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「殿ご乱心!」安倍首相の言動に揺れる永田町

6/29(木) 6:01配信

東洋経済オンライン

 強引に国会を閉幕させたのに「加計学園疑惑」が収束の兆しを見せない中、安倍晋三首相の「異様な言動」(自民幹部)で永田町にざわめきが広がっている。

 6月23日の東京都議会選挙告示日から週末にかけて首相は応援演説での登壇を避け、地方出張や自宅静養で過ごした。24日には神戸市で講演したが、その中で首相は加計学園による獣医学部新設について、「今治市に限定する必要はない。地域に関係なく2校でも3校でも新設を認めていく」とこれまでの経過を否定するような方針を表明。併せて憲法改正に向けての自民党案を「来るべき臨時国会が終わる前に、衆参の憲法審査会に提出したい」と、改憲スケジュールの前倒しにも言及した。

 獣医学部の全国展開はこれまでの政府方針を一変させるもので、「国家戦略特区には総理の意向など入る余地がない」との答弁とも矛盾する、「総理のご意向そのもの」(共産党)と受け取られかねない。自民改憲案の臨時国会提出方針も、自民党幹部は「事前に何も聞いていなかった」と当惑するばかりだ。こうした首相の言動に一部週刊誌は「体調不安説」を書き立てる一方、与党内では「追い詰められた殿の“ご乱心”では」(自民長老)との疑心暗鬼が広がっている。

■「獣医学部全国展開」発言に首相周辺も当惑

 関係者を驚かせた突然の「獣医学部全国展開」発言について、その後の民放の情報番組で「(首相は)『批判ばかりされて頭にきたから言った』と話している」との首相周辺による解説も紹介された。神戸市での講演は首相寄りの報道が目立つ、産経新聞社の外郭団体「『正論』懇話会」で行われたもので、「いわば身内の会で、つい本音を語った」(首相周辺)とされるが、野党は「自民改憲案の前倒し提出も含め、“加計隠し”の意図は明白」(共産党)と批判を強めている。

 獣医学部新設については「牛や豚の飼育数は年々減少し、犬や猫のペット数もピークを過ぎているので、今さら全国展開をしても獣医師は余剰となり、学部運営は成り立たない」(文科省幹部)というのが業界の常識。このため、首相発言は「“腹心の友”が運営する加計学園だけを優遇したとの批判をかわすための強弁」(同)と受け止められた。


 菅義偉内閣官房長官は「獣医科大学全体の応募倍率は15倍ある。引き続き手を挙げる学校がある可能性はあるのではないか」と首相発言をフォローしたが、国家戦略特区を推進する内閣府も当惑を隠さない。首相の盟友を自任する麻生太郎副総理兼財務相も「(獣医学部の新設は)獣医師の質の低下につながる」との認識を示した。野党側は「これまでの政府の説明の根本をひっくり返す発言だ」(山井和則民進党国会対策委員長)と反発し、臨時国会の早期開催や閉会中審査を強く求めたが、自民党側は拒否した。

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