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アメダスってどう事業評価するの? --- 山田 肇

6/24(土) 7:20配信

アゴラ

6月22日は国土交通省の行政事業レビュー公開プロセス二日目(http://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo05_hh_000149.html)。初日の三事業に続いて(http://agora-web.jp/archives/2026738-2.html)、「テーマ別観光による地方誘客事業」「地域型住宅グリーン化事業」「海洋産業の戦略的育成のための総合対策(海洋資源開発関連技術研究開発費補助金関係経費)」「アメダス観測」の四つを議論した。

「アメダス観測」はどのように評価されるのだろうか。気象庁が提示した成果指標は雨量予測と実績の比、明日予報が大きく外れた日数などであった。アメダスの観測データから天気予報が作成されるから予報の正確度で評価しようというわけだ。しかし、それでは予報計算の精度や予報官の能力までもが評価されてしまう。

外部評価委員は別の成果指標を提案した。アメダスのデータが国民一般・地方公共団体・企業などにどのように利用されているかである。この考え方では、データを表示するサイトの閲覧数、データのダウンロード数などが指標になる。

行政事業レビューの目的は行政の効率と有効性を高めることである。アメダス観測は天気予報に役立っている。それは認めたうえで、他の用途への提供実績も成果指標とすれば、予報計算の精度などに影響されない有効性評価ができる可能性がある。

アメダス観測は全国約1300の地点で実施されている。気象庁では、この他に地方公共団体や政府機関が管理する約9000地点の観測データも利用している。IoT時代になれば、それを大幅に超える地点から気象データが取得できる可能性がある。たとえば太陽電池の発電量は日照の指標になる。そのころを見越して、IoTからのビッグデータを活用する方向で研究開発を進めることが気象庁の宿題になった。

「海洋資源開発関連技術研究開発」については、事業終了後5年先での事後評価を実施することが求められた。研究開発事業は終了直後に売り上げが立つといったようにはいかないので、追跡評価が必要になるわけだ。それによって、たとえば市場ニーズの見誤りで失敗したといった評価が出ても、それは次の研究開発事業の制度設計で活かされることになる。

「テーマ別観光」は、酒蔵ツーリズム・ロケツーリズムなど個々に協議会を組織して情報の統一的な発信や関係者のノウハウ共有化を図ろうという事業である。しかし観光客はロケ地見学のついでに酒蔵を訪ねるかもしれない。個々の協議会の活動は重要だが民間の自主的努力に委ねられる側面もある。そこで、協議会間の連携など民間だけではむずかしいところに力を入れるとともに、事業全体の出口戦略も検討すべきという結論になった。

「住宅グリーン化」は木造の注文住宅の性能を向上させて長期優良住宅を普及させようという事業である。地域の中小建築業者の技術力向上が図られているが、建築主すなわち一般消費者が木造長期優良住宅を求めない限り普及は進まない。消費者に直接アピールする施策が求められる。

公開プロセスは終盤に差し掛かったが、民主党政権での事業仕分けに比べてメディアの注目度は低い。しかしレポートしてきたように熱心な議論が毎日行われ、行政事業の改善が進んでいる。議論には行政改革担当大臣・副大臣が同席する場合もある、政治主導の活動である(http://agora-web.jp/archives/2026318.html)。

山田 肇

最終更新:6/24(土) 7:20
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