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新庄、稲葉、森本…”伝説の日ハム外野トリオ”は何が違ったのか? 稀哲氏が語る最強の外野守備とは

6/28(水) 10:00配信

ベースボールチャンネル

 1998年のドラフト4位で、内野手として日本ハムファイターズに入団した森本稀哲氏。だが入団後はかなり早い段階で外野手にコンバートし、新庄剛志氏と稲葉篤紀氏の3人で“鉄壁の外野手”を築き上げ、ゴールデングラブ賞、ベストナインなど数々の賞を総なめにしてきた。現代のプロ野球でもチーム事情によりコンバートする選手は少なくないが、そのタイミングはいつか、また、“鉄壁の外野手”と呼ばれていた時代の思い出話を聞いてみた。

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■“鉄壁の外野”は連係がとにかくすごかった

――日ハム時代には新庄さんらと“鉄壁の外野手”として守備に着かれていらっしゃりましたが、守備で憧れていた選手はいらっしゃりますか?

森本:僕もともと内野手で、途中から外野手になったんですけど、新庄さんの守備はうまかったですね。ただ、僕はそこまで肩が強いタイプではなかったので異なる部分の方が多いですが、でもやっぱりポジショニングとかは本当に勉強になりました。

――当時森本さんは外野でもレフトからセンターに移られました。外野と言ってもレフトとセンターは違うものですか?

森本:やっぱりセンターは花形ですし、全然違います! 糸井選手が出始めた当時、僕はセンターを譲りたくない気持ちが強かったのですが、糸井選手の方が能力が高く、僕はレフトに移った。でも、その後は任された場所を全うしようと思いながらプレーしていましたね。

――ゴールデングラブを受賞した時の気持ちを教えてください。

森本:僕もそうでしたが、ゴールデングラブは野手の大半が憧れ、目標にしていると思います。だからこそ獲れた瞬間は、最高に嬉しかったですね。

――新庄さんと稲葉さんと3人、鉄壁の外野が揃って受賞したこともありましたよね。

森本:あー、あれは最高でしたね! 「外野の守備で勝つ!」という意識でやっていたので。自分一人でももちろん嬉しいですけど、3人で獲れたっていうのは、本当に嬉しかった。ほかの2人が獲得したことも、自分のことのように喜んだことを今でも鮮明に覚えています。

 僕はお二人についていく形で獲らせていただいたので、言葉では言い表せない気持ちになりました。プレーだけではなく3人で連係して守備をすることに重きを置いていたので、なおさら嬉しかったですね。

――ほかのチームの外野守備と3人はここが違う、といった点はありましたか?

森本:もう意識も連係も違います。新庄さんが動いたら僕と稲葉さんも一歩、二歩と動いていました。新庄さんが「1球1球俺を見ろ」と言っていたので、投手がボールを投げるたびに動きを変えていました。

――それは基本的に新庄さんが指令を出していた?

森本:新庄さんがセンターなので、基本的には舵取りをしてくれていましたね。


■コンバートのタイミングは双方が了承した時点

――森本さんはかなり早い段階で内野から外野にコンバートされましたが、転向は早い方がいいと思われますか。

森本:これは微妙ですね…。例えば現阪神の糸井嘉男外野手なんかはピッチャーで入りましたけど、大学時代にはリーグMVP・最優秀投手・ベストナインとタイトルを総なめ。あそこまでやり切ったからこそ、野手に転向しようと踏ん切りがついたのかもしれない。でもそこでね、ピッチャーとしてドラフト1位で入ってすぐに野手にできるかって言ったら、そこはやっぱり難しいところじゃないかなあと思いますね。

――もし今後、指導者になられたとき、選手に転向を勧めようと思いますか。

森本:もちろん。適正をいかに早く見つけるかどうかも大事ですけど、やっぱり本人が納得しているかどうかのほうが大事だと思うんですよね。最近はそう言ったことも含めて、少し考えたりもしていますね。

――どのタイミングで勧めるのが良いですかね。

森本:どこかで絶妙なタイミングがあるんでしょうね。一番いいのは、本人とチームスタッフの両者が納得できるときじゃないですか。結局、コンバートはチームのためにするので。「この選手はこのポジションにした方が伸びるのでは」といった可能性が出てくれば、その後のチームにとっても良いことじゃないですか。もちろん本人のためでもありますが、忘れちゃいけないのは、本人の考え方がブレることなく続けることだと思っていますね。

――近年よくあるのが、内野を守っていたが他の選手にポジションを奪われてしまい外野手に転向。しかし、そこでも同様の状況になり再び内野手にコンバートする。そんな風にチームの方針に振り回される選手がちらほら見受けられます。

チームのためには仕方がないとしか言えないですね。とは言え、それで結局選手がつぶれたらチームにも責任はあると思います。ただ、世間のサラリーマンも同じだと思いますが「俺はずっと内野でやってきたんだ」の一点張りでほかのポジションをやらないというのは困るじゃないですか。

「営業に異動」という人事に対して「俺は営業じゃなくて事務作業のほうがあっているから行きません」なんて言ったら…。融通を利かせてくれる選手のほうがチームとしてはすごく助かるのは確か。だけど大事なのはその選手が本当にそれでつぶれずにチームの戦力として生きていくかどうか。それを球団は大事にしないといけないんじゃないかなと思います。

――それを生かすように、フロントはうまくやらないといけない。

森本:その責任はありますよね。もし、うまくいかなかったときに、フロントとしてもある程度は責任取るべきじゃないかな。


 次回は、森本稀哲氏が期待する現役選手とその理由についてお話いただきます。


森本稀哲(もりもと ひちょり)
高校野球の名門・帝京高校の主将として甲子園に出場。
1999年ドラフト4位で日本ハムファイターズに入団。
2006年には1番レフトとして活躍、チームを日本一に導く。
2011年横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)移籍。
2014年埼玉西武ライオンズへテスト入団。
現在は、経営コンサルティングを手掛ける『CKPLAT』に所属。
野球解説やタレントのほか、ビジネス関係の講演も行っている。


飯塚紗穂

ベースボールチャンネル編集部