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ローンでもうける大富豪 「背伸び」がお金を生み出す

6/28(水) 7:47配信

NIKKEI STYLE

 大富豪と呼ばれる人たちがいる。多額の富を保有する彼らのお金に対する考え方は、いったいどのようなものだろうか。かつて金融資産10億円を超える大手顧客を対象とした野村証券のプライベートバンク部門で辣腕をふるったZUU社長兼CEO(最高経営責任者)の冨田和成氏が、大富豪が実践する「お金の哲学」を解説する。

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 実は、大富豪ほどローンに積極的です。私が証券マン時代に、東南アジアで華僑の大富豪を担当した時のこと。今も当時もアジアの資産家にとって東京の不動産は人気の投資先で、お客様から「東京のとある物件を買いたいので手伝ってくれ」と依頼を受けました。

 しかし、日本の銀行は非常に保守的で、外国人というだけでローンを断ることが多く、融資が下りたとしても日本人とは比べものにならないほど高金利。それでは利益が生まれません。

 そういった事情を説明したうえで、「でも、キャッシュであれば売り主も承諾していただけるそうですよ」と伝えたところ、ものすごい剣幕で怒られました。

 「不動産をキャッシュで買うバカがどこにいる! ここでキャッシュを使うなら他のことで使った方がいいに決まっているだろ!」。これが大富豪の考え方です。

 ローンを後ろ向きに考えるのは利息がかかるからです。しかし、借り入れたお金で利息を上回る収益が上げられるなら、ローンは「敵」から「味方」に変わります。

 かつてソフトバンクがボーダフォン日本法人を買収した時にレバレッジドバイアウト(LBO)と呼ばれる、日本ではあまりなじみのないスキームで資金調達しました。事業を担保にお金を借りたのです。

 調達した資金は当時のソフトバンクからすると巨額の1兆800億円。しかし、孫正義社長はボーダフォン買収によって調達コストを上回る利益を生めると読んだわけです。これだけの規模で利ざやの発想を持てるのは孫社長だからこそでしょう。

 一般人の感覚では「余剰資金がない自分たちには投資はできない」と思い込んでしまいがちですが、それは現金を伴う投資の話だけです。例えば、大企業に長年勤めるサラリーマンであれば与信が高いので、中古のワンルームマンション投資のための購入資金(1000万円弱)くらいなら、数百万円前半の頭金さえ用意すれば難なく借りられます。

 もっと身近な例で説明しましょう。例えば、最新のパソコンを買うに当たって一括で買えるまでお金を貯めるか、ローンを組むかを考えた時、そのパソコンを買うことで本体価格と利息を合わせた額以上に収入が増えると想定できるなら、ローンで買うべきでしょう。一括払いにこだわることで機会損失につながりはしないかというところまで思慮できるかが肝心です。

 あまり無責任なことは言いたくありませんが、やはりお金を本気で増やしたいなら余剰資金があろうとなかろうと、ローンなり担保なりを使って、リスクの許容範囲で「背伸び」をうまく使い、キャッシュがキャッシュを生む状況をいち早く作り出すことが重要だと私は思います。

冨田和成 ZUU社長兼CEO。一橋大学在学中にIT分野で起業。卒業後、野村証券プライベートバンク部門で活躍。退職後にZUUを設立し、国内最大規模の金融ポータルメディアZUU onlineなどフィンテック分野で事業を展開中。

[日経マネー2017年7月号の記事を再構成]

最終更新:6/28(水) 7:47
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