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Jリーグ、“入れ替え戦”復活の背景。上限クラブ数を「60」と想定した構造改革の視座

6/28(水) 11:49配信

フットボールチャンネル

 Jリーグは27日に都内で開催した定例理事会で、2018シーズンからJ1・J2昇降格決定方法を変更することを決めた。2012シーズンから実施してきた「J1昇格プレーオフ」の形式に、J1の16位チームが参戦する「J1参入プレーオフ(仮称)」が導入される背景には、拡大させてきたJ3の形式や上限チーム数を含めた、Jリーグの将来的な全体像を視野に入れた構造改革が含まれている。(取材・文:藤江直人)

2017年J1在籍選手、通算得点トップ10。1位と2位は同一クラブのFWがランクイン

●J1とJ2のクラブによる実質的な入れ替え戦が復活

 昇格から参入へ。微妙なようにも映る表記の変更には、J3までを含めたJリーグ全体におけるチーム数の上限設定を視野に入れた、いわゆる構造改革へ向けた動きも含まれている。

 Jリーグは27日に都内で開催した定例理事会で、J1・J2昇降格決定方法を変更することを満場一致で承認した。概要や試合方式などの詳細を今後詰めうえで、2018シーズンから適用される。

 現状における昇降格は、J1の16位以下の3チームが自動的に降格、J2の1位および2位が自動的に昇格し、残り1枠をJ2の3位から6位までがトーナメント形式で争う「J1昇格プレーオフ」で決める。

 これが来シーズンからはJ1の17位および18位の自動降格、J2の1位および2位の自動昇格は変わらない一方で、J1の16位とJ2の3位から6位までの5チームが「J1参入プレーオフ(仮称)」に臨む。

 具体的なトーナメント表は、現行のJ1昇格プレーオフの形はそのまま残し、その勝者がJ1の16位と対戦する。開催方法は1試合制で、J1チームのホームで行われる予定だ。

 全体的なスケジュールとしては、J1の最終節とJ2の3位から6位までの勝者を決める一戦を同じ週末に実施。そのうえで翌週に日程をひとつ追加し、最後の1枠を決める一戦にあてる。

 昨シーズンの順位や成績を例にあてはめると、J1の16位だった名古屋グランパスとJ1昇格プレーオフを制したセレッソ大阪が、前者のホームで一発勝負に臨む形となる。

 J1とJ2のクラブによる実質的な入れ替え戦が、ジュビロ磐田とベガルタ仙台が対峙した2008シーズン以来、10年ぶりに再導入される。もっとも、昇降格決定方法の変更は以前から求められていた。

●J1昇格プレーオフは成功も…昇格組が苦戦

 Jリーグは2012シーズンから、最大4チームによるJ1昇格プレーオフを導入。J1に昇格できるチャンスを広げ、J2の終盤戦を盛り上げる意味でも、ある程度の成功を収めてきた。

 もっとも、J2で3位だったチームが勝ち抜き、昇格を決めたのは2015シーズンのアビスパ福岡だけだった。予測不能のドラマとしては面白いものの、翌シーズンにおけるJ1では軒並み苦戦を強いられてきた。

 2013シーズンの大分トリニータを皮切りに、徳島ヴォルティス、モンテディオ山形、そしてアビスパとすべてJ1の最下位に沈み、1年でのJ2降格を余儀なくされてきた。

 入れ替え戦が廃止された2009シーズン以降の3年間における、J2の3位チームも傾向は変わらない。湘南ベルマーレ、アビスパ、北海道コンサドーレ札幌といずれも1年でJ2へUターンしている。

 一方でJ1の16位でJ2へ降格したクラブの翌シーズンの成績を振り返ると、昨シーズンの松本山雅FCを除いて、6つのクラブがすべて2位以内に入ってJ1への返り咲きを果たしている。

 しかも2013シーズンのヴィッセル神戸を除いた、5つのクラブが2位に大差をつけて優勝。なかには2014シーズンのベルマーレのように勝ち点を3桁に乗せ、2位に勝ち点差18をつけた独走劇もある。

 昨シーズンまでの状況を受けて、J1昇格プレーオフを廃止し、従来のJ1の16位とJ2の3位が対戦する入れ替え戦に戻すべきでは、という声がJクラブの代表取締役で構成される実行委員会内であがっていた。

●綱引きの末に生まれたJ1参入プレーオフという形式

 もっとも、J2勢としては、可能性が大きく開いたJ1への扉はそのままにしておきたい。ある意味で綱引きの末に生まれたJ1参入プレーオフだったと、Jリーグの黒田卓志フットボール本部長は振り返る。

「最終的には理事会が責任をもって決めてください、という声をクラブからいただきました。Jリーグおよび日本サッカー界の将来にとってどのような入れ替え方法がいいのか、という視点に立ちながら、ぶれることなく議論してきた結果として、今回の決定に至りました」

 ただ、一連の議論においては、J1とJ2の間の昇降格決定方法だけが対象となったわけではない。最終的な決定に至ったわけではないと断りを入れたうえで、Jリーグの村井満チェアマンは「将来的なJリーグの基本構造における方向感を議論した」と、理事会後の記者会見で明言している。

「いまはJ3がある意味で、Jリーグのセーフティーネットという形になっています。J3から下への降格はないことを前提にして、14の地域クラブに3つのU‐23チームが参戦していますが、JFLへの降格がないJ3という位置づけをどこまで維持するかを、まずJ3を中心に議論しました。

 このまま降格がないとすれば、東西分割を含めていくつかのブロックに区分けする考え方がある一方で、JFLという全国リーグからJリーグに参入した以上は、やはり全国リーグでありたいと。議論のなかで、たとえJFLへの降格があったとしても全国リーグで、という大枠でのコンセンサスを得ています」

●J3も含めたJリーグ全体の将来像をどう描くか

 将来のJリーグ入りを目指す「Jリーグ百年構想クラブ」として承認されているクラブは、元日本代表監督の岡田武史氏が代表者を務めるFC今治など、JFL以下で6つを数えている。

 他にも参入を希望する動きがあるなかで、2014シーズンに12チームで創設されたJ3を、無制限に拡大していくわけにもいかない。村井チェアマンが続ける。

「全国規模のリーグを維持していくことを選択した場合には、年間における試合数との関係から、チーム数の上限をどうするかという問題が出てくる。ひとつの目安として20チームを上限として、そのタイミングでJFLへの降格も検討することを視野に入れていく、というプロセスで議論をしています。

 つまりJ1が18、J2が22、J3が仮に20になる状況を見たときに、今度は各カテゴリー間における昇降格の機会均等のバランスや公平性があるのかどうか、という議論になります。そこにこれまでの競技成績上のデータを参考にしながら、さまざまな要素を加味して判断した次第です」

 JリーグはJ2の21位とJ3の2位による入れ替え戦を、今シーズンから廃止している。J2ライセンスを保持するJ3のクラブ数が少ないためだが、あくまでも時限的な措置だと前出の黒田本部長も言う。

「今シーズンからJ2の下位2チーム、J3の上位2チームの自動昇降格としましたが、クラブライセンスの取得が進んできた段階で、その点は再び考えましょうということですね」

 今回の決定に至っては、ヨーロッパ各国の昇降格システムも参考にした。ドイツ、イングランド、スペイン、イタリアで共通していたのは、下位カテゴリー間ほどより広い昇降格枠が設定されている点だった。

 Jクラブの上限を「60」と想定した観点で施された、改革のひとつがJ1参入プレーオフの導入となる。今後も全体的なバランスを鑑みながら、リーグ全体の競争力を高める施策を練っていく。

(取材・文:藤江直人)

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