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「売り場のIT化」で脚光浴びそうなあの会社

6/24(土) 12:01配信

会社四季報オンライン

 ファーストリテイリング(9983)の子会社が運営するお気に入りの「GU」銀座店へ足を運んだときのことです。スカートやTシャツなどを購入して代金の支払いをしようとしたところ、ちょっと変わった形のレジ。そこには店員さんも立っていません。

 実はこれ、買い物客自ら精算する「セルフレジ」です。スーパーなどではよく見かけるようになりましたが、「アパレル店でも導入されているとは!」と興味本位で利用してみました。レジの下についているコインロッカーのようなボックスに、購入した洋服3着を投入するとそれぞれの商品名と値段が液晶パネルに表示されました。レジで支払いを済ませた後は、自分で服をたたんで袋に入れるだけ。最初から最後まで「セルフ」だったのには驚かされました。

 レジのボックスに買った物を入れると、なぜあっという間に購入商品の明細が液晶パネルに表示されるのかを気になって調べてみると、「RFID」と呼ばれる電子タグを利用していることがわかりました。RFIDは無線電波を活用して、ICチップのデータを読み書きする技術。各商品に付いているタグの情報をボックス内の読み取り機で瞬時に読み取ることのできるレジだったのです。

 これまでもセルフレジを使う機会はありましたが、店員さんが手にしたスキャナーで商品のバーコードを読み取るタイプばかり。「GU」では「近未来型」の買い物を体験しました。

 「進化形セルフレジ」はコンビニにもお目見えしました。ローソン(2651)はパナソニック(6752)とタッグを組み、昨年12月からRFIDの技術を利用した「レジロボ」というセルフレジの実証実験を始めています。商品をかごに入れると専用の機械でタグを読み取るだけでなく、購入料金の支払い後に商品の袋詰めまでしてくれるなど至れり尽くせりです。

■ カートに取り付けたタブレットへクーポン配信

 買い物のスタイルが変わってきました。背景にあるのは少子高齢化に伴う従業員不足や客数の減少です。ネット通販の普及も消費者の足が店から遠のいた一因でしょう。

 「どのようにして消費者に店まで足を運んでもらうか」。小売店が抱える共通の悩みです。その打開策として各社が力を入れるのは「O2O(オー・ツー・オー)」への対応です。「オンラインtoオフライン」の略で、ネット上(オンライン)の情報を実店舗(オフライン)での購買行動に結び付けることを意味します。「ネット上でセールの情報を提供し、実際に店へ来てもらう」などの施策がその一例です。

 日本写真印刷(7915)の子会社、日本写真印刷コミュニケーションズは13年から「ビーコン」と呼ばれる発信器を活用した販売促進サービスに傾注しています。これは近距離無線通信の「ブルートゥース」を使った新技術を利用したもので、店内に設置したビーコンへ近づいた人のスマートフォンに限定クーポンや商品情報などを発信し、購買を促す仕組みです。

 小売店はいわゆるPOSレジなどを通じて来店客の購買履歴を把握し販促などに生かしていますが、何も買わずに店を出てしまった客の行動までフォローすることはできません。しかし、入り口を始め店内のいろいろな場所にビーコンを置けば、「来店しても何も買わなかった理由の分析にも有用で、それを踏まえたうえで効果的なクーポンの発行などができるようになるかもしれない」(日本写真印刷コミュニケーションズITソリューショングループ長の延藤隆博さん)。来店客の導線や滞留する場所の把握も可能で、それに合わせた売れ筋商品の陳列などにも役立つでしょう。

 実際にビーコンを導入した小売店に行ってみました。埼玉・川口の商業施設「アリオ川口」にあるイトーヨーカドーの店舗では、ショッピングカートに取り付けたタブレットにクーポンやオススメ商品などの情報を表示させるサービスを行っています。タブレットが店内に設置したビーコンの電波を検知する仕組みです。

 同商業施設を運営するセブン&アイ・ホールディングス(3382)のグループ会社で利用できる電子マネーの「nanaco」カードをかざしてログイン。すると、これまでの購入履歴やポイント残高を確認することができます。「卵を買うと20ポイント、中華のおかずのレトルト食品はポイント7倍」といったぐあいに、限定クーポンの情報も表示されます。

 店内を歩き回ると、タブレット上にクーポン対象商品の陳列場所が出てきます。これならば、探している商品をなかなか見つけることができず、店員さんに何度も聞かなければならないといった心配もありません。レジでnanacoを使い会計を済ませると、クーポンのポイントが付与されます。

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