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あの一戦で川崎F・小林悠は変わった。「内容より、今は勝てればいい」

6/28(水) 7:50配信

webスポルティーバ

◆川崎フロンターレ・小林悠インタビュー(前編)

 噛みしめるように言葉を絞り出す小林悠の表情には、悲壮感すら漂っていた。

【写真】フロンターレはACLでも強い

「昔はすごい内容が大事というか、そこを優先していたところがあったんですけど、あれからは正直、勝てれば何でもいいというくらい、自分の中で物差しがはっきりと変わりました。極端なことを言えば、今は内容なんて多少悪くても、本当に勝てればいいやって思っています」

 内容より結果――小林がそれを強く意識するようになったのは、今季より川崎フロンターレのキャプテンに就任したから、というだけではない。その真意を知るには、彼が「あれから」と語る、その時間まで時計の針を巻き戻す必要がある。

 そう、2017年1月1日、大阪・吹田スタジアムで延長戦の末に1-2で敗れた鹿島アントラーズとの天皇杯決勝まで……。

「あの天皇杯の決勝は、自分がプロになって初めてタイトルがかかった試合。これまでフロンターレは『シルバーコレクターだ』って言われ続けてきましたけど、自分としては”鬼門”と言われる試合で得点してきたこともあって、勝てる自信もありましたし、チームの苦い過去はあの日で最後にしようと思っていたのに……。結局、それができなかった。

 もう本当に最悪な新年のスタートでしたよね。試合が終わって帰りの新幹線の中でも、『何であのとき、こうしなかったのか』とか、そんなことばかり考えていた。家に帰れば、お正月モードでしたけど、やっとオフになったという感覚はなくて、家族といても最初は楽しみ切れていない自分がいました」

 半年経った今も、昨日のことのように悔しさがぶり返してくる。それは、話を聞いたこちらが申し訳なくなるほどだった。自身のキャリアにおいて初めて臨んだ決勝で、彼が強く感じたのは、戦う姿勢だった。

「率直に言って『戦っていないな』って思ったんですよね。天皇杯決勝でも、球際で負けるシーンは多かったですし、鹿島みたいにセットプレーで決めるというよりも、どこかでやっぱり僕らは内容を重視していた部分が強かったのかなと。昨季は点が多く取れる試合もたくさんあって、プレーしていてすごく楽しかったですし、それ自体はよかったんですけど、結局、勝負どころの試合で勝てなかったという現実を突きつけられた。

 それはなぜかって考えたら、目の前の一つひとつのバトルに勝つ、勝てないというのが、決勝の大舞台で出てしまったのかなって……。だから、自分がキャプテンになって変えていかなければならないのは、そういうところだなって」

 今シーズンより指揮官に就任した鬼木達監督に、キャプテン就任を打診されたのは、シーズンインして間もない、宮崎キャンプ3日目のことだった。監督の部屋に呼ばれると、「変にキャプテンだからと意識せず、チームにピッチの中で戦うことだったりを、悠なりに伝えていってほしい」と言われた。小林自身も「呼ばれたときから、キャプテンの話かなとは思っていた」と、経緯を語る。

「自分もそろそろ(キャプテンを)やらなければなという気持ちもあったから、その場で『がんばります』みたいな感じで、すぐに返事をしました。実際、自分自身もフロンターレに足りないのは、ピッチで戦う姿勢であったり、球際で負けないことだったり、純粋に走るというところだと思っていたので、今もですけど、開幕前からそこは厳しく言うようにしています」

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