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創業会長が介助犬の育成に乗り出したワケ

6/26(月) 6:00配信

東洋経済オンライン

 なにわの中小企業の経営者には、ビックリするような方がいます。先日取材でお会いした柳本忠二会長もそんなお一人でした。

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 実は会長、今般、退位特別法案が決まった天皇陛下と、1時間と5分ご一緒したことがあります。この中途半端な「5分」のエピソードも含め、詳しい経緯は後段で述べます。まずはどんな会社か、ご紹介しましょう。

■中学を卒業して八百屋に住み込み

 会社の名前はレザック、大阪府八尾市にある会社です。レーザー・ウォータージェット加工機やCADシステムを販売しています。応接室に入ると、そこにはたくさんの特許登録証が飾られていました。その数ざっと80。特許はすべて、柳本会長が取得したそうです。

 さぞかし立派な大学の工学部卒かと思ったら、なんと中学校卒でした。卒業してすぐに和歌山から大阪に出て、八百屋さんに住み込み、2年間働きました。朝6時から八百屋、夕方からは果物屋に変わって夜中2時まで。店の大将が厳しい人で、「怒られる前に全神経を張り詰めて、次に何をするかを考えながら仕事をしていました」とのこと。でも、その厳しさが今の自分のもとになっているかもしれない、と振り返ります。

 その後18歳で仏壇を作っている会社に就職。厳しい職人の世界でしたが、ここでも頑張って「ど素人だったんですが、半年で技術を学ばせてもらいました」。

 そして19歳の時、現在の会社のもととなる「菱屋」を創業します。東京オリンピックの年でした。抜き型を製造する総合メーカーとして従業員の技術力アップに努めました。でも、ようやく技術力をつけさせたと思った従業員は、独立してしまいます。そこで、熟練しなくても製造が可能なように、自動機械設備を作ろうと考えました。


 「プロに相談すると、その人のレベルで無理と言われることが多いのです。自分でやるしかありません。そんな私に力をくれたのは本でした」

 もともと本好きだった柳本さん、小学校の頃から、向かいにあった中学校の図書館に行って難しい本を読んでいたそうです。もし裕福な家庭に生まれていたら、有名大学を出てもっと活躍されていたかもしれません。いやいや、逆に豊かな環境では遊びすぎてしまい、せっかくの才能を活かし切れなかった可能性もあります。そこが人生の面白いところです。

■「学歴はないけど学力はある」

 素人なので限界を知りません。専門書を読んで、必死に勉強します。「学生が1年かけて学ぶところを、私は独学で3カ月でマスターします」と言われます。恵まれた学生とは必死さが違います。

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