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トヨタの喉元に「EV」販売拠点 テスラの挑戦状

6/26(月) 5:58配信

デイリー新潮

 経済界では、蟻が巨象に噛みついたと驚きの声が上がっている。米国の電気自動車(EV)メーカー「テスラモーターズ」が、トヨタ自動車の喉元に刃を突き付けたからだ。一見、無謀な挑戦にも思えるが、このベンチャー企業は簡単には踏み潰されそうにもないという。

 2003年創業のテスラが、日本進出を果たしたのは7年前のこと。この6月3日には、国内6番目となる販売拠点を“トヨタの牙城”である名古屋市内に設けたのだった。

「7年前、トヨタの豊田章男社長とテスラのイーロン・マスクCEOが意気投合し、トヨタがテスラへ55億円を出資していました」

 こう語るのは、全国紙の経済部デスクだ。

「名古屋の販売店オープン初日の朝刊で、トヨタが保有するテスラ株を昨年末までにすべて売却し、業務提携も解消したと報じられたのです。トヨタが発表したわけではないので、“テスラによるトヨタへの挑戦状”と考えた財界人は少なくありません」

“出城”を築いたテスラだが、トヨタは愛知県内に系列の販売店を約470持ち、鉄壁の販売網を構築している。しかも、両者の企業規模は蟻と巨象ほどの違いがあるのだ。

「昨年の年間販売台数を見ると、グループ全体で1000万台を超えるトヨタに対して、テスラは7万6230台。売上高も、テスラは16年12月期で約7700億円で、トヨタの3%程度に過ぎない。そもそもテスラは昨年、約850億円もの損失を出した一方で、トヨタの営業利益は1兆9000億円を超えている。業務提携解消は、トヨタが独自にEV開発チームを立ち上げたので、テスラの存在が不要になったのだと思います」(同)

 トヨタも、数年後にはEVの大量生産を行う予定だ。

■時価総額では米国トップ

 日本では知名度も低いテスラだが、米国では“もっとも成長が期待される企業”として評価されている。米国事情に詳しい国際ジャーナリストの山田敏弘氏によれば、

「投資家も、テスラの成長性には大いに期待しています。4月10日のニューヨーク株式市場で株価が急騰し、時価総額は約5兆7000億円まで膨らんだ。結果、“ビッグ3”のゼネラル・モーターズを抜いて全米首位の自動車メーカーに躍り出たのです」

 投資家も馬鹿ではなく、赤字企業に投資するにはそれなりに根拠があってのこと。専門誌記者の解説では、

「既存の大手メーカーは、EV用の電池作りから始める。極端な話、テスラ車はパソコンに内蔵されているような電池を沢山載せているだけ。走行距離は1回の充電で大手メーカーが200キロ~300キロなのに、テスラ車は約500キロ。横浜から大阪まで充電なしで走れる計算です。ただし、電池を沢山載せている分だけコストが嵩みます」

 3月、米国消費者団体専門誌「コンシューマー・レポート」が2017年版の自動車ブランドランキングを発表。エコカーブームの追い風もあり、トップ10に入った米国車の最上位は8位のテスラだった。大衆に支持されていることはわかったが、こんな課題があるという。

「従来のテスラ車は、最低900万円と高価格。最新のモデル3は走行距離が短い代わりに400万円と半額以下ですが、さらに価格を抑えなければ大衆は手を出し難い。価格を下げるには一刻も早く、新工場を作って生産ラインを増加する必要があります」(同)

 テスラが新工場を建設したら、巨象もウカウカしていられないのではないか。

「週刊新潮」2017年6月22日号 掲載

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最終更新:6/26(月) 5:58
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