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増益率が拡大せずとも日経平均に2割の上昇余地

6/27(火) 17:01配信

会社四季報オンライン

 日経平均2万円台が定着した日本株市場。メインプレーヤーの外国人投資家は日本株をどう見ているのか。長期投資を特徴とする独立系運用会社、仏コムジェスト(本社:パリ)の日本株運用担当者のリチャード・ケイ氏に聞いた。

 ――日本株に対する基本的な見方は。

 数年前から日本株についてはポジティブな見方をしており、それは今でも変わっていない。バリュエーションで見ても、日経平均の予想PERは14倍程度にとどまっており、依然割安だ。2017年度は10%超の増益を見込んでおり、PERを成長率で割ったPEGレシオも1倍程度と割高ではない。

 中長期で見ても、株価を下支えする要因がある。一つは日本で法人税減税の続く可能性が高いこと。正式に減税が決まっているわけではないが、法人税率の国際的な比較感やこれまでの流れなどを踏まえると、減税が続くことを期待する外国人投資家は多い。減税は単純に一株当たり利益を増やし、株価を押し上げる要因になる。

 二つめは、円安傾向が定着しそうなことだ。米国だけでなく欧州の金融政策も今後、大幅な緩和から徐々に引き締めへ向かう。一方、日本では緩和をやめられる状況にないため、少なくとも円高傾向にはなりにくい。円安基調ならば海外勢は日本株買いへ動く。

 三つめは、国内の機関投資家に日本株投資を増やす余地があることだ。年金など日本の機関投資家は通常、海外の機関投資家に比べて株式での運用比率が低い。株式ウエイトを高める方向で動いており、増やす余地がある。株式の組み入れ比率がただちに海外の投資家並みの水準へ高まることはないが、「国際標準」のレベルへ徐々に増えるだろう。

 これらの要因を考慮すると、仮に企業の税引き前利益が想定を上回る伸びにはならず、アベノミクスがうまくいかなくても、株価には20%ぐらいの上昇余地がありそうだ。

■ 日本株投資に大きなリスクは見当たらない

 ――どのような銘柄に注目しているのか。

 日本株投資の対象選択では五つのジャンルに注目している。一つめはデジタル・ネット関連。海外勢には、デジタル・ネット分野で日本には有望な銘柄がないという認識がある。しかし、そうとも言い切れない。ソフトバンクグループ (9984)は著名だが、アパレルネット通販のスタートトゥデイ (3092)、工場・工事用間接資材ネット通販のMonotaRO (3064)なども有望である。日本のネット企業の多くが海外で事業展開をしていないため外国人投資家にはなじみがないだけだ。

 二つめは、成熟産業だが、寡占化・合理化で利益成長の期待できる分野。具体的にはシステム開発のオービック(4684)、業務用冷凍庫のホシザキ (6465)、化粧品のポーラオルビスホールディングス (4927)、流通のセブン&アイ・ホールディングス (3382)などだ。マクロでは成長しない領域でも利益成長を続ける銘柄はある。

 三つめが高齢化に対応する分野。医療、ヘルスケア関連で検査機器のシスメックス (6869)、内視鏡のオリンパス(7733)、ベッドのパラマウントベッドホールディングス (7817)など世界に通用するメーカーが存在する。中小企業の事業承継案件の増加で市場が拡大している日本M&Aセンター (2127)にも注目できそうだ。

 四つめは、生産性向上に貢献する分野だ。工作機械のファナック (6954)、アマダホールディングス (6113)、センサーのキーエンス (6861)などが挙げられる。

 五つめは、グローバル化する日本ブランド。従来はソニー (6758)やトヨタ自動車 (7203)などの家電や乗用車以外ではほとんどブランド力がなかったが最近、それ以外のカテゴリでも世界的に受け入れられるブランドが出てきた。代表はファーストリテイリング (9983)である。同社の「ユニクロ」はファッションにうるさいフランスでも人気。ファッションに機能性を取り入れているのが受けている。エアコンのダイキン工業 (6367)、お菓子のカルビー (2229)なども海外での知名度が上がっている。

 ――日本株投資のリスクは。

 大きなリスクがあるとは考えていない。あえて挙げるならば、米トランプ政権による保護貿易政策の行方、日本銀行の金融政策の先行き、人件費など局所的なインフレ、日本の政治動向などだろう。いずれにせよ、想定を超える大きな変化が起きるとは見ていない。

 (聞き手:会社四季報プロ500編集長 丸山尚文)

※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。

リチャード・ケイ