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救急ドローンでAEDを現場に直送、到着時間は救急車の4分の1に

6/29(木) 15:52配信

nikkei BPnet

ストックホルムでの予備実験

 街角で近くの人が急に倒れ、触れてみたら脈がない。救急車を呼んで心臓マッサージをしていたら、数分とたたないうちにAED(自動体外式除細動器)を積んだドローンが飛んできた。すぐにそのAEDを使っていたら、まもなく救急車が到着、後を引き継いでくれた。幸い、倒れた人も後遺症が残らずに一命を取り留めたようだ――。

 こんな未来がすぐそこまで来ている。ストックホルムで行われた予備実験では、ドローンが救急車の4分の1の時間で到着できたという。スウェーデン・カロリンスカ医科大学蘇生科学センターのアンドレアス・クレッソン氏らの研究成果で、米国医学会誌2017年6月13日号に掲載された。

 研究者たちが実験を行ったのは、ストックホルムの北東約70kmに位置するノルテリエ市。人口約1万7000人の港町で別荘が多く、リゾート地として知られる。夏に人口が激増すること、救急車到着時間が遅いことなどの課題があることから研究地として選ばれた。

 実験は、実際の救急車出動記録をもとに行われた。2006年から2014年の間に、ある消防署から半径10km以内で発生し、救急車出動が要請された心停止の18例について、2016年10月に3日間かけてAED搭載ドローンの出動実験を実施した。

平均5分21秒…「臨床的に意味がある差異」

 実験に使われたドローンは、プロペラ8基タイプでGPSを内蔵し、自律飛行が可能。最大速度は時速75kmに達する。実験では2人の有資格操縦者が目的地の座標と飛行コースを無線で指示した。今回は763gのAEDを現場まで搬送した。

 実験の結果、18件の出動指令から半径10km以内の現場到着までの時間は、すべてのケースで救急車よりもドローンの方が早く、到着時間の中央値は、救急車が22分0秒だったのに対してドローンでは平均5分21秒と、ほぼ4分の1だった。心停止の救命において、この差は「臨床的に意味がある差異」(クレッソン氏ら)としている。

 この実験は、わずか18例と小規模で、実験期間中の天気は良好だったという。現実には、荒天時にドローンを飛ばせない可能性があるほか、例えば日本の市街では、電線の地中化がほとんど進んでいないため、飛行条件はより厳しそうだ。

今後、航空法規や自動操縦の是非、天候などを含めた検討が行われ、AEDドローンが救命率向上に貢献できるようになる日が来ることを期待したい。

(文/中沢真也=日経BP社コンテンツ企画部シニアエディター)

最終更新:6/29(木) 15:52
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