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ベルギーの原発停止求め5万人が3カ国90kmの人間の鎖

6/28(水) 17:44配信

オルタナ

ベルギーの老朽原発2基の即時停止を求めて、ベルギー、ドイツ、オランダの約5万人が6月25日の午後、一斉に手をつなぎ、3カ国90kmにわたる「人間の鎖」ができた。2基の原発では2012年来、圧力容器に多数のひびが発見され、近隣諸国の自治体が共同で提訴した。これらの自治体の住民や政治家が「人間の鎖」を主催したが、ベルギー政府は国内に2カ所7基ある原発の早期停止には応じておらず、対立が鮮明になっている。(ベルギー リエージュ=川崎 陽子)

ベルギー国境に近いドイツのアーヘン市と周辺の自治体では、「STOP THIANGE&DOEL=ストップ ティアンジュとドール(ベルギーの2基の原発名)」と書いた黄色いステッカーを貼った車、自転車、商店や家々の窓を多く見かける。

これらの原発では2012年来、合計1万6000のひびが見つかったが、原因は不明のままだ。(関連記事:http://www.alterna.co.jp/11174)ドイツの自治体連合や2つの連邦州、オランダやルクセンブルクの自治体は、完全に安全確認されるまでのティアンジュ原発2号機停止を求めて提訴している。(関連記事:http://www.alterna.co.jp/18209)

今年にはいってからは、訴訟中の自治体の役所に「6月25日、ティアンジュ原発停止を求める90kmの人間の鎖に参加しよう」というポスターが貼られ、参加申し込み用のハガキやチラシが配布されるようになった。ドイツ、オランダ、ベルギーの反原発市民団体共同の「人間の鎖」というアクションがスタートしたからだ。

ティアンジュ原発からベルギーの大都市リエージュとオランダのマーストリヒト市を経てアーヘン市までを人間の鎖でつなぐ計画で、全長90kmを国と居住地ごとに割り振り、参加者に目的地点がわかるように地方紙などでも案内を出した。

ドイツ在住日本人が結成した「公益社団法人 さよなら原発デュッセルドルフ」も、協賛団体として企画段階から加わって寄付をし、ネットなどで参加を呼びかけてきた。理事の一人であるミュラー・柴勵子(しば・れいこ)さんは、次のように振り返り、関係者24名の参加に感謝した。

「5月中旬の会合時点での参加登録者は、2万5千人で必要人数の半分以下でした。オランダの通過自治体が『交通安全コンセプト代』として6万6千ユーロを要求し、開催自体が危ぶまれたこともありました。幸いいずれの問題も解決し、脱原発への思いをつなげることができました」

夫と娘と参加した福島県出身の松崎春恵(仮名)さんは、「小さな子ども連れの人たちも多く、こんなささやかな一歩から変えていく力が芽生えるのだと改めて実感しました」と述べた。

12歳のドイツ人イレーネさんは、「チェルノブイリ原発事故の際に彼女と同じ年齢だった母親から当時の話を聴いたので、ティアンジュ原発の事故を防ぐために参加しました」と語った。

政治家の協力も不可欠だった。各地の緑の党は、住民の目的地を往復するバスを用意した。原発の風下に位置する広大な自然保護区アイフェル国立公園の緑の党は、バス1台の予定が200名の申し込みがあり、4台を手配したという。ティアンジュ原発で新たに70のひびが見つかったという最近の報道が、参加者増加の追い風になったとみられている。

ベルギーで訴訟中のアーヘン市では、広報局のツイッターで「人間の鎖」の模様や写真・動画を配信。「マァセル・フィリップ市長が、後援者として反響に感激しています。共に行動された皆様に感謝します」と伝えた。

地元紙は、同市のあるノォトライン=ヴェストファーレン州のアーミン・ラシェット次期首相が、5万人の鎖が訴えた危機感を受けて「2基のベルギー原発を早急に停止するために尽力すると約束した」と報道した。

しかし、ベルギー政府を動かすことは容易ではない。ドイツの反原発団体は、今なお8基の原発を止めず、ベルギーを含む他国の原発にも燃料を供給している自国の政府に対しても、「脱原発の徹底」を訴えている。

最終更新:6/28(水) 17:44
オルタナ

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