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森本稀哲氏が振り返る球宴。”ピッコロメイク”の裏側とは? 批判恐れず挑み続けたお祭り男の軌跡

6/26(月) 11:03配信

ベースボールチャンネル

 今年もオールスターのファン投票期間が終わり、結果発表目前となった。過去に3度出場した経験を持ち、パフォーマンスでファンを魅了してきた森本稀哲氏に話を聞いた。

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■小学生の時に言われた一言がきっかけで…

――オールスターゲームというのは、森本さんの中でどういったイメージがありますか?

森本:お祭り、選ばれた人だけが出られる、といった感じですかね。

――監督推薦、選手間投票、そしてファン投票がありますが、選手としてはどの部門での選出が一番嬉しいものですか?

森本:人気で選んでいただけるファン投票がやっぱり一番嬉しいのではないかと思います。シーズンオフにはベストナインの選手間投票がありますけど、オールスターとはまたちょっと違いますよね。

 実力に関する投票ならベストナイン、オールスターは“お祭り”という雰囲気が見たいから投票するものだと思っています。とは言っても、僕は監督推薦でしか選ばれたことがないんですけどね(笑)

――ファン投票は結構惜しい位置につけられていましたが、悔しさはありましたか。

森本:ありますあります! 活躍して、より多くのファンの方に投票してもらいたいという気持ちはありました。

――森本さんと言えばオールスターでの『ピッコロ大魔王』の印象が強いですよね。

森本:あれねえー。僕が小学生の時、好きな子に『ピッコロ大魔王に似てる』と言われたことがあって、そのことを新庄さんに話したら『いいね、やろう!』という感じになりました。その後はすぐに特殊メイクの方を手配してくれて、とんとん拍子で進んでいきました。

――実際はどのくらいの時間がかかりましたか?

森本:当日は15~20分くらいの間に塗っただけ。横浜の入団会見の時にやったラーメンマンなんて、頭にチョン、ヒゲをチョンとつけて、服を着て終わりですから。(笑)

――通常は球団事務所で入団会見を行うと思うのですが、中華街で、しかもラーメンマンに扮して行うことはなかなかないですよね?

森本:いろんな意味でどストライクだったと思います。横浜、中華街、中華、森本、ラーメンマンっていう感じでしたね(笑) 自分から「中華街でやりたい」と言いました。


■真剣勝負だから面白い

――今、パフォーマンスで魅せる選手は少ないと思うんですけど、当時のようなパフォーマンスをする選手が減っていることについては何か思う点はありますか?

森本:それは微妙だなぁ(笑) まあ自分みたいなパフォーマンスを見たいとは思うけど、一方でそう簡単にはできないと思います。その傍ら、自分は本当にすごいことをやってきたんだと改めて感じたりしますね。

――今の選手で森本さんのようなパフォーマンスができそうな選手はいますか。

森本:批判されることも覚悟したうえでファンのためにやれるか、ですからね。それなりの準備と覚悟が要りますし、ちょっといないんじゃないですか(笑)

――批判はどのように受け取られていましたか?

森本:聞かないようにして、喜んでくれるファンの方のためにやりました。

――こんなイベントがあるとオールスターがより楽しくなる、と思うことはありますか。

森本:例えば、オールスターで勝った方のリーグが日本シリーズで先に主催試合をする権利を取得できる、という風にすれば、シーズン中ということもあるのでみんなが真剣に取り組む姿が見られるんじゃないかなって思いますね。

 やっぱり、真剣勝負が面白いじゃないですか。逆にお祭りということを強調したいのであれば、もっと砕けた方がお祭り感が出るんじゃないかなと思います。

――オールスターもシーズンと全く一緒という気持ちでプレーをされていたのですか。

森本:僕はそうでしたね。初めて出場した2006年なんて、楽しむ余裕があまりなかった気がします(笑)

――2006年のオールスターと言えば、第2戦で本盗を決められた姿が印象的でした。

森本:キャッチャーの送球が浮いたら行こうと思っていたんですよ。オールスターもシーズン同様に全力で取り組んでいたからこそ、出来たたことですね。


■全力プレーをしていてよかった

――現在は解説者として選手のプレーを見られていると思いますが、「現役時代にこのプレーをやっておいて良かった」と思うことはありますか?

森本:全力疾走していて良かったなと思います。やっぱり上から見ていると、だらしないプレーはすごくよく分かるんですよ。勝ち負け関係なく諦めずに毎回全力で走る姿は大事だなと、改めて思うようになりました。僕は現役の時にどんなときも全力で走ろうとしていたので、そこは良かったと痛感しています。

――以前「全力でやらない選手はやめた方がいい」とお話しされていましたよね。

森本:そうですね。やっぱり観に来て下さる方は勝ち負けもそうですけど、プレーを観たいとかいろんな想いがあるから、お金を出して球場に足を運ぶわけですし。どれだけ点差が開いていたとしても席に残っているということは、ファンの方はまだプレーを観たいと思ってるんですよね。

 例えば10-0で自分のひいきチームが負けていても、この状況からどんなプレーをしていくのか観たいという方もいる。そういったことまで考えて、選手たちには常に自分たちの全力プレーを見せてほしい。選手自身が諦めて全力を尽くさないというのは、僕はプレーをする資格がないと思いますね。


 次回は、森本氏が兄貴分として慕う新庄剛志氏と稲葉篤紀氏と3人で築いた“鉄壁の外野”と呼ばれていた頃のエピソードをお届けします。


森本稀哲(もりもと ひちょり)

高校野球の名門・帝京高校の主将として甲子園に出場。
1999年ドラフト4位で日本ハムファイターズに入団。
2006年には1番レフトとして活躍、チームを日本一に導く。
2011年横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)移籍。
2014年埼玉西武ライオンズへテスト入団。
現在は、経営コンサルティングを手掛ける『CKPLAT』に所属。
野球解説やタレントのほか、ビジネス関係の講演も行っている。


飯塚紗穂

ベースボールチャンネル編集部