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米司法制度の「不公正」を暴く無料ツール

6/28(水) 12:22配信

WIRED.jp

米国の司法制度は地域ごとに制度が異なるうえ可視化されておらず、地域によっては犯罪が訴追されずに放置されたり、軽犯罪で刑務所に送り込まれたりする不公正さが常態化している。危機感を感じたある弁護士がつくったのは、6州300郡の司法データを可視化して問題を浮き彫りにする「Measures for Justice」という名の無料ツールだ。

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米国の司法制度に関する本を執筆するため調査を行っていた弁護士のエイミー・バックは、ミシシッピ州クイットマン郡でシャロンという女性に出会った。

2001年7月のある日、シャロンはボーイフレンドに橋の下へ連れて行かれ、タイヤレバーで繰り返し殴られたという。シャロンは何度も意識を失ったが、姪が止めに入ったおかげで一命を取り留めた。救急救命室で撮影された写真を見ると、目は両方ともアーモンドのような形に腫れ上がり、茶色の瞳が覆い隠されている。シャロンは警察に通報し、警官は加重暴行罪の報告書を作成した。

しかし、すべては報告書の作成だけで終わった。警察も地元の検察も立件しなかったのだ。その後バックの調査で、クイットマン郡では21年前からDVの訴追が行われていないことがわかった。バックがこの事実を検察官に伝えると、なんと「そんなに長く行われていないのですか?」という答えが返ってきたのである。

ミシシッピ州で5番目に貧しいクイットマン郡は事実上、司法制度の運用や訴追の基準に関するデータをもっていなかった。バックは刑事司法制度をテーマに執筆活動を行っており、自身も弁護士であるため、このような実情が決して珍しくないことは知っていた。だからといって、問題視する必要がないわけではない。

2009年に『Ordinary Injustice』という本を出版したバックは、シャロンをはじめとする多くの人から体験談を聞き、何かせずにいられなくなった。そこで、司法制度の不公正を暴くツールを開発し、2017年5月23日(米国時間)に無償で公開した。

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最終更新:6/28(水) 12:22
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