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朝ドラ『ごちそうさん』にも出演!大阪市営地下鉄を開業時から支えた初代100形の歴史

6/25(日) 18:30配信

@DIME

2003年、大阪市指定有形文化財に指定された初代100形。“歴史の生き証人”として、後世に語り継がれる。

【写真】朝ドラ『ごちそうさん』にも出演!大阪市営地下鉄を開業時から支えた初代100形の歴史

大阪市交通局が運営する「大阪市営地下鉄」は、1933年5月20日の開業から84年の月日が流れ、2018年4月に民営化される。すでに現役を退き、緑木車両管理事務所で暮らす初代100形は、“超変革”が訪れる日を静かに待っている。

■駅も車両も気宇壮大

大阪市営地下鉄最初の開業区間は御堂筋線梅田―心斎橋間で、電車はたった1両。しかもホームの全長は最長12両編成を想定したつくりで、かなり持て余していた。各駅とも天井が高く、当初は“雄大な空間”に疑問を持つ乗客が多かったという。戦後、御堂筋線は“大阪の大動脈”に成長し、1995年秋から10両編成で運転されている。

同区間の開業に際し、初代100形が1933年4月にお目見えした(参考までに、2代目100形は旧1100形を改称)。東京地下鉄道(現・東京メトロ銀座線)1000形に比べるとひと回り大きく、集電方式の第3軌条(線路脇に敷設)も直流600ボルトから750ボルトに上げた。走行機器類などは将来の1500ボルト昇圧に備え、第3軌条電車初の複電圧仕様とした。また、電動発電機の搭載により、第3軌条と第3軌条のあいだが離れている箇所でも、車内の照明が消えない。

初代100形は、現在の国内鉄道車両では“ほぼ標準装備”といえるものを初採用した画期的な車両で、代表的なものを3つ取り上げよう。

1つ目は単行車両ながら、将来の連結運転に備え、車両と車両のあいだに乗客が転落しないよう、安全畳垣が取りつけられた。平成に入ってからは、転落防止用の外幌が普及し、今や先頭車にも装備されるほどの必須アイテムである。

2つ目は駅名表示器(旅客情報案内装置)。当時はモーターで動く照明が次の停車駅を照らす仕組みだったが、2両以上連結されると不具合が多く、デビューからわずか8年で使用停止に追い込まれた。

その後、1983年に登場した営団地下鉄(現・東京メトロ)01系では、マイクロコンピューター制御により、駅名が正確に表示され、不具合もなくなった。以降、駅名表示器はLED式、LCD式へ発展し、情報量も増加した。

3つ目は電気連結器。車両と車両をつなぐ連結器の下(新幹線電車のみ上)にあり、連結と同時に電気系統を接続するもので、増解結や分割併合の手間を抑えている。

同局では大阪市営地下鉄の開業以来、“運転台つき車両の必須アイテム”としていた。しかし、30系以降は増解結を前提としない固定編成に方針転換され、装備をとりやめた。

■原型に近い105号車を永久保存車に選定

初代100形は御堂筋線一筋で活躍し、1969年8月4日に引退するまでのあいだ、全10両に車体の塗装変更が施されたほか、車内放送装置、貫通幌、扇風機の取りつけ、機器の改良によるスピードアップなどの改造が行なわれた。さらに一部の車両については、室内灯を白熱電球から蛍光灯に、車乗務員室を運転席のみの半室構造から、車掌室を追設した全室構造にそれぞれ変更された。

この中で、105号車のみ室内灯と乗務員室に手を加えられていなかったのが幸いし、永久保存車に選定された。1972年に我孫子車両工場で復元工事を受けたあと、朝潮橋研修所に住まいを移す。その後、研修所の中百舌鳥移転に伴い、緑木車両管理事務所に“転居”となり、現在はイベント開催時に元気な姿を見せる。

■ドラマに“特別出演”

2013年から2014年にかけて、初代100形が脚光を浴びた。

まず、大阪市営地下鉄開業80周年記念の一環として、2013年5月1日から24日まで大阪市役所玄関前に展示。久しぶりに大阪市内中心部へ姿を現した。トラックで陸送された際、車内に損傷が発生するアクシデントに見舞われたが、展示終了後に補修して元気な姿を取り戻した。

次にNHKから連続テレビ小説『ごちそうさん』の“出演オファー”が舞い込み、2014年1月18日に同所でロケが行なわれた。当日は雪が舞い散るほどの寒さだったが、撮影開始までにはやんだ。

舞台は1945年3月13日、大阪大空襲のさなか、西門め以子たちが心斎橋駅に駆け込み、電車に乗るというもので、そのシーンは2014年3月4日に放送された。ドラマはフィクションでも、大阪大空襲発生時に地下鉄は動いていた。

当該回放送後の同年3月23日、初代100形の特別展示イベントが同所で開催された。『ごちそうさん』にエキストラで出演した職員のトークショーによると、同局は空襲関連の資料は所蔵していないそうだが、OBやOGから同日に終夜送電の指示があったという。イベントの来場者からも「乗った」と声をかけられたそうだ。いつでも電車を運行できる態勢を整え、大阪市民の命を守る役割を担っていたのだ。

■2018年4月、民営化

話題を変え、2017年3月28日の大阪市議会本会議で、大阪市営地下鉄と市バスの民営化が賛成多数で可決。我が国では初めて、公営地下鉄が民営化されることになった。

これに伴い、2017年6月1日に準備会社「大阪市高速電気軌道株式会社」を設立。今後は同社の愛称やロゴの公募が行なわれるという。一方、市バスは大阪シティバス株式会社に事業譲渡される。

地下鉄の民営化は、東京メトロ以来2例目となる。これからもサービスや安全性の向上を図り、よりよい環境を整えていくだろう。民営化後も大いに期待したい。

取材・文/岸田法眼

@DIME編集部

最終更新:6/25(日) 18:30
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