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日本にただ一人の“天気痛外来医師”に聞く「どうして雨の日は調子が悪くなるのか?」

6/26(月) 11:00配信

文春オンライン

 低気圧が近づくと頭痛や関節の痛みがひどくなる。とくに梅雨時のように天気の悪い日が続くと、その頻度が増すので、もしかしたら何か病気が隠れているのか不安になったりする。しかし……、

「実はそうした痛みの中には、気象の変化がもたらしているものがかなり含まれています」

 というのは、愛知医科大学学際的痛みセンター客員教授・佐藤純医師である。佐藤医師は、20数年にわたって、気象と痛み、慢性痛との関係を、動物実験や臨床実験で本格的に研究してきた。

「天気痛」は推定1000万人! うつの原因にも

 天気の変化による痛みや体調不良を抱える人は日本全体で1000万人を下らないのではないか、とも推測する。ざっと10人に1人である。これは立派な病気だということで、5年前「天気痛」と名付けた。

「“気象痛”だと難解な感じがするし、“お天気痛”だと丁寧すぎて男性は嫌がるかもしれない。それで“天気痛”に落ち着いたのです」

 2週間に3日のペースで患者を診ているが、訴えでいちばん多いのは頭痛だという。

「頭痛持ちでないと理解できないかもしれませんが、片頭痛を訴える方の中には、頭痛薬を飲んでも治らず、寝込むほど重い症状を抱える方がいらっしゃいます。そういう方は、気圧変化の激しい季節になると、『また明日も痛むんじゃないか……』と不安になり、眠れなくなったりもするのです。その結果、うつっぽくなったりもします」

親が誤解しやすい子どもの「頭痛」

 子どもはうまく症状を説明できない面もあり、問題が見過ごされがちだ。頭痛の特性として、その日のうちに痛みが引いてケロッとしたりすることもあるので、怠けているんじゃないかと誤解する親がいるという。

「とくに受験を控えた中学生や高校生を持つ親は、出席日数が足りないと内申点に影響するからと、子どもが頭痛を訴えても、無理やりベッドから引きずりだして学校に行かせてしまうケースもあります。理解してもらえないお子さんは本当に辛いと思いますね」

天気痛はどうして起きるのか?

 それにしても、天気痛はどのようなメカニズムで起きるのだろう。天気痛を引き起こしている要因は、気圧、気温、湿度などいくつかがあるが、佐藤医師がもっとも注目しているのは「気圧」である。その変化を敏感に感知するのが内耳。内耳とは、中耳のさらに奥に位置し、三半規管や前庭など体のバランスを保つ器官が集まっている部分である。

「内耳の感度は、人によってかなり違いますが、敏感な人は気圧のちょっとした変化も感じ取ってしまいます。低気圧が近づく2日前になると古傷が痛むという人がいるのはそのためです。これから多くなるゲリラ豪雨のときに生じる細かい気圧の変化も感知してしまう。ゲリラ豪雨のときは気圧が一度グンと下がって、すぐに一気に上がるのですが、それを感じてしまって、具合が悪くなるのです」

 内耳が感じ取った気圧低下などの情報は、内耳の前庭神経を通って脳に伝達され、それによって自律神経はストレス反応を引き起こし、交感神経が興奮する。その結果、痛み物質が分泌され、痛み神経を刺激し、痛みを感じるというわけだ。

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最終更新:6/27(火) 7:00
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