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高層ビルが農場に!?上海で始まった垂直農場プロジェクト「Sunqiao Shanghai」

6/27(火) 19:10配信

@DIME

アジアで最もダイナミックな巨大都市の1つである上海は、100ヘクタールにおよぶ世界最大の垂直農場の建設に着手しようとしている。

【写真】高層ビルが農場に!?上海で始まった垂直農場プロジェクト「Sunqiao Shanghai」

環境・景観デザイナーとして有名な日系アメリカ人アーキテクト、ヒデオ・ササキが創設したデザイン会社SASAKIが手がけるマスタープランには、緑の楽園と化した上海の驚くべき青写真が描かれている。

過去20年間で、中国は都市化のため123,000平方キロメートル以上の農地を失ってしまった。中国の環境保護省の推定によれば、残っている耕作可能な土地のうち、約6分の1(およそ20万平方キロメートル)が汚染されている。農業地帯の縮小、加速する都市化、土壌汚染に直面する上海は、いかにして2,400万人の住民の食料を確保すべきか?

垂直都市農場のアイデアは、 これらの巨大都市にまつわる問題を解決するのではなく、問題に適応しようとの発想から生まれたものだ。

西洋諸国では、 都市から離れた場所に大規模な企業農場が作られているが 、上海では小規模な農場が都市周辺を取り巻く景観をなしている。成長する大都市が農業資源を慎重に管理しつつ、農業の多様性を確保する方法は、歴史的にも成果を上げてきた。しかし、中国の他の都市と同様に、都市の急速な成長がこの長年にわたる制度を脅かすに至り、市内の農地は大幅に失われつつある。都市農業への新たなアプローチであるSunqiaoプロジェクトは、この枠組みを変革しようとの試みだ。

上海の国際空港と市内中心部の間に位置するSunqiao地区は、そびえ立つ超高層ビルと同様、その農場も垂直な形状をなしている。従来の農業生産の20年を経て、上海は、Sunqiaoの役割を「フードシェッド(食料供給圏=地産地消が可能な範囲にある地域)」に拡大しようと考えている。

来年までには建設開始予定のSunqiaoプロジェクトは、食料確保だけでなく、研究と公共福祉活動のための垂直農業システムの統合も目標に掲げている。都市農業をイノベーションと教育のためのダイナミックな生きた実験室とし、市民を社会的に参加させる体験を提供する。

また、上海は垂直農業にとって理想的な環境だ。上海の食生活で消費される野菜の56%が、ホウレンソウやチンゲンサイ、クレソンのような葉物野菜であることを考えれば、垂直農業はこの地域にうってつけといえる。葉物野菜の栽培には大した注意も要らず、ごく簡単な仕組みで良く育つので、水耕栽培やアクアポニックス(魚と植物を1つのシステムで一緒に育てるシステム)に最適の選択肢だ。設備も軽いこれらの栽培システムは、どちらも経済的かつ効率的な選択肢となる。

都市食糧生産のリーダー・上海となるべく、Sunqiaoプロジェクトは、単なる垂直農場以上のものを組み入れる予定だ。屋内外の農業体験を融合し、食料の生産を都市の最も重要な機能の1つと位置付け、アーバン・ライフの新たなアイデアを提示する。上海で増加する地産食品の需要に対応するだけでなく、都会の子供たちに、食料がどこから来ているのか、教育にも力を入れる。都市が拡大し続ける現状にあっては、都市と田舎を対立させる時代遅れの概念から脱却する必要がある。

都市農業のリーダーとして、ニューヨークやロンドン、パリのように、未来のテーマに投資する世界の大都市の地位を確立しようと野心を燃やす上海。高層ビルに、果物や野菜を栽培する垂直農場の緑が溢れる光景は、実現すれば素晴らしいものとなるだろう。東京をはじめ、日本の大都市の方向性にも大いに参考になりそうだ。

文/三崎由美子

@DIME編集部

最終更新:6/27(火) 19:10
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