ここから本文です

進化したスバルの運転支援技術「アイサイト・ツーリングアシスト」への期待と課題

6/30(金) 7:20配信

@DIME

 スバル各車に搭載されている運転支援デバイス「アイサイト」がバージョンアップして、「アイサイト・ツーリングアシスト」となった。フロントガラス上部に設置した2基のカメラによるステレオカメラは変わらず、もっぱらソフトウェアのバージョンアップによるものだ。

 最大の効能は、アクティブクルーズコントロール(ACC)が0km/hから120km/hまで使用可能になったことだ。以前のものは、60km/hから100km/hだった。「アイサイト・ツーリングアシスト」のACCは、任意の車間距離を一定に保ったまま前車に追従するだけでなく、ステアリングも制御することによって車線の中央を維持し続けて走り、車線からハミ出しそうになるとステアリングホイールを回して、それを防ぐ。

 つまり、バージョンアップした「アイサイト・ツーリングアシスト」は、加速はACCがコントロールし、その反対の減速は自動ブレーキがコントロールし、車線の中央をキープしながら、前車に追従していくという車線内に収めるコントロールを同時に行なう。

 これからのスバル各車は、0km/hから120km/hまで、車線内に限れば、前後と左右方向のコントロールをクルマ自身が行えるようになったということだ。ステレオカメラのみで作動させる現在のスタイルに落ち着いたのは2008年からのことで、「アイサイト」と呼ばれる前の段階の「ADA」(アクティブ・ドライビング・アシスト)はステレオカメラにミリ波レーダーを組み合わせていた。

 それが2003年に発表され、ADA自体は1999年から開発が始められていた。世界では、ADAのような方式を採る自動車メーカーが多く、ステレオカメラのみという方が少数派だ。

「ユーザーに低価格で提供することが目的です」(開発者氏)

 富士重工業改め、スバル開発陣の狙いはほぼ達成されていて、それは次のように統計にもしっかりと現われている。詳しくはスバルのサイトを参照してもらいたいが、「アイサイト(ver.2)」の有無によって人身事故は61%低減し、追突事故は84%も低減しているのだ。いかに「アイサイト」つまり運転支援デバイスの効果が大きいのかを雄弁に物語っていると言えるだろう。

 ただ、「アイサイト」も全能ではなく、数年前にver.3を搭載した『レヴォーグ』で雨天の東名高速を走行中にで車線を読み切れずに働かなかったことがあった。それから改良が進んでいるはずだから、確実性が向上していることだろう。

 開発のロードマップでは、2020年にはステレオカメラにレーダーとデジタルマップを追加することによって、車線変更を実現するようにするとも発表した。ウインカーを出した側の隣の車線に移動する運転支援デバイスは、現在、メルセデスベンツとBMW、テスラ各車がすでに実現している。

 2020年までには、それ以外のメーカーも実現してくるに違いない。スバルの計画はむしろ遅いくらいかもしれないが、実現時期の到達順などにとらわれるよりも、焦らず確実に目標を達成することを優先してもらいたい。開発陣に期待している。「アイサイト」はスバルの有力なセールスポイントのひとつになったが、スバルの課題はドライバーとのインターフェイスの早急な改善だろう。

「アイサイト・ツーリングアシスト」の作動状況は、メーターパネルに表示されてわかりやすいのだが、その他の作動状況や操作に統一性が全くなく、バラバラでわかりにくい。表示も、メーターパネルの他にカーナビモニター、その上に別のモニター画面があり、それぞれが連携していない。

「おっしゃる通りです。各部のデザイナーがバラバラに仕事をしていて、それを最後にまとめ切れていませんね」(第一技術本部車両研究実験第一部長兼スバル研究実験センター長兼車両研究実験第四部長の藤貫哲郎氏)

 意味として重複しているものがあったり、ギミックとしか呼びようのないものもあって、デザイナーが吟味を重ねた跡が伺えないのは商品性を大いに損ねていて、もったいない。「アイサイト」に限らず、スバル各車はそれぞれ“クルマという機械”としてはとても優れているのだが、インターフェイスやデザインなどの商品性が顧みられていないことが少なくない。

「走る、曲がる、止まる」に注ぎ込んでいる並々ならぬエネルギーの何割かで構わないから、「走る、曲がる、止まる」以外に割いてみたらどうだろうか?「アイサイト」のバージョンアップの仕上がりが期待を上回っていただけに、その分、課題もまたクリアに見えてしまった。

文/金子浩久

@DIME編集部

最終更新:6/30(金) 7:20
@DIME

記事提供社からのご案内(外部サイト)

@DIME

小学館

2017年11月号
9月16日発売

定価600円

RIZAPの真実。
2018年最新手帳 格付けレビュー
スーパー中学生のつくりかた