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メールでアポイントメントを取る鍵は「●●●」という一言にある!

6/26(月) 16:00配信

HARBOR BUSINESS Online

「分解スキル反復演習」の参加者から相談を受ける内容に、「メールでのアポイントメントの調整に時間がかかる」という意味のものがある。日程調整に時間がかかってしまったメールを拝見すると、調整ができぬままに何往復もメールのやりとりをしている。

 そして、それらのメール文章には、共通の特徴があることがわかってきた。その特徴とは、依頼した側も、依頼された側も、候補日時を示さないということだ。実例をみてみよう。

【依頼した側】

ミーティングを実施したいのですが、いつ頃がよろしいでしょうか?

【依頼された側】

来月あたりがよいです。

【依頼した側】

来月ですとどのあたりでしょうか?

【依頼された側】

来月の前半ですね。

【依頼した側】

月の第一週はいかがでしょうか?

【依頼された側】

来月の第一週はむずかしいです?

◆依頼者が具体的な日時を示せば解決するのか

 この例は、初めの依頼メールの際に、「○月○日はどうですか」というように具体的な日程候補を示せば、それに対して、是非の回答が得られたはずだ。

 次の実例のとおり、依頼した側が最初に示した候補日時の中で決めることができれば、一往復でスケジュールが決まる。最初に示した候補の日時の中で決まらなかったとしても、二往復で決まる可能性が高くなる。

【依頼した側】

ミーティングを実施したいのですが、以下の日時はいかがでしょうか

・7月4日(火)13時から15時、17時以降

・7月6日(水)午前

・7月7日(木)11時以前

【依頼された側】

7月6日(水)10時から11時でお願いします

 一往復で決まらなくても、具体的な候補日維を示せば、次のように、二往復で決まる可能性は高い。

【依頼した側】

ミーティングを実施したいのですが、以下の日時はいかがでしょうか?

・7月4日(火)13時から15時、17時以降

・7月6日(水)午前

・7月7日(木)11時以前

【依頼された側】

水曜の午後、木曜の午後が都合がよいのですが、むずかしければ、火曜日の17時から18時で調整しましょう。

 それでは、なぜこうした具体的な日程候補を示すことができないのだろうか?

◆押し付けがましいから日程候補を送れない?

 こうしたメールのやりとしをした依頼した人たちに、なぜ具体的な日程候補を示さなかったのかと聞くと、次のような答えが返ってきた。

○相手の都合もしらないのに、日程候補を示すことは失礼だ

○こちらからご都合をう伺うのだから、相手の都合を聞くのは当たり前だ

○相手が会ってくれるかどうかもわからない。だから漠然と聞くことがよい

○いきなり日程候補を示して、押し付けがましく思われ、返信自体がないことは避けたい

 要は、日程候補を示すということで、踏み込み過ぎないか、押し付けがましく思われないかという懸念により、漠然としたご都合伺いのメールになっているようだ。それでは、もし、具体的な日程候補を示すことができて、なおかつ、押し付けがましくないメール表現ができるとしたら、そのメール文章を試してみたいと思わないだろうか。

「分解スキル反復演習」では、そのメール文案の実際に使用している例を共有し合う。次に紹介するメール文案は、コンサルタントやトレーナーが頭の中や理屈で考えた内容ではなく、海外事例を翻訳したものでもなく、日本のビジネスパーソンが日頃から使用している文例である。

 それも、特別なビジネスパーソンが開発した文例ではない。スケジューリングを主な仕事とする、派遣社員のアシスタントが、日頃の工夫の中で使用するようになった文例も含まれている。

◆「押し付けがましさ」を緩和する一言とは?

具体的な日程候補を示すことができて、なおかつ、押し付けがましくないメール表現の実例は、次のとおりだ。

(元の文)

○ミーティングを実施したいのですが、以下の日時はいかがでしょうか

(押し付けがましくないメール表現の実例)

○ミーティングを実施したいのですが、例えば、以下の日時はいかがでしょうか

○ミーティングを実施できればと願っているのですが、例えば、以下の日時はいかがでしょうか

○ミーティングを実施できればと願っているのですが、例えば、以下の日時はいかがでしょうか。ご都合お聞かせください

○ミーティングを実施できればと願っているのですが、例えば、以下の日時はいかがでしょうか。ご意向、ご都合お聞かせください

○ミーティングを実施できればと願っているのですが、例えば、以下の日時はいかがでしょうか。ご意向、ご都合お聞かせください。他の日時でも調整しますので、ご指示ください。

「例えば」と入れるだけで、押し付けがましさは格段に小さくなる。「願っている」という表現を入れれば、依頼の丁寧度がます。「ご意向、ご都合をお聞かせください」と入れることで、そもそもミーティングをするかしないかのご意向や、ご都合をお聞きしているという姿勢を強調することができる。そして、「他の日時でも調整」と付け加えることで、相手の意向に沿いたいという気持ちを伝達できるのだ。

 私も、演習参加者のこれらの事例に学び、これらの文例を使わせていただきながら、日程候補を示しながら、なおかつ、押し付けがましくならないようなアポイントメントの取得つとめており、効果があるように思う。

 試行錯誤を繰り返している、ごく普通のビジネスパーソンの知恵と工夫にこそ、パフォーマンスを向上させ、ビジネスを伸展させる鍵があるのだ。

※分解スキル反復演習型能力開発プログラムは、山口博著『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月。ビジネス書ランキング:2016年12月丸善名古屋本店1位、紀伊國屋書店大手町ビル店1位、丸善丸の内本店3位、2017年1月八重洲ブックセンター4位)で、セルフトレーニングできます。

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第38回】

<文/山口博>

【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。株式会社リブ・コンサルティング 組織開発コンサルティング事業部長。さまざまな企業の人材育成・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、リブ/コンサルティング組織開発コンサルティング事業部長。。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある

※社名や個人名は全て仮名です。本稿は、個人の見解であり、特定の企業や団体、政党の見解ではありません。

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最終更新:6/26(月) 17:13
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