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永井秀樹ユース監督は伝えた。「みんながヴェルディの歴史を創るんだ」

6/24(土) 23:10配信

webスポルティーバ

永井秀樹「ヴェルディ再建」への道(2)

◆目先の勝利より、大切なことがある

【写真】ヴェルディの改革に取り組むスペインの名将

 高円宮杯U-18サッカーリーグ・プリンスリーグ関東(※)の開幕が目前に迫った3月29日、東京ヴェルディユースは早稲田大学と練習試合を行なった。
※高校とクラブなど第2種登録チームのすべてが参戦し、ユース年代のトップを決めるリーグ戦。最高峰のリーグは『プレミアリーグ』と呼ばれ、EAST10チーム、WEST10チームで争われる。その下のクラスに、各地域(北海道、東北、関東、北信越、東海、関西、中国、四国、九州の9地域)ごとに行なわれている『プリンスリーグ』がある。

 今季からユースの監督に就任した永井秀樹から選手への指示は、「自分たちでのボール保持とゲーム支配。絶対に下がらず、狙うのは前からのプレッシャーとインターセプト」のみだった。

「自分の目指すサッカー、”色”をはっきりと浸透させたかった。『90分間のボール保持とゲーム支配』『90分間ボールを持ち続けて(相手を)圧倒して勝つ』というのが、自分の目指すサッカー。目指す形を極端すぎるくらい叩き込まないといけないと思ったので、あえて守備の話は一切しないようにしていた」

 選手たちはある意味、永井の指示を忠実に守った。結果、ヴェルディユースはここまでの練習試合と同じく、早稲田大学にも0対15(45分×3本)という大敗を喫した。

「『練習試合は全員使う』というのが自分の考え。早稲田との試合も、1年生だろうと関係なく全員使った。それはやられるよね。ついこの間まで中学生だった子が、大学4年生に裏にボールを蹴られて、『よーいっ、ドン!』って走られたら勝てるわけない(笑)」

「甘いかもしれないけれど……」と前置きしたうえで、永井は「勝ち負けよりも大切なことがある」と話した。しかし、勝負事である以上、最も大切なことは”勝利”ではないか。ましてプロとして生き残るためには、何を差し置いても勝負根性を叩き込むことが大切なのではないか。

 永井に聞いた。

「本質を大切にして、いいサッカーをして勝つ。これを目指さずに勝ったところで何の意味があるのか、と自分は思う。『何でもいいから勝てばいい』というサッカーには興味はない。いいサッカーをすれば、必ずその先に自ずと結果も、勝利もついてくる」

――勝負にこだわっていないわけではないと?

「もちろん。最も厳しい勝負の世界で長く生きてきた人間として、リーグ戦や公式戦で、選手たちに『負けてもいいよ』とは絶対に言わない。どんな試合でも、当然100%で勝ちにいく。でも、『目先の勝利より大切なことはある』ということは、選手たちに伝えていきたい。無論、プロとして生きていくなら、なおさらね」

 プロとは何たるか。アマチュアとプロの違いは何か。

 現役時代、永井がこんな話をしていたことを思い出した。

「Jリーグは”文化”として根づくことが大事。文化になるためには、いいサッカーをみんなが追求することが大切。どれだけ”感動”を届けられるかが重要。サッカーは芸術。だから、サッカーにとってのライバルは、クラブ同士ではなくて、例えば『映画』や『ディズニーランド』といった、サッカー以外のエンターテインメントだと考えてもらえるような業界にしたい。ディズニーランドに家族で行くよりも、価値がある試合を見せることができるかどうかが勝負だと思う」

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