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国際宇宙ステーション、部品の老朽化が深刻な問題に

6/26(月) 7:30配信

WIRED.jp

今年5月、国際宇宙センター(ISS)のペギー・ウィットソン船長は緊急で船外活動を行った。もともと2016年にミッションを追えるはずだったISSでは部品の老朽化が進んでおり、今後もこうした修理活動が増えることは必至だ。

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2017年5月23日(米国時間)の朝、国際宇宙ステーション(ISS)のペギー・ウィットソン船長はエアロックを押し開け、新たな歴史をつくった。10回目の船外活動(EVA)を行ったのだ。

現在57歳で生化学博士のウィットソンにとって、ISSでの長期滞在は2002年と2008年に続いて3回目となる。船長を務めるのはこれが2回目だ。10回目の船外活動は、米国人宇宙飛行士としてはタイ記録となる。彼女より長時間の船外活動をした宇宙飛行士は、これまで2人しかいない(ひとりはロシアのアナトリー・ソロフィエフで16回、82時間以上。もうひとりは後述する米国のマイケル・ロペス=アレグリアだ)。

今回の船外活動は、「予期せぬEVA(Contingency EVA)」だった。これはNASA用語で「深刻な緊急事態」を意味する。そして今後このような緊急の修理が増えるのは間違いない。

2週間かかったEVAを2日でやってのけたクルーたち

修理が必要だったのは、コンピューターボードが詰まった「MDM」(マルチプレクサー・デマルチプレクサー)と呼ばれるボックスだった。故障の理由は、まだ誰にも分からない。しかし、NASAがISSの建設を始めたのは1998年であり、すでに軌道を回り始めてから20年を超えようとしている。部品の老朽化により、今後はさらに多くの部品が壊れ始めるだろう。

「EVAに同じ作業はふたつとありませんが、今回のEVAはルーティンワークに近いものでした」と語るのは、宇宙飛行士を引退し、現在は個人で宇宙コンサルタント業を行っているマイケル・ロペス=アレグリアだ。「彼らは以前にも同じような修理をしていますし、地球にいるチームは手順を短くまとめていました」。ロペス=アレグリアは10回のEVAという米国人最高記録をもっているが、合計時間(67時間40分)はウィットソンより長い――少なくともいまのところは。

5月23日の船外活動のために、ウィットソンと彼女の同僚ジャック・フィッシャーは、まずは積んであるスペアパーツから新しいMDMを組み立てた。彼らは2017年3月にも船外活動を行い、同じMDMとそのバックアップ機を取り換えたばかりだった。さらに、2014年に行われた「予期せぬEVA」でも、そうしたMDMの1基を取り換えている。

ISSにはMDMが全部で48基ある。そして問題となった2基のMDMは、ラジエーターや太陽電池アレイ、冷却ループ、すなわち温度と電力を制御している。「もしそのうちの1基が故障してバックアップ頼りの状態になった場合、さらにひとつでも故障が起これば大事故につながります」と語るのは、MDMを製造したハネウェル・エアロスペースで有人空間のプロジェクトエンジニアリング・マネジャーを務めるテリー・ソイチだ。

ウィットソンとフィッシャーは、故障したMDMも確実にもって帰る必要があった。NASAとハネウェルが故障の原因を知りたがっているからだ。手を放したら、MDMは宇宙空間のどこかへ行ってしまっただろう。

2014年のMDM交換作業には、計画と準備に2週間を要した。しかし今回のクルーたちは、それを2日強でやってのけた。「これは、地上にいるメンバーと軌道上のクルーが、素晴らしく有能なEVAチームになったという証です」とロペス=アレグリアは賞賛する。

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最終更新:6/26(月) 7:30
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