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「米国第一」は「米国のみ」を意味しない

6/30(金) 12:11配信

Wedge

 米国のマクマスター国家安全保障担当補佐官とコーン国家経済委員会議長が、5月30日付けウォール・ストリート・ジャーナル紙の論説で、「米国第一」の考えは米国だけのことではない、米の力を強くするため国際的なリーダーシップを取っていく、と書いています。要旨は次の通りです。

 トランプ大統領の言う「米国第一」の考えは米国だけのことではない。それは、米国の重大利益を推進するとともに同盟国、協力国との協力を推進し、強化する。米国民と米国の生活様式を守ることは、米国への尊敬を深化する。

 5月の中東・欧州外遊中、大統領はテロ組織撲滅に米国と共に一層尽力することを求めた。サウジはこれに応えて過激思想撲滅世界センターを設置し、中東の関係国はテロ集団への資金を断ち切るために「テロ財政対応センター」の設置覚書に署名した。

 経済的繁栄の確保は米国の国益にとり重要である。大統領はサウジで、1100億ドルの防衛投資、更に約2700億ドルに上る米民間企業の契約を発表した。これらは米国での雇用創出と投資をもたらす。

 欧州指導者との会談で、大統領は貿易赤字の問題を繰り返し述べ、更に貿易・商業上の相互主義の重要性を強調した。シシリーでのG7サミットでは、「すべての不公平な貿易慣行」に断固たる立場をとり、真に平等なレベルでの競争を推進するために共同声明を出した。

 強固な同盟関係と同盟国の繁栄は米国の重大利益だ。NATO首脳会議では大統領はNATOと第5条(相互防衛の規定)へのコミットメントを再確認し、公平な負担を求めた。実際に今や多くの国が防衛努力を強化するようになっている。

 米国の軍事的、政治的、経済的な力を強くするために国際的なリーダーシップを取っていくことが我々の重大利益である。我々は米国の生活様式を世界に押し付けるために世界と関与していくのではなく、我々の自由と繁栄を守るために関与していく。このことは米国の国益と原則を強化し、それを中東で、NATO同盟国との間で、G7のメンバーとの間で、更にその先に推進していくことを意味する。

 大統領は、世界は「グローバル・コミュニティー」ではなく、国家、非国家主体や企業が関与しあい、利益を求めて競争する「アリーナ(舞台)」だとの明確な考えをもって外遊した。つまり、利益を共有する社会にとって米国は強固な友人であり、我々の利益に挑戦する者には対決していくということだ。

 この外遊は米国の戦略シフトを示した。「米国第一」は米国の安全、繁栄、影響力を推進するために米国のリーダーシップと海外での米国の伝統的な政府の役割(外交、経済、軍事資源を使う)を取り戻すものだ。

出典:H.R. McMaster & Gary D. Cohn,‘America First Doesn’t Mean America Alone’(Wall Street Journal, May 30, 2017)

 先般の外遊を基礎にしたトランプの米国第一の考えを説明、それを弁護する記事です。評価できる点もあり、余り評価できない点もあります。恐らくマクマスターやコーン等が持つ伝統的な考えに対して、バノン等の特殊な世界観論者の手が入ったものでしょう。伝統的な人々が何とか非伝統的な人々の考えも配慮して説明した苦心の記事とも言えます。

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最終更新:6/30(金) 12:11
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