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「スマホ修理」をひろめた男が目指す世界

6/27(火) 19:21配信

WIRED.jp

スマホ修理を専門とする米国生まれの「iCracked」は、ユーザーと対面しながら修理を行っている。彼らはその修理の過程で、ブラックボックス化したデヴァイスの内側にあるテクノロジーがいかなるものかを啓蒙しているという。共同創業者兼CEOのAJ・フォーサイスに聞いた、修理という文化を世界にひろめたいわけ。

【 捨てない経済-リペア・エコノミックス-への挑戦 】

身の回りのテクノロジーのブラックボックス化が進んでいる。たとえばクルマを自ら修理していた時代は遠い昔となり、電子化され高度に制御された新しいクルマは、壊れてしまえば修理業者に任せるしかない。この流れは、スマートフォンやPCでも同じだ。懐かしいガラケーと異なり、iPhoneは第1世代モデルからバッテリーの交換もユーザーにはできなくなった。

『WIRED』日本版は6月9日に発売したVol.28「ものづくりの未来」特集において、北欧の「リペア・エコノミクス」と呼ぶべきムーヴメントの現地取材を敢行。2016年にものの修理への減税を発表したスウェーデンで、「捨てる」を前提としない新しいものづくりと消費のかたちを追った。

一方米国では、スマートフォンの修理を行う企業が存在感を増し始めている。iCracked(アイクラックト)は、その代表格だ。店舗をもたず、呼ばれた場所にオンデマンドで修理エンジニア「iTech」(アイテック)を派遣する便利さを売りに、事業を拡大している。現在世界15カ国に展開し、2015年には渋谷にも進出した(編註:法律上の問題で、日本では現在iTech派遣サーヴィスは行われておらず、店舗型の修理ビジネスが展開されている)。

共同創業者であり現CEOのAJ・フォーサイスに、事業をはじめた理由、そして「捨てる」を前提としない世界で「修理」ビジネスを手がける意義を語ってもらった。

「好き」と「カッコいい」から始まった

──多彩な経歴をおもちですね。生物学と心理学を専攻されているのも興味深いですが、ワイナリーの立ち上げや養蜂まで学生時代に経験されていますね。iCrackedの起業もそのころですか?

iCrackedの始まりは、ぼくが大学の2年生だったころです。生物学・心理学を学んでいたぼくが修理の仕事を選んだのは、電子機器を修理することが好きだったからです。ぼくの専攻分野からすると、デヴァイスの修理業を志した進路はよく不思議がられますが、ビジネスは必ずしも専攻分野と結びつくものではないと思っています。

昔から機械の解体や組み立てが得意だったんですよ。あるとき、自分のiPhoneが壊れたのでApple Storeに持っていくと、修理に1週間もかかると言われたんです。それに費用もバカにならない。じゃあ自分で直せないかと思ってやってみたら、できたんですよ。

そこでふと思ったんです。ぼくは簡単に修理できたけど、ほかの人にとっては難しいかもしれない。ならば、ここにはビジネスチャンスがあるなと。すぐに仕事として修理を始めてみると、これが大当たりでした。もともと好きな作業で、学生のときに年間6~70,000米ドルも稼げた。自画自賛になりますが、すごくイケている仕事だと思いました。

そうやってたったひとりで始めたこの事業も、いまでは世界15カ国で展開する企業になりました。正直なところ、初めはいまのようなグローバル企業にしようという考えはありませんでした。

でも幸運なことに、ぼくが好きなこの仕事は、世界中で20億以上のスマートフォンユーザーを顧客にできる。じゃあ、この巨大な市場に打って出ようと思い事業を広げました。

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最終更新:6/27(火) 19:21
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