大きくなっているはずだ。体力、記憶力、客の反応を拾って返す力……。

 が、その立ち姿、歩き方からは年相応の老いが見てとれない。

「5年前に、長くいた事務所を離れてフリーになって、定期的なライブがなくなって。身体がなまってきたから、2年半ぐらい前からピラティスを始めたんです。

 この間、ある番組の衣装合わせがあって、衣装部屋の壁に大きな鏡があった。近づいていくと、変な話ですけど、鏡の中の自分がすごく堂々としていて、がっちりしていて、これが俺か、と思ったんです。

 それまでは、猫背で細くてどこかが曲がっている、という自己イメージだったんですけどね。食事も三度三度食べるようになりましたし。ピラティスさまさまです」

 還暦を迎えてからというもの、イッセーには大きな転機がいくつも訪れている。事務所から離れたこと、ピラティスを始めたこと、漱石の一人芝居という新しいフィールドを得たこと。そして、遠藤周作原作、マーティン・スコセッシ監督作品『沈黙─サイレンス─』への出演。イッセーは、隠れキリシタンを弾圧する奉行・井上筑後守役で、ハリウッドでも高く評価された。

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