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情報管理厳しい海外メーカーの「悩み」つかむ 新参営業が大手を出し抜いたワケ

6/25(日) 19:40配信

NIKKEI STYLE

「情報を制する」ことが営業の生命線

 ユニチカは2015年、スマートフォン(スマホ)用部品の製造工程などに使う工業用フィルムを海外メーカーに初めて納入した。立役者がフィルム海外統括部の藤中俊彰さん(36)だ。メーカーの課題を周辺から聞き出して相手に示したところ、求めている条件が満たされていると採用された。「情報を制する」ことが営業の生命線だと自認する。

 藤中さんは今、台湾の電子部材メーカーとフィルム製品の納入継続の交渉に当たっている。製品は「プロセスフィルム」と呼び、半導体の加工工程で傷が付かないように保護するなどの用途に使う。契約は2年前に藤中さんが自ら獲得した。

 「現在使っている製品に比べて品質と値段の両面でメリットがあります。納期も十分に守れます」。メーカーとの交渉の最終局面で、藤中さんは言い切った。一聴すると当たり前の営業トークのようだが、顧客が求める耐熱や耐衝撃などの性能、価格、納期などを熟知したうえでの「ベストな提案だった」と自負する。

 顧客である電子部材メーカーはテレビやスマホ関連を扱うために情報管理が厳しく、情報は基本的には漏れてこない。藤中さんは独自に関係を築いた現地の商社などから情報を手に入れていた。

 ユニチカは日本の繊維メーカーでは東レや帝人、クラレの後じんを拝してきた。「接点がないのに海外に売れるわけがないじゃないか」。工業フィルム営業部には海外の顧客を開拓することにこんな声もあった。生産管理部門から移ってきた藤中さんは「ブラックボックスな分野だからこそ情報さえ取れれば大手に対抗できる」と考えていた。

 その活動は11年に東京都内で開かれた高機能フィルムの展示会「高機能フィルム展」への初出展に始まる。藤中さんはメンバーの一人として出展準備などをした。「1人でも反応があればきっかけになる」。会場では3日間で約3000人に応対し、交渉のカギをにぎった台湾の商社とのつながりができた。

 外国語はまったく話せなかった。11年から終業後に社内外の英会話教室に通い詰めて会話ができるまでになった。14年からは中国語も学んだ。台湾の商社への訪問は数カ月に1回程度。ふだんはメールや電話で接触した。専門的な会話では貿易部の力も借りた。

 15年、その商社を通じて電子部材メーカーの悩みをつかむ。台湾の企業からフィルムを調達していたが、短納期の契約だったため必要以上にコストが高くなっていた。メーカーとの商談の機会を作りながら社内の生産部門との納期、品質などの調整を経て提案した。

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最終更新:6/25(日) 19:40
NIKKEI STYLE

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