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ちゃんこ番30年の力士が教える、食欲が落ちる夏場の工夫

6/29(木) 7:00配信

NEWS ポストセブン

 7月9日に初日を迎える名古屋場所を前に、力士たちは日々鍛錬を積んでいる。その強靱な肉体を作る上で欠かせないのが「ちゃんこ」だ。

 ちゃんこの語源は、長崎方言で大型の中華鍋(チャンクォ)のこととする説と、相撲の興行場所だった両国・回向院境内での炊き出し当番の力士を“ちゃん”と呼んでいたという説がある。力士が作る料理は全てちゃんこと呼ばれ、鍋料理が主役。毎日食べても飽きないように味付けや食べ方が工夫されている。

「食べることも力士の重要な仕事。肉、魚、野菜をバランスよく入れて煮込む。煮込むことで消化もよくなり、体を内側から温める。鍋がスープ代わりとなり、空腹で激しい稽古をしたあとでも箸が進み、すぐに昼寝すればどんどん体が大きくなる。もちろん夏場も鍋が基本です」

 そう語るのは元小結・旭豊の立浪親方。立浪部屋は103年の歴史がある名門だ。

「ウチは本場所初日の前日はしょうゆ味の『鶏ソップ炊き』が定番。牛や豚は、四つん這いの格好が土俵で手をついて負ける姿を連想させるので、この日は入れない」(親方)

 相撲部屋のちゃんこにはいくつかのしきたりがある。食事は朝稽古後と夜の1日2回。親方や関取が食べ終わるまで幕下以下の力士は席にもつけない。

「早く食べたければ稽古に精進して出世すればいい。そういった競争精神は相撲には欠かせない要素。みんなそうやって上を目指してきた」(親方)

 立浪部屋の台所を預かるのがちゃんこ長の華吹(はなかぜ、序二段・47)。歴代最多となる通算在位187場所の記録を持つ現役最高齢力士だ。先代の立浪親方の時代から、ちゃんこ番として30年近く伝統の味を守ってきた。

「作り方に細かいルールはない。その日の差し入れや冷蔵庫の食材を見て献立を決めます。調理時間がなく、大量に作るので簡単でないといけないが、若い力士に白飯をたっぷり食べてもらうためには鍋の味付けに加え、つけあわせにも工夫します。食欲が落ちる夏場は大根おろしを使って喉の通りをよくしたり、ニンニクやニラを多用するなどスタミナ面も気をつけています」(華吹)

 手間をかけずに栄養満点。力士飯で夏バテを防止しよう。

■取材・文/鵜飼克郎 撮影/岩本朗

※週刊ポスト2017年7月7日号