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中国メディアでバズった「日本で働く11の覚悟」が結構的を射てて耳が痛い

6/28(水) 16:00配信

HARBOR BUSINESS Online

 中国のSNSなどで一年ほど前に「日本で働きたい?そのために必要な11の覚悟」という記事が掲載され、バズった。日本で働きたいという中国人に対して「現実の日本はこうだ」と諭すような内容になっているようだが、いったい、向こうの人から見ると日本の「労働環境」がどのように考えられているのかがわかって非常に興味深い。いったいどのようなことが紹介されていたのだろう?

 1から順に見ていこう。

◆1.超時間厳守

 日本人は、時間厳守を重視し、遅刻は厳禁、必ず早く到着しなければならい。日本人が遅刻がよくないと考える理由は、周りの人に迷惑をかけるからである。これは仕事だけではなく、プライベートでも同様で待ち合わせ時間の5分、10分前に到着するのが常識とされている。

 また、東京周辺の神奈川や埼玉から毎日何十分もかけて通勤するサラリーマンの中でも特に女性は、化粧をするために寒い朝も温かいベッドに長く留まることが許されず、より早く起きなければならない。

◆2.休むことは許されない

 日本には台風休みはない。雪が降ってもいつも通り通勤通学しなければならない。有給休暇は多いが、全部消化できる人はごく一部。仮に風邪をひいて熱があっても仕事は休まない。自分が休むことで他の同僚たちに迷惑がかかると考えるからだ。もし風邪をひいたらすぐ治る風邪薬を買い求めて服用するので風邪になっている暇はないのだ。

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 日本人が時間に几帳面なのは中国人に限らず世界中の人が持っているイメージだとは思うが、中国も最近は「時間を守らせる」ために企業側がルールを徹底させているようだ。かつて筆者が働いた中国企業では、1分でも遅刻すると罰金、病欠でも罰金という厳しさだった。一方で、成果を出すと皆の前で社長が手渡しで現金ボーナスを渡し褒めちぎるなど信賞必罰の風土に驚いたのを思い出す。もちろん、会社の規模の差もあるだろうが、そうした「罰」などなくても時間厳守し、有給さえも取らず働く日本人がある意味お人好し過ぎるのだろうか……。

 さらに続けて見ていく。

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◆3.ホウ・レン・ソウ

 日本の伝統的な職場で重視するものの1つが「ホウ・レン・ソウ」(報告・連絡・相談)。あるプロジェクトを企画して終了するまでに、途方もないホウ・レン・ソウを繰り返さなければならない。その目的は、常に上司が過程を把握している状態にするためだ。そのため毎日、膨大なホウ・レン・ソウの波に埋没することになる。

◆4.千杯飲んでも酔わない強靭な肝臓

 日本の職場は協調性を重んじる。1か月に2、3回は、仕事の後に上司に付き合わされて飲みに行く。しかも、営業など色々な人と会う業種の人は、さらにその回数は増えてしまう。

 日本の宴会には酒がつきもので、ビール、焼酎、ウィスキー、ワインなどを飲むが、さらに2、3次会と続き飲み続ける。結果、終電を逃し帰れなくなったり、翌日、二日酔いで出社するすることもしばしばだ。そのため、早朝のドラッグストアの二日酔いに効くドリンクコーナーには朝から多くのサラリーマンが集結し、そのドリンクで乾杯をしている光景を見ることができる。

◆5.日本国籍という見えないガラスの天井

 もし、あなたが日本の企業で成功しようと思っても日本国籍を持っていなければ、日本での出世は非常に厳しい。日本は近年「脱日本型企業」を謳っており、2014年厚生労働省の調査によると、52%の企業が外国人の採用を検討しているという。しかし、現実は、グローバル展開している会社や業種に偏っていたり、外国人客が利用するようなレストランやホテルなどサービス業が中心であなたが希望する業種、業務へ就くことは難しいのだ。

『東洋経済オンライン』が2012年2月に企業1117社を調査した結果によると、外国人が管理職を務める日本企業はわずか10%前後で、『日本IBM』のような大手外資系企業は日本の全企業の0.9%ほどで、多くが従業員数300人以下の中小企業が占める。

 また、日本は、外国籍だけではなく女性も働きづらい。たとえば、世界的な化粧品ブランドで知られる企業でさえも女性の管理職は3割未満という状況だ。女性は、例え、高学歴であってもお茶くみやコピー取りなど雑用をさせられて、結婚したら退職して専業主婦の道を選ぶ女性も少なくない。そのため日本では女性の昇進は難しいと言える。

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 中国での人間関係では酒が飲めることが重要というイメージもあるが、実際のところ最近ではそのようなこともなくなりつつあるようだ。

 また、外国籍や女性についての言及もシビアだ。というのも、中国は日本より男女均等が進んでおり、電車やバスの女性運転手は当たり前で、女性タクシードライバーも珍しい存在ではない。給料の男女差もなく、専業主婦なんてものも存在しない。男性が家で料理することも当たり前なこともあり、一般的な中国人から日本を見ると女性が虐げられていると感じるのは当然かもしれない。

 さらに、6以下を見ていこう。

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◆6.収入は多いが出ていく支出も多い

 日本の平均年収は中国の3倍あるが、保険や年金などの負担が重く決して馬鹿にならない。前述のように日本のサラリーマン社会では飲み会が頻繁に行われるため参加しなければいけない。しかも、日本は割り勘文化なので、負担も少なくない。

『新生銀行』が20代~50代2300人のサラリーマンへ調査したところ毎月の平均飲み会は2.4回あり、1回あたりの平均支出は4954円。なんと毎年10万円ものお金が飲み会で消えていくのだ。

 しかも、日本のOLはさらに苦しい。日本は、男女格差が著しく男性社員と比べ女性社員は給料が低く、34歳以下のOLは、同世代男性の3倍の年間7万2919円を衣服に使い、化粧品に年間7万227円使う。いずれも日本で女性が仕事をしていく上で必要な支出なのだ。さらに加えて美容室の費用もかかるので日本のOLは悲惨な状況に置かれている。

◆7.常に長時間の読書が求められる

 日本の会社は社会人学習や業務トレーニングを好み長時間の読書習慣を当たり前のように求め強いプレッシャーをかけてくる。サラリーマンは、常に政治経済の動向を把握し、職場で仲間外れにならないように気をつけなければならない。

 日本の書店へ行くとビジネス書や自己啓発本が山積みになって売られているが、日本でも紙媒体は減少傾向にあり、電子書籍へ移行しつつある。2015年総務省の調査によると、日本の独身者は年間2万1179円を書籍代へ支出している。また、『インプレス総合研究所』によると日本の電子書籍の市場規模は、1411億円に達しているなど、日本人は本やタブレット端末を長時間片手に常に自己精進をしなければならない。

◆8.嫌な上司へゴマをすって耐え抜く

 中国人は日本的な年功序列を嫌う。理不尽な上下関係は意味がないと考えるからだ。当然ながら日本でも世代間によって考え方に差が出てきている。たとえば、若い人が多い新しいIT企業では、組織がフラットで透明化された企業も増えてきている。しかし、旧態依然の古い商社などでは、いまだに厳しい上下制度が残っており嫌な上司でも仕えなければいけない。

 日本の厳しい社会を生き抜くための処世術に「ゴマをする」という行為がある。言い換えれば、空気を読んで上司を立てるといことだが、業務上の成果を上司へ譲り、自分は空気を読んで昇進しないことを当たり前の美徳としている。しかし、多くの中国人にはこのような職場文化へ適応することは非常に難しいだろう。

◆9.完璧な協調性

 日本人は団体意識が強く、企業は協調性が高い人を好み採用する。協調性とは何か?職場での空気を読み、目立たず、皆と同じ横並びの行動をするようなことだ。ある冬の駅で電車を待っている人を見ると皆が同じような黒やグレーの地味なコートを着ていることが分かる。これが協調性だ。

 職場の人間と一緒にカラオケに行ったとしよう。中国人なら各々が好きな歌を歌い楽しむが、日本人は、歌っている人へタンバリンなどで盛り上げたり、拍手をしたりしなければいけない。また、携帯電話にも出ることができない。無礼講とされる飲み会でも同じような場面がしばしば見られ、女性や若い社員は、先輩や上司を盛り立てなければならず、酔っ払ってはいけないのだ。

◆10.夢の正社員になるため過酷な派遣社員で働く

 バブル崩壊後の日本は、終身雇用制が崩壊し、正社員で働くことが難しくなり派遣社員が増えている。2012年の厚生労働省の調査によると、派遣社員の割合は26.9%に及び、情報産業、不動産業、製造業など様々な業種で働いている。

 日本人ですら就職難なのに外国人ならさらに就職が困難なのは容易に想像できる。多くの人は先に派遣社員として働き、いつか正社員になることを夢見ている。しかし、現実は厳しく、日本政府は派遣社員を減らし正社員を増やす方針を打ち出しているが、机上の空論だろう。派遣社員が職場で抱える最も大きな問題が陰湿なイジメで25.4%に達する。

◆11.プライベートを犠牲にして24時間戦えますか?

 日本のサラリーマンは長時間労働が常習化している。日本政府は2020年までに週60時間以上働く人を5%以下にするとしているが、長時間労働が原因の過労死や自殺が後を絶たない(しかも自殺しても問題解決にはならない)。

 厚生労働省によると日本人の年間平均労働時間は1735時間。しかし、仕事を終えたあとのプライベートの時間でも職場からの電話に24時間いつでも出られるように備えておかなければならず、この労働時間の統計は当てにならないのだ。

 多くのサラリーマンは、有給や残業代があるが、大多数の企業は残業代を抑えたいのであの手この手を用いて使わせずに働かせる。だから、日本のサラリーマンは、日々の仕事に追われて生活の質を向上させる時間がなく、有給があっても休めず、お金があっても使えず、幸せを感じる生活とは無縁なのだ。

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 こうして読み終えてみると、かなり皮肉っぽく書かれているものの、「トンデモ日本」ではなく、そこそこ現実に即した内容ではないだろうか。

 ただ、そもそも中国に日本で言う正社員は存在しない。1年や3年ごとの契約更新をして働く制度なので、イメージ的には正社員と派遣社員の中間に近いのではなかろうか。さらに言うと中国人は、会社への帰属意識が乏しく、チャンスがあれば明日にでも担当業務を放り出して転職したり、起業する風潮も強いので一概には比較できないと思う。中国で民間企業が誕生してまだ30年も経っていないので成熟していないのもまた事実なのだ。

 日本人からするとなんとも耳が痛い指摘が多いが、中国人にとって日本の職場はこう見えているのかを知れば、起こり得る摩擦を回避することもできるかもしれない。

出典:https://m.sohu.com/n/472611634/

<文/我妻伊都(Twitter ID:@ito_wagatsuma photo by Dick Thomas Johnson via flickr(CC BY 2.0)>

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最終更新:6/28(水) 19:51
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