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敬虔な気持ちを呼び起こす「知識の寺院」としての図書館・18選

6/27(火) 12:50配信

WIRED.jp

図書館とは静謐で孤独な空間だ。毎日多くの人が訪れるが、それぞれが書物に没頭している。しかし、そんな孤独な空間のためにデザインされた図書館は極めて個性的だ。わたしたちの「知」が集められた「寺院」ともいえるその姿は、ときに敬虔な気持ちさえも引き起こす。

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図書館とは不思議な空間だ。数え切れないほどの本があり、たくさんの机と椅子が並んでいて、毎日多くの人が訪れる場所でありながら、常にそこは静寂に包まれている。美術館や博物館も同じく静寂な空間だが、鑑賞者は展示された作品を観るために動き回ることを余儀なくされていることを考えると、図書館とも少し異なる空間だといえるだろう。

かつてイタリアの作家、イタロ・カルヴィーノは「読むことは孤独な行為だ」と語った。だから、図書館もまた孤独な空間なのだろう。たくさんの人々が並んで座りながら本を読んでいるが、一人ひとりが自分の空間の中に入っていて、それぞれの孤独を抱えている。

フランス出身の写真家、ティボー・ポワリエはカルヴィーノからインスピレーションを受け、2015年からヨーロッパ各地の図書館を撮影しはじめた。彼が捉えた図書館の内部は極めて多様で、美しい。たとえばアイルランド・ダブリンのトリニティ・カレッジ図書館(#1)は数百年前に建てられたアイルランド最大規模の図書館であり、最も美しい本だといわれる「ケルズの書」を所蔵しているほか、『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』に登場する「ジェダイ・アーカイブ」の元ネタになったとされている。歴史ある図書館もたくさんあるが、ドイツ・ベルリンのグリム兄弟センター(#5)のように21世紀に入ってから建てられた図書館もある。

「建築家は、図書館という神聖な自己探求の空間のために、指紋と同じくらい一人ひとり異なったヴィジョンをつくり上げているのです」とポワリエは語る。建築家は本の収蔵と閲覧に適した空間をつくるべく、自然光と人工光のバランスを調整し、ときにはうまくコミュニティが形成されるよう机と椅子を配置する。

このプロジェクトを始めた理由を問われ、ポワリエは次のように語った。「同じ機能のためにつくられた建物が、どのように解釈されてつくられたかを示したかったんです」。彼が捉えた図書館は一つひとつすべて異なっているが、そのすべてが同じ目的のためにつくられている。「数百年の歴史のなかで、建築家たちがこうした『知識の寺院』のヴィジョンをどのように形成してきたかを知ることは非常に魅力的です」とポワリエは語る。

ポワリエが「知識の寺院」と呼ぶように、図書館とは神聖な空間でもある。そんなことを意識しながらおびただしい量の書物を収めた本棚が立ち並ぶ空間を眺めていると、ときに敬虔な気持ちさえ呼び起こされるのだ。

最終更新:6/27(火) 12:50
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