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【戸田和幸の眼】チェルシーを躍動させたコンテのマネジメント。布陣変更が分岐点に【16/17シーズン総括】

6/29(木) 10:40配信

フットボールチャンネル

 ヨーロッパサッカーの2016/17シーズンが閉幕した。タイトル獲得や昨季からの巻き返しなど様々な思惑を抱えていたプレミアリーグ6強クラブ、それぞれの戦いぶりはどのようなものだったのだろうか。スポナビライブのプレミアリーグ解説でお馴染みの戸田和幸氏が分析する。今回はアントニオ・コンテ監督就任1年目でリーグ優勝を成し遂げたチェルシーの1年を振り返ってもらった。(解説:戸田和幸/構成:フットボールチャンネル編集部)

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序盤で露呈した4バックの限界。布陣変更が成功した理由

 総合評価:A

 理由は単純。プレミアリーグで1番になったからです。

 今季からアントニオ・コンテ監督が就任したチェルシーは、開幕を4バックで始めました。さほど内容が良くはなかった中でリバプール(第5節 1-2で敗戦)とアーセナル(第6節 0-3で敗戦)にこてんぱんに負けたところが分岐点となりシステムを変えました。

 2つの厳しい敗戦が決断を下すことにつながりましたが、おそらくコンテ監督は最初から3-4-3が頭の中にあったのではないかと思うんですよね。とはいえいきなり選手やシステムを変えると刺激が強いですし、監督自身が新しい環境に適応して、選手を見極めていかなければならないところで様子を見ていたのかなと。

 ウェストハム、ワトフォード、バーンリー、スウォンジーと開幕から4試合目まではいわゆる「トップ6」とぶつかることのない戦いが続きましたが、結果とは比例しない部分が多く、それがリバプール、アーセナルとの2連戦で噴出した形になりました。

 第5節と第6節の厳しい敗戦を経て「このレベルの相手になると太刀打ちできない」と考えて思い切って変えたんでしょう。そこからはまったく別のチームに生まれ変わりました。

 まずダビド・ルイスが移籍してきたことが大きかった。彼がいたからこそ3バックをやれると思ったのでしょうし、実際3バックに変更して以降、チームも軌道に乗っていきました。各ポジションに際立った選手がいたことはコンテ監督からすれば幸運だったかもしれませんが、その選手たちを監督の考えるサッカーにはめ込むのではなく、上手に乗せて躍動させました。

 例えばジエゴ・コスタと(エデン・)アザールは、他の選手に比べると明らかに守備の局面での要求は少なかった。だからこそもう一人のアタッカーにはウィリアンではなくチームのために労を惜しまず働くことの出来るペドロを使う。

 破壊力はあるが若干守備では緩さのあるアタッカー陣を支えるため、中盤に(エンゴロ・)カンテと(ネマニャ・)マティッチを置く。2人の強靭なフィジカルやスピードで前線の守備力不足をカバーしつつ、後ろの5枚(3バック+両ウィングバック)が横並びになるだけでなく、ボールの動きに合わせて大胆にスライドすることで中盤の負担を軽減し、ボールを「奪う」形を構築しました。

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