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空き家のある街、丸ごと「ホテル」に 民泊導入も安心

6/29(木) 7:47配信

NIKKEI STYLE

 大阪市・西九条の住宅街で、点在する空き家を客室に再生して1つのホテルのように運営する取り組みが始まった。窓口となる共通の「フロント」を設けて、チェックイン業務などを一元管理する仕組み。一般の住宅に旅行者を有料で泊める民泊を解禁する法律が制定されたことで民泊の導入機運が高まっているが、近隣とのトラブルの懸念も根強い。今回はフロントの設置で安心感を高めているのが特長で、民泊の一つのモデルとなりそうだ。

 新プロジェクトは「SEKAI HOTEL」という名称で、中古住宅リノベーション(改修)のクジラ(大阪市)などベンチャー6社がJR西九条駅前で始めた。当面は6室、収容人数30人強だが、数年内に40室、200人程度に増やす。稼働率はまず85%を目指す。
 一般的なホテルはフロントや飲食店、物販店などが1つの建物内にある。だが、SEKAI HOTELはそれぞれが地域の空き家に分散するのが特徴。宿泊客はチェックインのためフロント施設に立ち寄ってから客室を利用する。宿泊客が食事や買い物で街の店舗を利用することで、にぎわいづくりにつながる。
 クジラは空き家をいったん買い取り宿泊施設に改修する。部屋や建物ごとに新しいオーナーに転売して同社があらためて賃借する。クジラはシーツ交換や部屋の掃除なども担う。飲食や物販の店舗を誘致して地域の魅力を高める。窓口のフロントは観光拠点としても役立ててもらう。語学教室や法律事務所なども事業に加えて、専門的なアイデアを出してもらってサービスを充実させる。
 大阪市の特区制度にもとづく「民泊」施設や旅館業法の枠組みで営業する。利用する空き家が長屋など1棟単位なら、旅館業法に基づき10人未満の客室を1泊から運営できる「簡易宿所」とする。部屋単位なら、国家戦略特区法に基づく大阪市で認められた「民泊」施設として2泊3日以上から営業する。
 JR西九条駅は人気観光スポットであるユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)まで電車で5分程度と近いが、駅前は空き家が点在してまとまった用地の取得が難しく、再開発が進んでいなかった。訪日外国人など旅行客を呼び込み、街の活性化とホテル不足の解消につなげる。
 2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて訪日外国人が急増する見通しで、受け皿となる民泊のニーズは高まっている。全国で民泊を解禁する住宅宿泊事業法も6月9日に成立した。ただゴミ捨てや泊まる人の騒音など近隣とのトラブルが課題になっている。SEKAI HOTELは地域の窓口となるフロントを置いて、これらの不安を解消する。5年以内には地域の住民が運営に参加できるようにする考えだ。
[日本経済新聞夕刊2017年6月10日付を再構成]

最終更新:6/29(木) 7:47
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