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ドコモの新料金プランとau HOMEを賢者たちがガチ評価

6/28(水) 6:40配信

@DIME

 スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回はドコモの料金プランと「au HOME」について話し合います。

【写真】ドコモの新料金プランとau HOMEを賢者たちがガチ評価

房野氏:ドコモが新たに、基本料が月額980円の「シンプルプラン」と、1500円がずっと割り引かれる「docomo with」という料金プランを投入しました。これについてどう思われますか?

法林氏:シンプルプランはソフトバンクの「ホワイトプラン」と考え方は一緒だよね。

石川氏:そうですね。ドコモは頑なに980円のプランをやっていなかったけど、「ごめん、やるわ」みたいな感じで始めたように見える。僕たちメディアは980円で騒ぎ過ぎた。よくよく考えたら、KDDIもソフトバンクも、主力商品ではなかっただけで、すでに提供している。

石野氏:ただ、パケットプランが選べる。7GB限定じゃない。もっと安くなる可能性がある。

石川氏:シェアパックじゃないとダメだけど。

石野氏:ドコモらしいですよ。

法林氏:ドコモは家族じゃないと嬉しくないし、1人の場合は複数回線持っていないと嬉しくない。

石野氏:ドコモはさらに守りを固めた感じがすごくします。

房野氏:長期契約ユーザーに対する還元施策だといっていますね。

石川氏:シンプルプランはそんな感じだし、docomo withに関しては、面白いといえば面白いし、うまいことやったなと思います。格安スマホ対抗としての位置付けもあるし、長期ユーザー囲い込みの意味もあるし、さらに総務省の要求に対してもきっちり応えている。端末の購入補助(月々サポート)には非常にお金を使っているので、それを節約したいこともあり、1500円割引し続けても十分ペイするという経営的な判断もある。恐らくうまく回るし、ユーザーとしても「あのプランで契約した端末を売って、SIMフリー端末にSIMを挿して使えばいいんじゃないかな」という気にさせてくれる(笑)

石野氏:朝日新聞にあったドコモの吉澤社長のインタビュー記事で、docomo withは「端末の販売と回線契約を分離するのが狙い」とあったので、将来的にはSIMフリー端末の持ち込み用プランも出るんじゃないかな。“docomo with SIMフリー用“みたいなプランが出そうな感じがする。わざわざ端末を買って中古屋さんに売るようなことをしなくてもいいようになるんじゃないかと思う。

法林氏:docomo withは毎月1500円引いてくれるけれど、月々サポートは2000円くらいが24回割り引かれていた。つまり、5万円弱は割り引かれていたわけですよ。1500円割引の場合、32~33か月は使わないと、実は元が取れない。

石川氏:2年半ですね。

石野氏:妥当なところですかね。端末代の元を取るという意味だと、「arrows Be」の方が実質0円を早く下回る。吉澤社長も「元を取れる」みたいなことを言っていたので、オイオイと思ったんですが(笑)

法林氏:1500円×33か月で5万円程度になるから、2年半以上使わないと元が取れない。かなり長く使わないと元が取れない感じ。一昨年、販売奨励金に規制をかける前は、ドコモでiPhoneを買って月々サポートをもらうと、容量によるけれど月額数百円で使えた。それほど月々サポートは大きかった。あれで長期間持つ人もいた。

石野氏:僕も2回線目は料金がマイナスになっていました。

法林氏:さっき石川君が言ったように、月々サポートの負担を減らすという意味もあるけれど、ユーザーから見たときには、1500円は確かに魅力的に見えるけれど、あくまでも33か月間使い続けて、その回線で機種変更をしないことが必要。

石野氏:今は1台を平均3年くらい使うようになってきているといわれているので、docomo withは悪くないとは思いました。ドコモは「MONO」のときから色々考えていた節がある。MONOは売れたらしいんですけど、たぶん、最初に一括で割引しているので、財務的な負担が大きかったのかなと思いました。均等に1500円引く方が、期をまたぐので負担が小さくなるのかなと。

石川氏:吉澤社長は「初年度は数十億円のマイナスになる」という言い方をしていた。長く使ってくれた方が、月々サポートがなくなるからマイナス要素が出なくなる。

石野氏:コストを分散したいんですよね。

法林氏:発表会のプレゼン資料に「docomo with 対象端末(第1弾)」と書かれている。ということは、第2弾、第3弾と続くんだよね。ということで、今までのドコモの発表会のペースで行くと、秋冬モデルのときに第2弾が出ると思う。

石野氏:まあ、出ますよね。

石川氏:出ると思うし、在庫処分する端末も対象になると思う。価格を変えて2万円、3万円に安くして。

房野氏:iPhoneも対象端末になるでしょうか。

法林氏:型落ち端末だったらありえるかも。

石川氏:他社が扱っているモデルは、価格が分かるのでやりにくい気がします。今回の2機種は、ドコモオリジナルだからこそ、端末の価格を自由に設定できるし、多少そこで調整できる。他社も扱っているiPhoneとかXperiaはやりにくいような気がします。

法林氏:例年のパターンでいけば、IFA(ドイツ・ベルリンで行われる家電製品の展示会)とかで出る次のXperiaのコンパクトモデルが第2弾端末になるんじゃないかなと、僕は勝手に予想しているんだけどね。

石野氏:ソニーは投資家向けの説明会で、ミッドレンジのコンパクトはやめると発表していましたね。

房野氏:ハイエンドでコンパクトモデルを出すのでしょうか。

法林氏:可能性はある。グローバルのハイエンドコンパクトは日本のミッドレンジコンパクトかもしれないし。

石野氏:docomo withの対象端末は、価格が定まらないので実質価格という表記ができない。そうすると、例えばGalaxy S8+だとドコモの一括12万円に対してauの実質6万円という見え方になってしまう。一括と実質の違いはありますが、店頭などでは数字だけで比べられてしまうおそれもあります。なので、他社にあるものはやりにくいとは思いますね。それに対してドコモは一括価格が高すぎますけど。

法林氏:仕入れ値に載せる金額が、月々サポートが付いている機種に比べると、docomo withの対象端末は少ないといっていた。確かに完全分離プランへ向けての手探りをし始めているような気がする。

石川氏:キャリアとして、それほど端末を売る気がないように思える。端末を売ることで一応売上は立つけれど、そこですごく儲かっているかといったらそうでもない。わざわざキャリアが企画しなくても、SIMフリー端末がこれだけたくさんあるから、SIMフリー端末を買って使えばいいじゃん、みたいな話になってくる。

法林氏:在庫を抱えるリスクもあるしね。少し変えてきた気がする。

石野氏:端末に紐付けると、販売店と中古店舗、メーカーが手を組んで、「ウチの端末と一緒にdocomo withの対象端末を買って、(中古店舗に)売っていただければ、ドコモで1500円割引になりますよ」という謎のセット販売が横行しそう(笑)

法林氏:実際、対象端末が市場に出たときに、転売するためというか、1500円の割引の権利のために買う人がいるのか、それともちゃんと端末が欲しくて買うのかが鍵。

石野氏:1500円割引の権利のために買う人は絶対出てくる。

法林氏:それは絶対いるんだよ。ここにいる人たちとか(笑)。そのために買うと宣言している人もいる。

石野氏:1回線目にdocomo with対象端末を登録して、ほかの端末を2回線目で買うと、割引を最大化できるんですよ。

■docomo withに対する他キャリアの動きは

房野氏:docomo withに他社は追随するでしょうか。

石川氏:端末購入補助で苦労しているのは、各社変わらない構図。似たようなものを出してくるような気がします。総務省に、ドコモが投入しているなら、あなたたちもやれるだろうといわれたら、やるしかないし。同じ端末を長く使っても安くなるプランは、投入せざるを得ないと思います。

石野氏:Y!mobileは、iPhoneではすでにそんな感じになっている。見方をちょっと変えると、docomo withは“ドコモ版Y!mobile“みたいな感じですよね。docomo withは便宜上、分かりやすく割引といっているだけで、料金プランです。Galaxy Feelとarrows Be専用の料金プランという位置付けなので、だからこそガイドラインに引っかからないし、Y!mobile対抗にもなっている。

石川氏:SIMフリー端末を使ってもいい。

法林氏:すごいユルいよね。

石野氏:そこを厳しくしちゃうと、端末購入補助だと言われる可能性がある。

房野氏:社長への囲み取材でそのあたりの話をしていましたね。

石川氏:SIMフリー端末や中古端末でも使えるので、端末の販売に紐付いていない。

石野氏:料金プランだということになる。ネゴシエーションが得意なドコモらしいですね。

法林氏:ドコモが踏み切ったのは、もちろん総務省の要求もあるんだけど、「dマガジン」とか「dTV」とか「DAZN(ダ・ゾーン)」とかで、お金が生めそうな環境が整ってきたことも理由としてあるだろうね。回線を保持していればサービスをそれなりに使ってくれる人がいるから、端末でがんばらなくても、そんなに無茶しなくてもいいという意識があるのかもしれない。環境が整ってきた。

石川氏:あと、穿った見方をすると、総務省が言ったからやったみたいになっているけれど、意外とドコモ、NTTグループがやりたくて総務省が助けた、ということも十分あり得る。

法林氏:あり得るね。

石川氏:どこかの新聞が書いていたけれど、ドコモがどのタイミングで料金値下げの発表をするか、1年先まで出てたんですよ。

法林氏:3月期決算の発表のときに、ユーザー還元に使う金額が多くないかと質問されていたけれど、いざ蓋を開けてみたら、今回の施策に当てていたのはその金額だった。ドコモは計画性があってやっている。行き当たりばったりじゃないだろうと思います。

石川氏:考えられているから、ちゃんと出せるし、収入がいくら下がるかが分かっているからできる。一方、それに付き合わなくてはいけないKDDIやソフトバンクは計算が狂ってくる。料金プランを先に出した方が勝ちのような気がする。昨今のテザリングのオプション料金問題も、何も考えずに追随したから、みんなに突っ込まれている状況になっている。

法林氏:昔は「料金は後出しジャンケン」という名言もあったのに、今や違うもんね。

石川氏:“あいこ“にすればいい、同じものを出せばいい、みたいにね。テザリングオプションの1000円には、どういう意味があるんだと聞かれても誰も答えられない。

石野氏:ドコモは料金制度室長が質疑応答や囲み取材に対応していましたね。

法林氏:僕は初めて見た。質疑応答でああいう人が出てきたのは珍しいね。

石川氏:しかもその後、囲み取材にも応じた。ドコモの広報の人に聞いたら、質問に応えさせたいということで、そのままにしておいたそうですよ。

法林氏:料金に関しては、このあとauがどうするかだね。

■「au HOME」は家を便利にできるか

房野氏:auは先日の発表会で、IoTデバイスで家の状況把握や遠隔操作ができる「au HOME」を発表しました。これについてはどう思われますか?

石川氏:au HOMEは「庭」感がすごい。IoTの世界は、どんな便利なものが出てくるか、まだ分からない状況で、それが楽しい。スタートアップが面白いものを作る可能性があるし、アメリカからすごい面白いものが登場するかもしれない。という中で、色々なものをつなげて生活が変わるかもしれないとワクワクすることに今のIoTの醍醐味がある。にも関わらず、au HOMEはauひかり回線しかつながらない、auの用意したau WALLET Marketで売る端末しかつながらない、デバイスはZ-WAVE(デンマークの企業が開発した無線通信)でつなぐしかない。そんなの何も楽しくないじゃないですか。しかも、鍵開閉センサーは鍵をかけることができない。鍵がかかっているかどうかのチェックしかできない。

法林氏:鍵がかからないのはウケたね。

石野氏:かかっていなかったら、どうすりゃいいのか。

法林氏:そう思うでしょ。大丈夫なんです、セコムのセンターに電話をするんですよ、鍵をかけに行ってくれますから(笑)

石川氏:それなら開閉センサーがなくても、セコム側で鍵がかかっているかどうか分かるでしょう。

法林氏:それが分かるプランは少し料金が高いし、別のアダプタが必要。

石野氏:これだったら、よっぽどスマートロックを付けた方がいい。

石川氏:本当にひどいなあと。

石野氏:そこまで囲い込むかと思ったし。

法林氏:昔はドコモの方に囲い込み感があったのに、今はKDDIの方が閉じている。

石川氏:コンテンツも閉じているじゃないですか。「ビデオパス」とかはauユーザーしか使えない。ドコモは、DAZNやdTV、dマガジンは他キャリアのユーザーでも申し込んで使える。

法林氏:僕の父親はauのiPhoneユーザーだけど、最近、dマガジンを使い始めた。dマガジンはどうだと聞かれたので自分も使ってるし、iPhoneでもiPadでも読めるから(複数端末で読めるから)、入れば? と勧めたら、あっという間に契約していた。そこら辺、ドコモはうまくやったなと思います。彼らは立場上オープンでやらなきゃいけないところがあるんだろうけど、それがうまく浸透した。

石野氏:auは昔から庭感がちょっとあって、それがスマホ時代に悪い方向へ行っている感じがする。

石川氏:auこそドコモよりシェアが低いんだから、ドコモユーザーが入りたいと思うようなものを作らなくてはいけない。全体のパイがauユーザーしかいないのに、auひかりで絞っている。

石野氏:コンテンツは閉じているしIoTは庭、MVNOまで庭感が出ている。どんだけ庭が好きなんだよって。

房野氏:UQ mobileでau HOMEは使えませんね。

石野氏:庭で囲っておきながらUQ mobileやBIGLOBEで使えないとか、チグハグな感じがしちゃう。やるんだったら庭師にちゃんときれいにしてもらわないとダメ。今は荒れっぱなしの庭になっている。

房野氏:au HOMEを契約すると、料金が安くなるといったことはないのでしょうか。

石野氏:いや、高くなる。利用料(月額490円)が必要です。

石川氏:すでにスマートバリューで割引になっているからね。au HOMEで利用料を取るのは分かるけど、AppleのHomeKitでいい、無料だし。

法林氏:HomeKitはデバイスの価格が高過ぎる。

石野氏:iPhoneしか使えないのがデメリットですね。

法林氏:そこが難点。HomeKitの利点を説明されたこともあるけれど、自分にはちっとも響かなかった。

房野氏:石川さんはHomeKitのデバイスを色々使っているんですか?

石川氏:あれ、実際に使い始めると便利だし、楽しいと思うんですけど、やっぱりだんだん使わなくなるんですよ。今は何ひとつ使っていないですよ。

法林氏:海外にいても自宅の電気をオン/オフできるとか、説明してくれたけどね。

石野氏:それができてうれしいのかって話ですよね。

石川氏:中途半端なIoTってダメ。iPhoneで電源をオン/オフするじゃないですか。でも、家にいる家族がバンバン電気をつけたり消したりするんですよ。しかも壁の元電源を切っていると、iPhoneでは何もできなくなる。

石野氏:そもそも遠隔地から電気をつけたいというニーズがまったく分からない。

房野氏:私も石野さんと同意見です。エアコンくらいかな。

石川氏:冬場に寝室のヒーターをつけたりはあるけれど、それもだんだん使わなくなってきて、今は一切使っていない。安心安全のために、ああいったものを何万円もかけて付けるって現実的ではないと思いました。それよりも、KDDIがやっているトイレの水道代が安くなるというサービス(KDDI IoTクラウド ~トイレ節水管理~)を見たときに、安くなる方向性のIoTはアリだと思った。それならたとえ1万円払ったとしても使おうという気になる。スマホで見るとかどうこうではなくて、コントロールしてくれるというのはアリだなと思った。ああいう知見のあるKDDIが、au HOMEというものを作ったのが、ちょっとなあと。

石野氏:法人向けはアリな気がする。農業とか。

石川氏:法人はお金に直結することなので。

石野氏:コンシューマに落とし込んだ途端にああなるかと、がっくりした。

法林氏:提案が、机上の空論とまではいわないけれど、リアリティがないんだよね。

石野氏:コンサルタントの受け売りって感じがする。もうちょっと自分たちで考えて、地に足の付いた調査をしないとダメだなと思います。

石川氏:自分の自宅のドアの鍵は「Qrio」というスマートロックなんです。先日、飲んで午前2時半くらいに帰宅して、ドアを開けようと思ってスマホから操作したら、カッシャ、カッシャっていうだけで、引っかからなくなっちゃったんですよ。ドアを開けられない。ピンポン鳴らしても家族は起きず、電話しても起きず、何やっても起きず、締め出され、仕方がないので駅前のビジネスホテルに泊まったんです。IoTのおかげでえらい目に遭いましたよ。

石野氏:家族が全員一緒に出かけると、最悪、締め出されるってことだ。

石川氏:そうなりますね。Qrioは両面テープで取り付けるので、粘着力が弱くなると、ズレて噛み合わなくなって開かなくなる。数か月に1回、両面テープを変えないと粘着性が弱くなるんですよ。ほら、リアリティがあるでしょ(笑)

法林氏:それが必要なんだよ。だからウチのはネジ止めにしましたとか言ってくれると、なるほどそうかとなる。

石野氏:ちゃんと使っていれば、鍵の開閉確認だけできても意味がないことが分かると思うんですけどね。

法林氏:以前のマンションで使っていたシリンダー錠は、鍵にインジケータが付いていて、鍵がかかっているときはインジケータの色が変わるものだった。よく鍵をかけ忘れるので、それを見て、ああ、鍵がかかっている、良かったと確認できた。そういうものがあるくらいなので、鍵がかかっている/かかっていないをスマホで確認するなんて、別にたいしたことない気がする。

石野氏:確かにインターネットを使うほどのことではない。もうちょっとIoT感がほしい。

石川氏:前からずっと言っているけれど、IoTって言葉が先行して、そのために一生懸命やるけれど、そうじゃないじゃんという気がすごくする。

法林氏:こういう不便があるから便利にしたいということから始めてデバイスにつながる発想ならいいんだけど、そういう言い方はしているけれど、実際は先にデバイスがある。

石野氏:手段と目的が逆転している。

石川氏:スマホが出てくるときに、これからスマートフォンだと言っていた人は誰もいなかった。突然、iPhoneやAndroidが出てきて、みんなが便利だといってスマホが盛り上がった。初めにこの世界がすごいというのは、やっぱりコンサルタント視点でしかないと思う。

......続く!

次回は、出揃った夏スマホについての会議です。ご期待ください。

文/編集部

@DIME編集部

最終更新:6/28(水) 6:40
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