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世界遺産ソチミルコにある呪われた「人形島」――世界の果てのありえない場所

6/25(日) 8:20配信

NIKKEI STYLE

 科学が発達した現代でもなお、幽霊や死後の世界の存在を信じる人はいる。また興味本位にせよ、いかにも幽霊が出そうな寂しい廃墟やミステリースポットを訪れる人々は後を絶たない。ナショナル ジオグラフィックの書籍『世界の果てのありえない場所』にも、そんな奇怪な場所、心霊スポットがいくつか登場する。今回はその中から、メキシコにある恐怖の「人形島」を紹介しよう。

観光名所の中の奇怪な光景

 その島は、メキシコシティの中心部から28キロほど離れた街の外れ、ソチミルコ地区にある。ソチミルコ地区には、広大な古代の運河網やテラコッタの水道橋、無数の人工島、「チナンパ」と呼ばれる浮島に作られた菜園など、アステカの都市の面影を伝える最後の遺構が残されている。コンキスタドールの時代、つまりスペイン人が征服するまでは、メキシコ盆地のラグーン一帯にこうした運河が張り巡らされていた。だがスペイン人がやって来て、この半水上都市は終わりを迎えることになる。彼らは川をせき止め、湖を排水して道を作り、アステカ王国の水の都を、スペインのトレドやセビリアのような内陸の都市に近づけようとしたのだ。

 今、ソチミルコは世界遺産に認定され、曲がりなりにも運河の名残りを留めている。週末には「トラヒネラ」と呼ばれるゴンドラに似た木の小舟でクルーズを楽しむことができる。

 だが、ソチミルコの名所の一つ「人形島」は、はっきり言って気持ちの良い場所ではない。とにかく不気味なことがセールスポイントだ。運河に浮かぶこの小さなチナンパでは、木という木に人形がぶら下がっていて、何体もの人形がロープで枝にくくりつけられている。掘っ立て小屋の外壁は、髪を釘に絡みつけられた裸のバービー人形や、セルロイド製のトロール、ぼろぼろに古びた布製の抱き人形などで埋め尽くされている。

 人形たちの姿は見るからに怖ろしいが、そもそも人形が集まっている理由も不吉である。島にたった一人で世捨て人のように暮らしていたドン・ジュリアン・サンタナ・バレラという男が、ある日、運河で溺れたらしい少女の遺体が岸に流れ着いているのを見つけた。その翌朝、同じ岸辺に子どもの人形が浮かんでいた。人形は死んだ少女のものに違いないと思ったドン・ジュリアンは、女の子の魂を慰め、悪霊を追い払おうと人形を近くの木にぶら下げた。

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最終更新:6/25(日) 8:20
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