ここから本文です

JALのWiFi無料化、ANAは動かないのか?

6/24(土) 12:30配信

Wedge

 日本航空(JAL)が6月20日以降、機内でのインターネット無料サービスを打ち出したのが利用客に受けている。これまで8月末までは期間限定で無料としていたが、利用者に快適な機内サービスを提供しようと、ライバルである全日空(ANA)より先行して全面的に無期限で無料化を決めた。ビジネス客にとってメールのチェックは飛行機の中でも不可欠のルーティン、それが無料でサクサクできるのであれば、ビジネス客の一部がJALに流れるかもしれない。

静観の構えをみせるANA

 このサービスは、インターネットに接続できる無線によるWiFiを使って行うもので、JALすべての国内路線で無料サービスを提供する。これにより、離着陸時の5分間除く飛行機に乗っている間は、いつでも無料でインターネットが利用できる。ANAはいまのところ、40分利用で550円、フライト中使えるフルフライト利用で1050円の2種類の有料サービスをしているが、いまのところ無料化する予定はないという。しかし、機内ではスマホなどを使ったメールなどのやりとりを間断なくする人が多い中で、ANAが無料化に追随せずにいられるかどうか。

 スマホやタブレットの普及により、機内でもメールの確認などの仕事をする利用客が増えている。少し前までは、機内ではインターネットがつながりにくいなどの問題があったが、いまでは電車や地下鉄車両内と同じようにつながるのは当たり前となっている。このタイミングでJALがANAに先行して無料化を決めたのは、サービス内容の「差別化」を意識したためで、メールが仕事の生命線ともなっている多忙なビジネス客にとっては、無料化はうれしいサービスになる。ビジネス客でない利用者もSNSなどインターネットを使うケースは増えている。

「謹慎」明けで攻めに転じるJAL

 JALは10年に会社更生法を申請して公的資金が投入されたことから、今年3月末までは、国土交通省の管理下に置かれ、新規ビジネス、新規路線の申請などはできなかった。しかし、4月1日以降は、「謹慎」が終了し、経営の自由度が増した。ANAが昨年10月に就航させて遅れをとっていた羽田―ニューヨーク路線も4月1日からスタートさせ、9月1日からは成田―メルボルン、成田―コナ(ハワイ)路線も新たに就航する。

 4月28日に発表したJALグループの2017年度から20年度までの中期経営計画では、「挑戦、そして成長へ」をテーマに掲げており、少しずつ拡大を目指そうとしている。「規模を追わず、収益を重視する」という考え方は踏襲しているが、20年度の売上高は16年度比16%増の1兆5千億円を予定、座席供給量も国際線は同比23%増、国内線は5%増としており、17年度以降は「反転攻勢」を狙っている。

 今回のネットサービス無料化はその一つの表れとも言えそうで、再燃するJALvsANAのサービス競争の前哨戦とも言えそうだ。国内線は全体の需要が伸び悩む中で、ビジネス客の奪い合いが勝負を決めかねない。JALがネットサービス無料化に続いて、どのようなサービスを提供するか注目する必要がありそうだ。

 一方のANAはJALが動けなかった約6年間の間に国際線を大幅に伸ばすなど拡大路線を取ってきたが、JALがサービス拡大を強化すると利用客を奪われる恐れもあり、ANAがどのような対抗策を出すかも注目点だ。

中西 享 (経済ジャーナリスト)

最終更新:6/24(土) 12:30
Wedge

記事提供社からのご案内(外部サイト)

月刊Wedge

株式会社ウェッジ

2017年10月号
9月20日発売

定価500円(税込)

■特集  がん治療の落とし穴 「見える化」で質の向上を
・玉石混交のがん治療
・質を競い合う米国の病院
・効果不明瞭のまま際限なく提供される「免疫療法」の〝害〟