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ペプシ炎上後、社会問題に「口をつぐむ」広告主の胸の内

6/24(土) 7:10配信

DIGIDAY[日本版]

旅行予約サイトのエクスペディア(Expedia)は1月、世界観を広げることの重要性を訴えたスポット広告を流した。世界のさまざまな地域を旅する1人の女性が、アジアで楽しい夜を過ごしたり、難民を支援するボランティアで厳しい体験をしたりするというものだ。この考えさせられるスポット広告は、クリエイティブエージェンシーの180 LAが制作した。

エクスペディアが、自社の広告キャンペーンで社会的問題や政治的問題をテーマにしたのは、これがはじめてではない。だが、エクスペディアと180 LAは現在、議論を引き起こすような問題を広告のテーマにするという戦略を見直している。

「我々は分裂の時代に生きており、政治情勢は非常に緊張している」と、180 LAでマネージングパートナー兼最高クリエイティブ責任者を務めるウィリアム・ジェルネール氏はいう。「多くのクライアントが転換点を迎えている。信条に基づいたキャンペーンを展開する前に、じっくりと検討するための時間を取っているのだ」。

この数年、さまざまな大手ブランドが、社会的・政治的問題をテーマにした広告を積極的に採用してきた。このトレンドが最高潮に達したのが、2016年の米大統領選挙直後だった。だが、ペプシ(Pepsi)のCMが炎上した出来事を受け、多くの企業がこうした戦略を慌てて中止しはじめた。このCMは、モデルのケンダル・ジェンナー氏が、仕事の途中で抗議活動に参加し、ペプシをデモを制御している警官に手渡すという内容だ。

フェイクに敏感になった人々

「ちょうどペプシのCMのように、社会の時流に添ったキャンペーンは顧客の共感を得る手軽な方法として、多くのブランドに利用されてきた」と説明するのは、サンフランシスコを本拠とするエージェンシー、トラクション(Traction)のCEO、アダム・クラインバーグ氏だ。「だが人々はフェイクニュースややらせにとても敏感になっている」。

人々の関心が高いホットなテーマをタイミングよく取り上げ、クールなTVコマーシャルに仕立て上げるという手法は、ここ数年の標準的な戦略になっているが、単に社会的、政治的理念に賛同するだけでは信用を得られないことに、ブランドは気づきはじめた。そのコマーシャルが確固とした洞察に基づいたものでなければ、ただ時流に乗ろうとしているだけであることが簡単にバレてしまうのだ。また、場合によっては、まったくの善意による取り組みが完全に裏目に出ることもある。スターバックス(Starbucks)のバリスタが人種についての会話を促そうとした試みを覚えているだろうか(東洋経済の記事)。

あらゆることが政治的な意味を帯びるようになったいま、ブランドとエージェンシーは、ごくわずかであっても政治的なことがらに触れたくないと考えている。

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