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豊田真由子議員「ハゲ~!」騒動は、都民ファーストの逆風 --- 筒井 冨美

6/28(水) 17:04配信

アゴラ

先週、自民党の豊田真由子代議士が秘書を罵倒・暴行する常習者であったことが週刊誌で報道され、証拠の音声がネット上で公開された。「ハゲ~!」という絶叫は、録音を聞くだけでも心臓を掴まれるようなインパクトがあり、あの罵倒を車内という密室で強制体験させられた秘書に、しみじみ同情してしまった。今後、女性活躍推進ナントカ団体がよくやる「上司にしたい/したくない女性」調査では、上位ランクインすることは確実だろう。6月22日、「党に迷惑をかけたくない」とのことで、豊田氏は離党届を提出した。翌23日告示の東京都議選を忖度した(させられた?)のだろう。

このタイミングで音源を週刊誌に情報を持ち込んだ動機は、大きく2つ考えられる。「罵倒・暴行された元秘書の怨恨」と「都議戦前に自民党の評判を下げたい」だが、前者はともかく後者としては逆効果のように私には思える。

この騒動は、NHKニュースや全国紙のみならず、ワイドショー・スポーツ紙からネット系メディアまで、ふだんは政治に無関心と思われる層の注目も集めた。テレビ報道では、罵倒・暴行の事実のみならず、「艶やかな着物での国会登院」画像や「ピンクのスーツでテキパキ国会答弁」動画も紹介され、外向きの顔と密室における「ハゲ~!」奇声との落差が強調された。

今回の都議選における都民ファーストの会は、「自民党の腐ったオヤジ連中」に、「ヒロイン百合子とフレッシュな女性候補者たちが、ジャンヌダルクのように闘いを挑む」というイメージ戦略を狙っているのだろうが、テレビ報道における豊田氏の印象は後者に近い。特に、ワイドショーやバラエティ番組の視聴者には「自民党議員の不祥事」というよりも、「『女性目線で政治に新風を』と言う派手色スーツのオバちゃんって、実はヤバいかも…」というインパクトが残ったのではないか?

民主党政権によるドタバタ後、「シロウトの寄せ集め政権はヤバい」「自民党のオヤジ政治の方がマシ」と国民に見直され、安倍首相と自民党は長期安定政権を運営している。今回の騒動は「派手色スーツの新人女性よりも、ベテランオヤジの方がマシかも」と、「自民党系現職にとっては追い風」「都民ファースト系新人(特に女性)には逆風」になると、私は分析している。

私は仕事柄100以上の病院で働いた経験があるが、「女性目線」「○児の母として」「患者さんの笑顔」「弱者に寄り添う」…的な美辞麗句をホームページなどで対外的に発信している女医に限って、控室で「点滴ボトルを床に叩きつけて、職員を罵倒」的なシーンを目撃することは、皆無ではない。むしろ、女性であることを前面に出さず、淡々と職歴や得意分野で勝負するタイプ(宇宙飛行士の向井千秋氏とか、ジャーナリストの江川紹子氏など)の方が、地雷女の確率が圧倒的に低い。ちなみに、例の絶叫代議士は、ピンクスーツを愛用し、国会答弁でも「2児の母として~」という枕詞を多用していたらしい。

なお、東大卒弁護士の住田裕子氏がテレビ番組で、「東大+ハーバード院の超エリート」と騒ぐ司会者に、「超エリートではない、準エリートぐらい」(https://www.daily.co.jp/gossip/2017/06/22/0010304713.shtml)と反論し、「厚労省は第一希望だったか疑問(財務省や経産省が第一志望だった?)」「経歴も次官コースではない」「内心ではたまったものがあった」と解説していたが、私も同感である。

豊田氏は「ハーバード院卒」だが、エリートコースとして知られる「経営学修士(MBA)」「法科大学院」「公共政策大学院(Kennedy School)」ではなく、「公衆衛生大学院(Harvard School of Public Health)」(https://www.hsph.harvard.edu/news/features/public-health-politician/)である。

旧看護学科をルーツに持ち、東大で言えば医学部健康総合科学科(旧看護学科)大学院のようなもので、ハーバード大学院としては入りやすく「卒業して前職より給料が下がるのはうちぐらい」(http://medg.jp/mt/?p=539)と言われている。同大学院ホームページでは、「HSPH出身の政治家」として豊田氏を紹介しているが、逆にHSPH出身で国会議員に出世する人材が稀であることも意味している。また、(実務経験があれば)1年制のカリキュラムなのに、豊田氏のホームページでは「平成12~14年ハーバード大学院留学」とある。この辺の経歴からも「内心たまったもの…」を、私は感じてしまうのである。

筒井 冨美

最終更新:6/28(水) 17:04
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