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東芝の株主総会が前代未聞の事態、どこまで紛糾するか

6/26(月) 7:00配信

NEWS ポストセブン

 運命の日は目前に迫ってきた──。6月28日午前10時から幕張メッセの国際展示場ホールで行なわれる東芝の株主総会。

「日本を代表する大企業が定時株主総会で決算を報告できないなんて聞いたことがない。まさに前代未聞の事態だけに、どこまで紛糾するか想像もつきません」

 そう語るのは、『経済界』編集局長・関慎夫氏だ。5月15日に監査法人の「意見不表明」のまま発表された2016年度の当期純損益は、日本の製造業として史上最大の9500億円の赤字。同社は5400億円の債務超過に陥った。監査法人との調整はつかず、法定期限である6月末までに有価証券報告書を提出することは絶望的で、東証1部に上場する東芝株は8月1日付で東証2部に降格することが決まった。前出・関氏が波乱必至の総会の内容を予測する。

「監査法人の承認を得た上での決算の報告は、8月末以降に別途、臨時株主総会を開いて行なうと発表しました。今回の決議条項は、取締役9名の選任と、エネルギー子会社の分社化承認の2件のみ。決算に関しては暫定的な数字として株主に説明して理解を求めることになるでしょう」

 東芝が株主総会に先立って急ピッチで進めたのが、「半導体メモリー事業」の売却だ。

 6月21日の取締役会で東芝は子会社である「東芝メモリ」の売却について、政府系ファンドの産業革新機構と日本政策投資銀行、米系投資ファンドのベインキャピタルを中心とする「日米韓連合」に交渉優先権を与えると決定。同連合は買収額として2兆円程度を提示したという。

 株主総会までに虎の子ともいえる半導体事業の売却先を選定することは最重要課題だった。

「唯一残された優良事業である半導体事業が2兆円以上で売れなければ、2期連続の債務超過となり、東証の規定により上場廃止となります。

 選定を急がなければ株主から“本当に2兆円以上で売れるのか”“売却できなければどう責任を取るのか”と激しく追及されるのは必至で、それに社長が何も答えられないという最悪の事態は避けたかったのでしょう」(経済ジャーナリスト・磯山友幸氏)

 それゆえ結論を急いだのだが、前途は多難だ。東芝メモリの売却については、三重県四日市市にあるメモリ工場を東芝と共同運営する米ウエスタンデジタル(WD)が激しく反発しており、米カリフォルニア州の裁判所に売却差し止めの訴訟を起こしている。

「WDは競合する韓国SKハイニックスが加わる日米韓連合に難色を示しており、訴訟に次ぐさらなる強硬手段も予想されます。総会直前に下した東芝の決断が正しかったのかどうか、今度の総会で株主がどう判断するかも注目されます」(前出・関氏)

「異例中の異例」の状況で迎える今回の株主総会は、東芝が直面する「現実」が明らかになる場でもある。

※週刊ポスト2017年7月7日号